はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

Q.E.D.27巻

2007-08-21 20:55:10 | マンガ
「Q.E.D.27巻」加藤元浩

 エラリー・クイーンの決め台詞「Q.E.D.」をモチーフにした推理漫画。「金田一少年の事件簿」のような劇場型犯罪ではなく、もっと卑近な、日常に基づいた事件を取り扱っている。主人公の燈馬君はスーパーIQの天才で、MITを優秀な成績で卒業。就職せずに日本の高校生になっているという設定。数学科学を得意とし、論理的視点でずばりと切り込む犯人当ては、他の推理漫画にはない斬新さがある。
 27巻は2話構成。それぞれお題は「鏡像」と「立証責任」。
「鏡像」
 タイトル通り鏡がテーマ。鏡は「左右」を逆に映しているのではなく「前後」を逆に映しているという論理から放火犯を当てる筋立て。肝心の犯人当てが強引で残念。
「立証責任」
 2009年(平成21年)5月に迫った裁判員制度を目前に、燈馬君の学校では生徒に模擬裁判を体験させることになった。スーパー運動能力を持つヒロイン・水原加奈が運悪く参加裁判員の当たりクジを二本も引いてしまい、燈馬君と共に全校生徒の前で裁判員をやるハメになってしまった。
 裁判員制度というのは選挙権を持つ市民の中から無作為に選ばれた裁判員が裁判官と共に裁判を行う制度だ。国民の司法参加により裁判に対する理解と信頼性の向上、裁判時間を短縮することが可能とされている……とまあそれはともかく、現代に根ざした筋立てが面白い。被告人が有罪か無罪か、有罪ならどれくらいの量刑が妥当か。一人の人間の一生を決める犯判断を下すということの重さを生徒達が味わうシーンがとても印象深い。模擬裁判の裁判官役をやった現役の裁判官が未だに抱える責任の重さ、判断の困難さも合わせて、この制度の重要さを思った。

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