はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

それでも町は廻っている(1)

2008-04-30 18:32:40 | マンガ
それでも町は廻っている 1 (1) (ヤングキングコミックス)
石黒 正数
少年画報社

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「それでも町は廻っている(1)」石黒正数

 人情味豊かな下町の丸子商店街に、場違いにも存在するメイド喫茶・シーサイド。従業員はマスター兼メイド長の磯端ウキと、よく笑いよく泣くドジっ娘女子高生・嵐山歩鳥のみ。主な客は商店街の魚屋、八百屋、クリーニング屋の親父と、魚屋の息子で歩鳥にベタぼれの真田広章のみ。 
 ぞんざいで気分次第の営業もさもありなんというところだが、そんな名ばかりメイド喫茶には納得のいかぬと女子高生・辰野俊子がメイド2号で押しかけたところから物語は始まる。
 といってもそんな大層な筋はない。歩鳥と辰野と真田の三角関係と、シーサイド、商店街、学校、それぞれの家を舞台にしたコメディがメイン。しかしこのコメディ部分がなんといっても面白い。体を張ってボケ倒しツッコミまくる女コメディアンのような歩鳥が最高。周りを彩るキャラ達もくせ者揃いで、最初から最後までケタケタと笑わせてもらった。
 原作付きだった「アガペ」とまったく違う雰囲気に始めは戸惑ったが、なんのことはないこれが石黒正数の本領なのだ。

2008/04/29

2008-04-29 18:29:13 | 出来事
2008/04/29

PCカード状のAIR-EDGE(AX520N)を、USBアダプター(USB2-PCADPG)を介して接続するという非常にまわりくどい我が家のネット環境が、さらに遠回りになった。
というのも、正月に購入した新PCが安定せず、プラス旧PCとのLAN構築がうまくいかなかったせいだ。正しくいうならファイルやフォルダや周辺機器の共有は成立しているのだが、どうしてもネットが共有できない。わずかに2回繋がったことはあるのだが、その後何度試してみても成功しない。
AIR-EDGEだからだめなのか、自分のスキルが足らないだけなのかもわからない。グダグダな状況に嫌気がさしたので、USB切り替え器を買ってきた。PCカード状のAIR-EDGE(AX520N)を、USBアダプター(USB2-PCADPG)を介し、さらには切り替え器までかませようという遠大な計画だ。LANはあくまで周辺機器共有。割り切ったといえば聞こえはいいが、要は「面倒くさいから直結してしまえ」ということで、ほとんど野蛮人の発想だ。
結果はまあやっぱりというか当然というか、悔しいけども接続良好だ。電波状況が悪く回線は弱いままだが、PCパワーにものをいわせて今もガシガシFF11のバージョンアップデータをダウンロードしている。9764もファイルがなければ……今夜中にはログインできそうにないな……。

2008/04/25

2008-04-26 13:16:39 | 出来事
2008/04/25

17:30帰宅。入浴後洗濯しようとしたが、同居人Sの洗濯物がまだ残留している。事後に取り出し忘れた模様。毎度毎度学習しない奴だ。いっそ床に直に捨て置いてやろうかとも思ったが、武士の情けでビニールを敷き、洗濯槽から移動させてやる。
セブンイレブンのおにぎり2個と骨なしフライドチキン、のむのむヨーグルトで夕食をとっていると、同居人Sが謝罪にきた。どうやら帰宅後洗濯かけたまま爆睡してしまったらしい。いつものように過剰にすまなそうな顔をしている。若いし精悍な顔立ちはしているのだが、ホントに忘れっぽいというか……。一度頭の中身を分解清掃してやりたい。
洗濯後コインランドリーへ。乾くのを待つ間に近所のツルハドラッグで買い物を済ませ、レンタルしたCDをナビのミュージックサーバーに挿入(ほっといても勝手に取り込んでくれる)。松山千春の2枚組みのベストで、最近発売されたせいか、曲目、アーティスト名が出てこない。面倒だが手入力。ハイテクのようでローテク。
帰宅。PC起動しAmazon徘徊。以前から欲しかったパトレイバーのDVD購入する。……しかしここ数カ月間のAmazon使用率は異常だ。自戒せねば、と思いつつも左クリックが止められない。
その後はFF11。競売の欠品補充後、カンパニエ転戦。パシュハウ、ロランベリー、グロウベルグと渡り歩いて3000弱。召喚士69まで@13000。
23時を回り、就寝前の読書2冊。「空手小公子小日向海流17・18」。寝る前に既読の本を読む習慣がある人は多いと思うが、僕の場合はこの「空手小公子小日向海流」シリーズと吾妻ひでおの「失踪日記」、「うつうつひでお日記」の3パターン。いくら読んでも飽きないし、すんなりと眠りに入r……

アガペ(1)

2008-04-25 20:26:27 | マンガ
アガペ 1 (1) (MFコミックス)
鹿島 潤
メディアファクトリー

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 奇麗事がきらいだ。ご立派なお題目を唱える人を見るとぞっとする。その論説が正しければ正しいほど、美しければ美しいほど胡散臭く感じてしまう。
 人間は醜い。自分自身がそうであるように、他の多くの人もそうだと思う。口では他人の幸せを願っていても、実際には自分のことしか考えていないに違いない。
 でも、信じたいとは思うのだ。どこにあるとも知れぬ、ついに見つけることかなわぬかも知れぬ、人の善性を。

「アガペ(1)」画:石黒正数 原作:鹿島潤

 刑事部捜査1課特殊班捜査第ゼロ係。日本の警察機構に初めて設立される犯罪交渉人専門チーム。ハイジャック、人質篭城、誘拐……そんな凶悪犯罪において、強行突破や武力制圧ではなく犯人との交渉・説得によって事件の解決をはかるスペシャリストチーム。
 構成員は3名。
 心理学、精神分析、プロファイリング、犯罪学、あらゆる学問とデータから構築された「交渉術」のプロ・武市。
 日本の警察が培ってきた「落とし」、「吐かせ」の技術を身につけた人情派敏腕刑事・小宮山。
 そして空白だった最後の席についたのは、100%利他的な、見返りを求めない無償の愛「アガペ」の人格を持つ女子高生・一乗はるか……。
 この世に巣食う憎しみの連鎖を止めるのは、技術でも経験でもない愛だ。ギリシャ語で「神の愛」を意味するアガペの人格を持つはるかは、父を殺したバスジャックを投降させ、学校を占拠した教師を説得する。身に寸鉄も帯びず、身体一つで相手の懐に飛び込んで。彼女は愛してしまうのだ。壊れ狂った犯罪者の心の穴を埋めようと、心底にある何かがその者を愛せよと告げるのだ……。

 感情表現に乏しく何を考えているかもわからない女子高生はるかが、何一つ接点のない犯罪者を愛する。根拠のない愛を浴びた犯人は、たちどころにほだされ、投降してしまう。
 その時点で眉をひそめる人が大半だと思う。愛なんていう曖昧な概念ひとつで、追い込まれ開き直った犯罪者を救えるわけがない。
 僕も同じ事を思った。おまえ誰なんだよ。何言ってんだよと。
 だが、そこがつけ目なのだ。真顔で愛を語るいびつな女子高生に違和感を持たせるのが狙い。気がつけば、とてつもなく壮大な大風呂敷の結び目に釘付けになっているという寸法。
 ほら、あなたも目が離せない……。

メトロ・サヴァイブ1・2

2008-04-22 20:08:40 | マンガ
メトロ・サヴァイブ 1 (1) (プレイコミックス)
藤澤 勇希
秋田書店

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メトロ・サヴァイブ 2 (2) (プレイコミックス)
藤澤 勇希
秋田書店

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「エクサポリス東京」2005年6月にオープンした、今、東京で一番ホットな(笑)複合商業施設だ。地下3階から地上6階までをショップ・カフェ・レストラン・アミューズメントパーク・シネコン等の娯楽施設が占め、高層階のオフィスエリアにはIT関連・M&A等、いわゆる勝ち組企業というヤツが入っている…… 

「メトロ・サヴァイブ1・2」藤澤勇希

 エクサポリス東京内に詰めるビルメンテナンス会社の作業員・三島は、当然のことながら負け組だ。この一見近代設計技術の粋を集めて建築されたように見える、その実手抜き工事の塊の高層建築の尻拭いに奔走させられて休む暇もなく、満足に息子とも遊んでやれない不甲斐なさを妻から指摘され、ストレスのみがたまる日々。
 ……ぶっ壊れてしまえこんなもの。
 そんなことを思っていたある日。不意の残業で午前様となった帰宅途上。エクサポリス東京近傍を走る地下鉄の中に三島はいた。
 時刻は04:55。突如として関東地方を襲った震度7の大地震により、三島と三島と同じ車両にいた9人の乗客は、命がけのサバイバルを強いられる。目指すは地上、最寄の駅はエクサポリス東京地下。現代のバビロンが、今彼らに牙を剥く……。

「ドラゴンヘッド」や「絶対絶命都市」を思わせる、大災害サバイバル。それを「BMネクタール」の藤澤勇希が手がけているのだから、面白くないわけがない。今回はモンスターは出てこないけど、冴えないビル管理員のおっさんが、持てる知識と勇気の限りを尽くして皆を脱出へと導く姿はそれ以上に興味深くかっこいい。全2巻と比較的少ない構成も、ボリューム不足はまったく感じられない。納得のカタルシスがここにある。

シークレット・ウィンドウ

2008-04-19 20:33:17 | 映画
シークレット・ウインドウ コレクターズ・エディション

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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「シークレット・ウィンドウ」監督:デヴィッド・コープ

 スティーブン・キングの中篇「秘密の窓、秘密の庭」を原作としたサスペンス・スリラー。
 湖畔の別荘で新作の構想を練る小説家モート・レイニー(ジョニー・デップ)のもとに、怪しい男ジョン・シューター(ジョン・タトゥーロ)が訪れる。
「俺の小説を盗んだな」
 シューターはモートが自分の作品を盗作したと言いがかりをつけ、自作を置いて去る。
 シューターの小説「種を撒く季節」が自らの小説と瓜二つの内容だったことには驚いたが、まったく身に覚えのない疑惑なので相手にしないモート。しかしシューターの嫌がらせと糾弾はとどまるところを知らない。
 愛犬を殺され、別れた妻エイミー(マリア・ベロ)の家を燃やされ、友人の私立探偵ケン(チャールズ・ダットン)と共にシューターに立ち向かうモート。だがそこにはさらなる悪夢が待っていて……。

 キングらしい緊迫感のある佳作。
 得体の知れない男が徐々に身の回りに迫ってくるのがシンプルに怖い。しかもその男に理屈は通じず、法など意に介さず、圧倒的な武力までもっているのだから、本当、身の毛もよだつ。
 先は読めるが、見せ方がしっかりしているし、オチにも筋が通っているので気にならない。どことなく「SAW」を思わせるようなラストの後味の悪さも程よい加減。
 腺病質の美男子を演じさせたら右に出る者のいないジョニー・デップと、揺るがない魂を感じさせる男ジョン・タトゥーロ。2人の掛け合いもお見事。おすすめの一作。

2008/04/17

2008-04-18 11:38:33 | 出来事
2008/04/17

およそ36時間勤務をこなして帰宅。19時。すでに食事はすませているので浴槽に湯を貯めつつ筋トレ。疲れてるならやらなきゃいーのだが、やらないと体がすかさずたるんでいくような脅迫観念にとらわれるので、疲れた身体に鞭打って強行。
ダンベルなどを使用したウエイトトレーニングではなく、空手の基礎中心にする。ストレッチ、拳立て10回5セット、突き蹴り受け等基礎練習、コンビネーションを一通りこなしたのち、汗だくで入浴。
風呂上がり、水を飲んで(晩酌はしない)ソファに。今週号のヤングジャンプを読む。「キングダム」、「嘘喰い」の面白さは図抜けている。「ノノノノ」は変化球すぎて先が予想できないが、かなり面白い。「TOUGH」は何がしたいのかわからない。高校鉄拳伝の頃はよかったなあとしみじみ思う。
録画していた「キューティーハニーTHELIVE」鑑賞。わけわからん。如月ハニーがかわいくなかった。
ネットに繋がろうと思っていたが、急激に眠くなったのでやめておく。FF11だけはやりたかったので、深夜に目覚ましをかけて寝る。さて起きれるかな……。

K-1WORLD GP IN YOKOHAMA

2008-04-15 21:24:14 | 格闘技
K-1WORLD GP IN YOKOHAMA

4/13開催のK-1、テレビ放映分。

○セーム・シュルトVSマーク・ハント× 1RKO
 5年ぶりの王者の帰還、といってもブランクのありすぎるハント。ミルコのハイキックにも耐えたド耐久力と豪腕サモアンフックでシュルトを粉砕できるか。
1R 懐に飛び込む以外に勝ち目のないハントは、ボディストレートを打って頭を下げさせる、もしくはいきなり飛び込んでのフック、という2択。まんまマイティ・モーの劣化版。
 対するシュルトは前蹴り、ローでハントの出足を挫き、ハイキックのようなミドルや頭まで届く膝、突き刺すジャブと打ち下ろしのストレートで一方的に攻めたてる。
 間合いを完全に制したシュルトが、とどめに空手家らしい右の後ろ回し蹴りで勝負を決めた。

○バダ・ハリVSレイ・セフォー× 1RTKO
 かつてワンマッチ最強を謡われたちょい悪親父セフォー対昇り竜の悪童ハリ。興味深い一戦。
1R 小細工なし。真っ向からの激しい打ち合い。意地と意地のぶつかり合い。
 セフォーは重く鋭いフック。ハリはミドルと身長差を生かした打ち下ろすストレート。一撃一撃に必殺の気合いをこめた応酬に、場内が沸く。
 勝者はハリ。動きの止まったセフォーを押さえつけるようにしてパンチを打ち込み、ダウン2回奪って最後はレフェリーストップ。
 面白かった。こういう試合が見れるなら、K-1ヘビー級戦線も悪くない。

○エヴェルトン・テイシェイラVS藤本祐介× 5RKO
1R フィリオの系譜に連なる極真王者テイシェイラ。顔面有りのルールに慣れない様子で、間合いが全然遠く、たびたび空振る。動きも硬くぎこちない。ガード固めてインロー飛ばすが、追撃の手が出ない。
 対する藤本は、つけこむようにカウンター。フックをぶん回すが、力みすぎてなかなか当たらない。
3R 飛ばして3R。狙いすぎ力みすぎ。互いに決定打なくドロー。
5R 飛ばして5R。テイシェイラの左ミドルが思いきり入る。スタミナ切れも重なり、藤本ふらふら。スリップだかダウンだかわからない転倒繰り返す。とどめは右ストレート。
 テイシェイラ前評判は良かったがまだまだ。客に見せられる試合じゃない。

○グラウベ・フェイトーザVSアレックス・ロバーツ× 2RKO
2R 飛ばして2R。いきなり映像に映ったのはボディと顔面を真っ赤に染めたアレックス。どうやらグラウベの攻撃が効いているらしい。
 グラウベ、テイシェイラにお手本を見せるような適応ぶり。ガードが甘いものの、フック、ジャブ、ボディブロー、ミドルと他方向から攻め立て、アレックスのガードの隙間から左のブラジリアンキックでKO。 

○武蔵VS澤屋敷純一× 2RKO
1R パンチが得意の澤屋敷。ジャブからロー、ジャブからパンチのコンビネーション。動き自体は悪くない。
 だがそれ以上に今日は武蔵が良い。蹴りが走っている。もともとプレッシャーのない相手には強い男だが、優等生の澤屋敷のコツコツとした打ち合いには応じず、ミドルと膝でボディを攻める。
2R 澤屋敷のローは効いているが、動きを止められるほどではない。
 一方武蔵のボディは致命的に効いている。澤屋敷のガードの下がったところへ左ハイでダウン。ラッシュで2度目。左フックで3度のダウンを奪いKO。

フライトプラン

2008-04-12 21:14:47 | 映画
フライトプラン

ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント

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「フライトプラン」監督:ロベルト・シュヴェンケ
 
 不慮の事故で夫を亡くした航空機設計技師カイル( ジョディ・フォスター)は、夫の棺と娘のジュリア (マーリーン・ローストン)と共にドイツのベルリンからニューヨーク行きの航空機へ搭乗した。
 離陸直後、連日の心労のせいで熟睡したカイルが目覚めると、隣の席にいたはずのジュリアがいない。父親を失い心身ともに不安定な状態にいるはずの娘を案じ、機内を探索するカイル。しかしジュリアの姿はどこにもなく、見かけた乗客も誰一人いない。機長の協力を得て機内中に捜索の手を伸ばすが、影も形もない。まるで蜃気楼のように娘は消えてしまった。とどめに機長から告げられた驚愕の事実。それはジュリアの搭乗記録がないということ。つまりカイルは最初から1人だったのだ……?

 高度1万メートルの上空で娘を探す、というやたらスケールの小さいお話なのに、ジョディ・フォスターの「切羽詰った」演技が緊迫感を生み出している。「たかだか迷子ごときに必死になりおって……」という乗客の白い目が、「こいつイカれてるのか」と蔑みの眼差しになる瞬間のインパクトも、おかげで強烈だ。「パニックルーム」でも感じたことだが、こういう演技をさせたらジョディ・フォスターに比肩する人はいない。
 オチに無理がありすぎて途中から話が一気につまらなくなるものの、前半部分は文句なく面白い。画面狭しと暴れまわるジョディに注目されたい。母は強し、なのだ。

K-1ワールドMAX2008世界一決定トーナメント開幕戦

2008-04-10 17:27:59 | 格闘技
「K-1ワールドMAX2008世界一決定トーナメント開幕戦」

 テレビ放映分。

○城戸康裕VSイム・チビン× 1RKO
「ざまあみろですね」のコメントが印象深い悪ガキ・城戸対アジア王者のイム・チビン。
1R 強豪との対決にいきなり真価が問われることとなったシンデレラボーイ城戸。開始早々、動きの硬いイム・チビンの顎に強烈な右膝を直撃させて秒殺に仕留めた。

○HIROYAVS藤門嘩裟× 判定3-0
 藤は細い。15歳という年齢もあるが、まだ体が出来上がっていないので危なっかしさを感じる。しかし闘争心は一流。試合前から吠えまくり噛み付きまくる狂犬ぶりで、HIROYAを挑発する。
1、2R 藤の得意は前蹴り。前蹴りからのキックやパンチへの変化が命。しかもこの前蹴り、中段と上段の二種類の打ち分けがあるのが癖悪く、試合前からの徹底した挑発で頭に血が登っているHIROYAの顔面に何度もヒットする。だが追撃が出ず、いまひとつ決定打に欠ける。
 一方のHIROYAはパンチで攻める。藤のガードの甘さにつけこむというのもあるが、何よりも藤を殴りたいのだろう。優等生のHIROYAにしては珍しく、殴る姿勢に執念を感じた。
3R HIROYAの強烈な左ボディが効き、藤の動きが止まる。あとは一方的。 
 判定3-0。藤、負けはしたが株は下がらなかった。将来が楽しみな選手。

○アンディ・サワーVSマイク・ザンビディス× 4RKO
 意外なことに初対決の2人。パンチの回転で攻めるザンビディス対光速のコンビネーションを誇るサワーの実力者同士。いきなり見ごたえのあるカードだ。
1R サワーのスロースタートにつけこみたいザンビディスは、当然突っ込む。フック系のパンチを上下に打ち分け、ローやミドルを挟んで意識を散らす特有の攻め。
 対するサワーはザンビディスのパンチを警戒してガードを固め、ローと膝。パンチが出ない分手数が足りない。
2R サワー的確なローでザンビディスにダメージを与える。徐々に手数も増えているが、まだまだザンビディスのほうが多い。
3R ザンビディス回転落ちない。ローのダメージにかまわず、殴りまくりロープ際に押し込んでいく。左のボディフックが良い。
4R 判定ドローの延長戦。
 3Rで決め切れなかったことで緊張の糸が切れたか、ダメージの蓄積がモロに出るザンビディス。スタミナも切れて動きの鈍ったところにサワーの左ハイが飛んできて、これが決定打となった。左ジャブを当てておいて外側からの左ハイという変則的な蹴り方のせいもあるが、綺麗にヒットしてザンビディスを沈めた。非常に面白い試合だった。

○佐藤嘉洋VSムラット・ディレッキー× 判定3-0
1R ディレッキー攻勢。パンチ鋭い。間合いの潰し方がうまく出入りが激しく、佐藤とのリーチ差を感じさせない見事な攻め。
 一方の佐藤は戸惑っている様子でリズムが悪い。苦し紛れに出したローにまでカウンターを合わされ、防戦一方。
2R 佐藤、生命線のローをコツコツ蹴り続ける。ミドルと前蹴りで間合いを制し、ディレッキーの動きが止まったところへパンチで止めをさしにいく。
3R ディレッキー防戦一方。パンチにはまだ鋭さがあるが、フットワークがなくてはどうにもならない。
 判定3-0で佐藤。いつも通りといえばいつも通りの展開だが、相手を問わずいつも通りの勝ち筋にいつも通りもっていけるのが佐藤の強さ。ディレッキーは強かったし、価値ある勝利だろう。
 
○アルトゥール・キシェンコVSジョーダン・タイ× 4R判定
 ダイジェストのみ。

○ブアカーオ・ポー・プラムックVSアルバート・クラウス× 4R判定3-0
 強豪対決。
1R 突き出すような左ジャブと光速の左ミドル。対角線のロー。ブアカーオ、パンチも打てるがクラウス相手では分が悪いと判断したのだろう、ムエタイスタイルの普通の攻め。といってもそこはブアカーオ。やること普通でも出来は一流。一発一発が鋭い。特にミドルの速さは人間とは思えない。打点が高いのでハイへの変化も読みづらいし、本当、悪魔の武器。
 クラウス、やりづらそう。パンチで攻めたいが近寄れない。
2、3R クラウス成す術なし。果敢に前に出るが前蹴り、ミドル、膝で止められる。クリーンヒットがないのは幸いだが、勝ち目ないだろ、これ。
 なんと判定ドロー。有効打がなかったためらしいが……。
4R 首の皮一枚繋がったクラウス、勢いづいて攻める。
 ブアカーオは今までどおりの変わらない攻め。スタミナ切れか動きが鈍い。
 このラウンドだけならクラウスだと思うが、1~3Rも考慮に入れてのブアカーオ判定3-0。

○魔裟斗VSヴァージル・カラコダ× 3RKO
1R 魔裟斗、序盤から飛ばしていく。パンチを上下左右に打ち分け、ローとミドルを散らしていく。一発一発が鋭く、コンビネーションもスムーズ。無尽蔵のスタミナに支えられたそれがエンドレスに続く。あまりの激しさに、カラコダはパンチの届く距離にいるというのにも関わらず守りに入らざるをえない。
2R 魔裟斗のボディが良い。とくに左のボディフックが効いている。
3R 開始早々、魔裟斗の右フックが直撃してカラコダ撃沈。
 ボクシング世界王者相手にコツコツローを蹴らない姿勢が素晴らしい。プロの仕事を見せてやる。そんな魔裟斗の気持ちが伝わってくるようだった。