はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

28週後…

2011-12-29 13:16:41 | 映画
28週後... (特別編) [DVD]
クリエーター情報なし
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


「28週後…」監督:ファン・カルロス・フレスナディージョ


 人間が狂暴化するRAGEウイルスの流行からしばらくして、ドンとアリスは、郊外のとある老夫婦の家に他の生存者と隠れていた。昼間でも目張りをした中での暗い生活。そこへ、一人の男の子が逃げてきた。自分の両親に襲われたという子供は、しかし同時に大量の感染者にも追われていて……。
 感染者の群れに蹂躙される家。生存者は一人また一人と犠牲になり、襲撃に加わり、ドンは、救出不能となったアリスを見捨てて一人ボートで脱出するのだった。
 それから28週後、飢餓により感染者が死滅したという安全宣言が出されたロンドンでは、米軍主導のNATO軍の保護下で都市の復興が進んでいた。逃げ延びたドンは、スペインに旅行中で助かったタミーとアンディを迎え、新たな暮らしを送ろうとする。
 そんな中、軍の警告を無視して安全区域外の自宅に帰ったタミーとアンディは、そこでなんとアリスを発見する。遺伝的にRAGEウイルスに免疫のあったアリスは、感染しながらも生きていたのだ。ただし、保菌者として……。
 街に溢れ返る感染者の数の多さに、NATO軍は選別しての処理や救出を断念。封じ込めとせん滅を決断した。軍隊が市民も感染者も見境なく打ち殺す地獄の中、ドイル軍曹は持ち場を離脱。たまたま目に入ったアンディを救おうと、屋上から地上に降りる。アリスの免疫を遺伝しているかもしれないという理由でアンディを保護していたスカーレット医療隊長と合流。街からの脱出を図るのだが……。

 名作「28日後」の続編。あれからしばらくして、さぞや世界中に感染者は広まっているのだろうなあと思ったら、意外と統制がとれていた。感染者って飢餓で死ぬんだなあと変な感動を覚えながら見た。
 さすがに重厚な作りで、人間ドラマも手が込んでいて、どっしりと落ち着いて見れた。ドンの遣る瀬無い感じが良かった。子供たちと、アリスと、自分の愛している人間たちに向けられる軽蔑の眼差し。あれは怖い。
 感染者が溢れかえったあとの各個人の行動にはさまざまな矛盾点があったけど、まあそのへんはしょうがないのかな。ゾンビ映画だし。
 一番好きな死にざまは地下鉄のホームで死んだあの人。あんな死に方だけはしたくないよねえ……。え?「好きな」じゃないのかって? まあほら、そこはゾンビ映画フリークにはよくあることなんで。
 しかし最後のあれはどういうことなんだ? なんでアンディが? と思ったら、Wikiを見て納得。そういう理由だったのね。
 ともあれ、ゾンビ映画でこの重さはなかなか出せない。素晴らしいと思います。おすすめ。

バカが全裸でやってくるVer.2.0

2011-12-27 09:48:21 | 小説
バカが全裸でやってくる〈Ver.2.0〉 (メディアワークス文庫)
クリエーター情報なし
アスキーメディアワークス


「バカが全裸でやってくるVer.2.0」入間人間

 甲斐抄子との激闘(?)から少し経って、賞はとれなかったけど編集さんに拾ってもらって本当に小説を出すことに成功した僕。
 大学在学中にデビュー! 印税がっぽがっぽ! 人生大勝利!
 とはなかなかうまくいかないもので……。
 自分の好きなタイプの本はなかなか売れず、重版もかからず、編集さんの指導で書いた可愛い女の子が出てくるようなお話はなぜか売れる。
 スタート直後にして、いきなり世の中の無常とサラリーマン小説家の道の辛さ遠さを思い知らされた僕は、でもなんとかかんとか小説界にとどまっていく。辛くても、悲しくても、ネタ出しと執筆の無限ループで気が狂いそうでも、僕には書くことしかない。
 だって、小説が好きだから。

 おー、これ2巻出るのか。ちょっと意外。1巻で終わっても不思議じゃないような内容だったからなあ。
 まあでも、好きな本だったので嬉しい驚きだった。
 今回は、「僕」のデビューから始まる5編の短編構成になっている。
 執筆活動に苦しんだり、業界の裏側にげんなりしたり。でもそこそこ作品は売れてたり、その過程でライバル伊次原との対決があったり。師匠にして同朋でダメ人間の甲斐抄子の風邪の世話を焼いたり、一緒に夏祭りに行ったり、名古屋から東京まで同行したり、居酒屋で飲めないお酒を飲んでだべったり、まさかのプロポーズをしたり。
 ちょっと寂しいのは、バカとの会話が少なくなったこと。もう裸でうろうろしてないし、居候したりしないこと。相変わらず面倒でうざキャラなのは間違いないのだけど、かなーりおとなしい。こいつがいてこそのこの作品だと思ってただけに残念、
 その分甲斐抄子の出番は多かった。まあたしかに可愛いし、恋愛関係にならないまでも2人でいる姿はほっこりするのだけど、それだけってのもねえ……。
 なんて思ってたら、最後の最後に仕掛けてやがった!
 これはびっくり。これはひどい。これはすごい。どっち? いや本当にわからない。面白いといえば面白いんだけど、あまりにもすごすぎて、いままでの流れを根底から覆しちゃったんだけど……。こういうのは何トリックっていうんだ?
 と、とりあえず3巻を待ちますか……。

げんしけん二代目の弐

2011-12-22 20:03:05 | マンガ
げんしけん 二代目の弐(11) (アフタヌーンKC)
クリエーター情報なし
講談社


「げんしけん二代目の弐」木尾士目

 頃は夏。コミフェスを間近に控えた新生げんしけんメンバーは荻上の商業誌作品を手伝うのに必死で、その嵐の到来を知る由もなかった。嵐の名はアンジェラ。スーの外国での友人にして、レイヤーにして、なんの因果か斑目を好きになった女の子である……。

 とまあ、だいたいそんな感じで、その後の騒ぎは押して知るべし。コミフェスに訪れた斑目へ猛アタックを開始したアンジェラを、いろんな意味で気に食わない波戸くんが体を張って斑目を守る。わけなのだけど、その方法が……ね……。
 ともあれ、面白かった。波戸くんの髭とか、波戸くんがコスプレ状態で男子トイレへ突撃とか、コミフェスへの情熱が薄れつつある斑目の戸惑いとか、この2人中心の騒動が笑えてしょうがなかった。荻上の中学時代の友達(?)来訪とか、スー物理的な意味で大暴れとか、いろいろトピックスはあるのだけども、2人の前にはさすがに霞んだ。もう面白いから付き合っちゃえよ、おまえら。BLとかには興味ないけど、この2人なら微笑ましいから許す。

 ところで関係ないけども、最近大学時代のサークル仲間にひさしぶりに会ってきました。忘年会ってことで、先輩や後輩や含めて12(3?)人。卒業からウン年経ってるのにこんだけ人が集まるってことにも感動したけど、それよりなにより、ひさしぶりにオタクトーク全開に出来たのが楽しすぎた。ここ数年そういう成分を表に出せない環境にいたから、頭のてっぺんに穴が開いたぐらいの勢いで騒ぎまくってきましたよ。いいよね、何も隠さずあけっぴろげに趣味の話をできる仲間って。げんしけんも、そういう観点から懐かしい気持ちで読んでます。
 いやあ、もちろんこんなに華はなくて、ほぼ男所帯で、一人だけいた女の子はガチ百合でしたけどね……。

ヒナまつり(2)

2011-12-20 15:53:31 | マンガ
ヒナまつり 2 (ビームコミックス)
クリエーター情報なし
エンターブレイン


「ヒナまつり(2)」大武政夫

 超能力少女・ヒナに居座られ、食事の世話や身の回りの世話や、挙句は学校まで世話させられている不遇のヤクザ・新田。今回も、彼の前に騒動の種が舞い降りた。
 ヒナを思わせる超能力で暴走族を壊滅に追い込み、身の処し方を知らないが故に商店街で万引きや食い逃げを重ねに重ねるアンズ。彼女は施設から追い出されたヒナを「やっぱり処分する」ために施設から遣わされた暗殺者なのだ。
 ヒナとベクトルは違えどやっぱりおつむが少々残念なアンズをうまいことだまくらかして退けようと頭をひねったり、ヒナの横暴に耐えかねて勘当を決意したり、そのことがバレて周囲から総スカンを食らったり、新田の明日はまだまだ暗いのだった……。

 ヤクザもんが女の子にぼろくそにされる、という胸のすくようなストーリーは相変わらず。今回もギャグにメリハリがきいていて面白かった。
 新キャラのアンズはなかなか良い。まさかこんな女の子があんな小汚いおっさんと共に……ねえ……
 ヒナは勘当事件でちょっと人間性がアップした(かな?)。傍若無人なのが良さではあるのだけど、さすがにひどすぎるからね……。
 女バーテンダーの詩子さんは夜の歓楽街だけの人かと思ってたら、意外と昼間にも出張ってくるようになった。でもこの人、絶対元ヤンじゃ……。
 ヒナの同級生の瞳ちゃんは、さらに巻き込まれ&処理能力アップで、非常に便利に使われていた。バーとか学校とか、公園の炊き出しとか、彼女のマルチな才能はとどまるところを知らず、気の休まる暇もないのだった……。

僕は友達が少ない・ゆにばーす

2011-12-17 04:12:52 | 小説
僕は友達が少ない ゆにばーす (MF文庫J)
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メディアファクトリー


「僕は友達が少ない・ゆにばーす」平坂読:他(裕時悠示・渡航・志瑞祐・さがら総)

 公式アンソロジーノベル……だと……?
 ざわざわしながら手に取った。「はがない」好きだし、渡航もさがら総も好きなので(他の2人は知らない)まあいいか。
 各自自分の個性を出していた。きちんと話を考えて書いているようだった。作品に対する愛を感じられた。平坂本人も、本人としての独自性を前面に出してはっちゃけていた。
「はがない」人気に便乗して濡れ手に粟、って考えが見え透いているのがね……あれだけど……。

「ふふふん夜空、あたしに友達ができたわ!」「あ? ぞ?」裕時悠示
 ある夏の放課後、部室を訪れた肉は、声高らかに告げた。
「ついにあたしに友達ができたのよ!」
 ちなみに、友達の名前はトモちゃん。
 名前からして「まさか、エア友達か……?」と思ったものの違った。小鷹と夜空の昔話も織り交ぜた、普通にいい話だった。でも個人的にはエア友達の残念な話を読みたかった。
 エア友達には違いない?
 まあそうだけども。
「ぼっちは変化球が投げられない」渡航
 リア充目指して皆で野球をすることになった隣人部。
 肉は持ち前の運動能力で。
 夜空は小鷹と培ったキャッチボール能力で。
 2人が火花を散らす姿よりも、小鷹の語る「一人野球」の物悲しさのほうが面白かったし際立った。
 ……あれ?
 まあでもなんつーか、ぼっち系書かせたらこの人にかなう人はいないよね。小鷹の残念さが本編よりも上だった。
「三二四駆」志瑞祐
 話の流れでミニ四駆勝負をすることになった隣人部。
 え? 違う? 三二四駆? 乾電池3本で走る? なにそれ……。
 要はミニ四駆のパチモンのことらしーです。
 世代だけど知らなかった。まあミニ四駆好きじゃなかったし……。
 話としては、可もなく不可もなく。
「将棋はとっても楽しいなあ!」さがら総
 将棋をすることになった隣人部。
 この流れも飽きたな……。まあしょうがないけどさ……。
 将棋は好きだけど、リア充には程遠いと思うのだが部員たちは楽しそうなのでよかった……あれ? 経験者が容赦なく周りを蹴落としていくので蹴落とされたほうが将棋嫌いになっていってる……? あれ、あれれ?
 という残念な流れで、一番隣人部らしかった。変に小鷹と夜空の過去を絡めようとしないのも良かった。
「魔法少女うんこ☆マリア 第一話『浣善腸悪! 魔法少女マリア』」
 マリア主役のパラレルワールド回。
 マリアがうんこコスプレの魔法少女になって、浣腸したりされたり……。
 もうなんか、見るに堪えない作品だった。
 平坂読、変な方向に張り切るのやめてくんないかな……。
 普通につまらなかったです。本人なのに、5作品中最低とかどういうことなの……。

月見月理解の探偵殺人(3)

2011-12-14 00:18:50 | 小説
月見月理解の探偵殺人 3 (GA文庫)
クリエーター情報なし
ソフトバンククリエイティブ


「月見月理解の探偵殺人(3)」明月千里

「おい、れーくん。オイル塗ってくれよオイル。どさくさにまぎれて変なとこ触ってもいーからさ」
 れーくんこと都築初は、月見月家の管理する孤島に来ていた。もちろん、来たくて来たわけではない。拉致されたのだ。最近仲の良いイスカも一緒なのが救いではあるけれど、月見月家の眷属たちが集うそこは、想像を絶する魔界なわけで……。
 不老不死と自称する金髪碧眼の少年・久遠。盲目のキ○○イ殺し屋の少女・真理。「死霊招きの呪歌(ヴァルズロック)」と呼ばれる、精神感染する殺人衝動ウイルスを持つと噂される少女・悪夢。水無月と葉月のメイドコンビ。
 曲者なんてレベルではない人外たちの集う別荘で、休暇なんて楽しめるわけがなく……。

 狂った探偵少女・理解と腹黒常識人・初のデスゲームシリーズ第3弾。
 広大なうえに部屋の番号が滅茶苦茶で構造もしっちゃかめっちゃかで、とにかく迷いやすいように造られているうえに即死トラップがあちらこちらに仕掛けられている別荘の中に、監禁されていた悪夢が解き放たれ、一方真理は悪夢どころか嫌いな理解やお付きの初まで殺そうと機会を窺い、久遠は何事かを目論んでいる。
 という、シンプルな設定が良かった。
 いや冗談でなしに。
 前巻が複雑すぎたので、今回はすんなり読めた。舞台設定も悪くない。ワンミス即死の状況で、理解の悪口雑言と推理が冴えわたっていた。初は初で、腹黒常識人としての特性をいかんなく発揮し、話に混ざっていた。イスカの能力が便利に扱われすぎな感じもあったけど、まあそういう話だし、急速にデレ始めている姿が可愛いので○。宮越さんは……(涙)。
 うん、でも今回は本当に見直した。既存のゲームなんて使ったってつまんないよね。次回もこの調子でどうか。

六花の勇者

2011-12-10 11:13:03 | 小説
六花の勇者 (集英社スーパーダッシュ文庫)
クリエーター情報なし
集英社


「六花の勇者」山形石雄

 闇の底から魔神の目覚めるとき、運命の神はそれに対抗せんと、6人の勇者を選び出す。通称「六花の勇者」に選ばれた者は、体に花弁の形の痣を授かる。
 自称・地上最強の男・アドレットもまた勇者に選ばれ、魔神討伐へと向かっていた。道中で知り合った大国ピエナの王女・ナッシェタニアと共に。
 そして到達した約束の地。なぜか発動した霧幻結界に囚われた勇者の数は……7人!?
 彼らは気付いた。1人裏切り者がいる。そいつが勇者たちを閉じ込め、疑心暗鬼の罠に陥れ、隙あらば殺し、あわよくば同士討ちにまでもちこもうとしている。
 真っ先にその疑いがかかったのは、誰あろうアドレットで……。

 おお、面白い。
 シチュエーションだけでご飯何杯でもいけるのに、中身の方もなかなか凝った造りになっていて十二分に楽しめた。絵柄が細くてほわほわしてて気に入らないのがあれだけど、まあそれは作品の出来に関係ないしね。
 主役のアドレットが様々な薬品や暗器や智謀知略を尽くして戦うタイプだというのが良い。他の勇者は本物の強者揃いなので、圧倒的不利な状況からそれらに対抗しようという展開が燃えた。基本熱血タイプで、つらい時こそ笑え、とか俺はお前を信じる、とか。少年漫画の主人公みたいなセリフだらけなのも○。
 ヒロイン候補のナッシェタニアの天真爛漫さ。火薬使いの聖女フレミーの冷淡さと孤独。猫のような話術とトリッキーな動きで相手を煙に巻くハンス。最強と呼ばれる沼の幼女・チャモの傲岸不遜。ナッシェタニアに忠義以上のものを尽くす騎士ゴルドフ。それらすべてを統括する知的な山の聖者・モーラ。誰も彼もが疑わしい行動を示すので、最後まで犯人がわからなかった。まさかあれが伏線だったとは……。
 なんとなくだけど、富樫さんに漫画化してほしいような気がした。いや、絶対ないだろうけど、そういう雰囲気の作品なんで。

社会的には死んでも君を!(2)

2011-12-07 16:05:30 | 小説
社会的には死んでも君を! 2 (MF文庫J)
クリエーター情報なし
メディアファクトリー


「社会的には死んでも君を!(2)」壱日千次

 幽霊の香月にとりつかれたことが原因で、漫画やアニメの主人公にありがちな出来事が無理矢理起こる「ラブコメ現象」に悩まされる八平は、今日も今日とてラブコメ現象に遭遇していた。しかも4回。一日2回しか起こらないはずの現象がなぜ……?
 呪いが強化されたのではないかと不安になる八平を気遣って調査を始める香月は、顔に白濁した液体をぶっかけるという現象を起こした魅剣柚姫をマークする。
 当人以外は気付かないことだが、実は柚姫には香月の姿が見えていて、あげく顔もそっくりだったりして……?
 決して報われない人間と幽霊のガチ恋愛コメディ第2弾。堂々の登場!

 うん、今回も八平が良かった。周囲の冷たい視線も構わず香月と2人で(はた目には一人で)カラオケにいって盛り上がりまくったり、本好きな香月が1人でも読めるように自動読書機を造ったり、学際のクラスでの出し物になんとか香月が加われる余地を見出したり、その一途さには頭が下がる。
 ハーレム体質故に、義理の姉の霧子や生徒会長の鈴音や、八平フェチの佳乃や、今回新登場の柚姫や後天性の男の娘・ヒカルなんかに慕われ絡まれたりしてぐらつきはするものの、それだって健全な高校男子レベルのかわいいもの。彼の想いを曲げることは誰にもできない。
 香月と両想いなのもいいところ。八平の想いを受け止めたくて、でもそれには肉体が必要で……。体が欲しいと悶々と悩む香月のちょっと生々しいところも良い。
 最後のシーンの鈴音の告白のインパクトが強烈で、この娘に八平が落とされるのならしょうがないとは思ったけど、なるべく香月路線を貫いてほしい。最大の難点である「肉体の不在」が解決されればなあ……。柚姫の存在が鍵になりそうな気配ではあるけれど……。

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(2)

2011-12-04 14:50:40 | 小説
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。2 (ガガガ文庫)
クリエーター情報なし
小学館


「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(2)」渡航

 生まれた時から死ぬまでぼっち。というぐらいぼっちであることに誇りを持っている比企谷八幡が、完璧美少女・雪乃と共に奉仕部活動を始めてからしばらく経つ。八幡のことを気にしている日和見少女・結衣が定期的に通ってくるようになったので、総勢3人になっている。そんな彼らのもとに運ばれてくるのは、やはり残念な人たちの残念な事件ばかりで……。

 八幡の独白やツッコミが好き。八幡が妹・小町をツンデレ的に溺愛していたり、男の娘・戸塚に惑わされて変な方向に行きそうになったり、クラスのリア充・葉山に憎悪の炎をたぎらせつつも、本人を目の前にするとへどもどしてしまったり、すべての行動が笑えてしょうがない。残念さでは「はがない」の小鷹よりも数段上。
 女の子に関しても負けず劣らずの可愛さ。相変わらず一部のデレもない雪乃さんは、今回も終始女王として登場人物たちの上に君臨していた。基本制服のシーンばっかりなので、後半で出てきたフォーマル姿に感動。あの年齢にしてあの状況でのこなれさはかっこよすぎ。
 八幡に気付いてもらえずにヤキモキ空回りしっぱなしの結衣は、雪乃さんと仲よく(一方的に)しながらちょいちょい八幡を気にしたり、彼のへたれぶりをフォローしたりとかの行動がかわいかった。このまま八幡とくっついてもいいなーとは思うのだけど、そうすると雪乃さんがかわいそうだし、2人ともいい娘だけに悩む。
 それ以外のキャラも良かった。戸塚の天然ぼくっ娘要素は天井知らずで、いつ八幡が完全陥落するとも知れず。小町の計算高さは新鮮で、単なるブラコン妹としてではない独自性があった。平塚先生のモテなさ加減もけっこうやばいのだけど、個人的にこの小説の中で八幡の次くらいに好きなキャラなので、そのままでいってほしいと思う。もてないでください。
 僕はライトノベルを読み返すことはあまりないのだけど、本作は数少ない例外。実際、最近多い「ぼっち系」作品群の中でもこれは白眉だと思う。

のうりん(2)

2011-12-01 20:13:21 | 小説
のうりん 2 (GA文庫)
クリエーター情報なし
ソフトバンククリエイティブ


「のうりん(2)」白鳥士郎

 突如、県立田茂農林高校に転校してきた現役アイドル草壁ゆか・本名木下林檎。無愛想で、なぜか耕作に執心の彼女への特別授業は続く。
 大豆を植えたり、アヒルを育てたり、農業への愛を徐々にその身に蓄えていく林檎。耕作、継、農らとも打ち解け始めた彼女の農業高校ライフは急速に充実していく。基本勢いのあるおバカしかいない学校だということもあってか、日常は波乱万丈だけれども、とても楽しい。それに耕作もいるし……。

 耕作への彼女の執心の理由が明らかになる第2巻。
 うん、面白かった。胸に対する熱い漢どもの雄叫び、男同士の愛に対する腐女子の舌なめずり、金に執着する亡者の囁く声……農業のことを語りながらもなんだかまったくそんなふうには見えないキャラたちの大暴走が良かった。男塾とかカイジとか、とにかくパロディばっかりなので、感性が合うかどうかは人によると思うけど。
 あとは、上記したように、今回林檎の「理由」が明らかになった。別に特別なことではなくて、「ああやっぱりか」程度のものだったけど、前後の話の展開と、耕作の熱いハートが炸裂していて感動的に描けていた。そのあとの展開までは予想できなかったけど……まじ耕作かわいそう。