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はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

空手(1)

2007-03-08 09:35:47 | 空手
 先日、空手にいった。なんといっても若者たちの集いだから、冬期間はスノボなどで集まりが悪く、ひさしぶりの開催だった。
 春を思わせる暖かい日差しの中、開始予定の9時になってからぼちぼち人が集まり始めた。先生を含めて6人になったところでようやく開始したのが9時半。武道館の神前に横一列に並び(先生は神前に1人)、正座。部長の号令にならうように神前に礼、先生に礼、黙想したのち正面に礼。ストレッチと腕立て足上げ腹筋を済ませてから練習に入った。

 最初の1時間は基本練習。突きと蹴りと受けをみんなで一緒に打ちながら、先生に悪いところを修正してもらう。
 まず肩幅より足をちょい広げての並行立ち(平行?)。つま先を広げすぎず正面に向け、軽く腰を落とす基本の姿勢。
 最初は中段突き。左拳を顎をカバーするように前に出し、右拳を余裕を持たせて脇につける。左拳を脇まで引き、その反動で右拳を繰り出す。拳は軽く握って甲を下に向け、打ち出しながらくるりと返し、ミートの直前で力をこめる。この時意識的に人差し指と中指の根元をぶつけるような気持ちで打つ。狙いは相手の鳩尾。
 次は上段突き。中段突きと同じ姿勢から相手の顎狙いをイメージして。
 続いて中段外受け。左手を肩の高さで前に。甲を正面に向ける。そこから右手を左肘の下にもっていき、左を脇までひくのと同時に右を跳ね上げる。肩の高さまでもっていき、鳩尾への相手の攻撃をはじき出すようなイメージで。
 上段外受け。左手を前に、右手を顎の前に垂直に突き出すのと同時に下げ、顎のやや下で十字を作ると、左は脇に。右を跳ね上げる。甲を外側にし、顎への攻撃をかち上げるようなイメージで。
 下段外受け。左を前に。右を左の肩までもっていき、左を脇までひくのと同時に右を斜め下に振り下ろす。相手の中段前蹴りを叩き落すイメージで。
 中段前蹴り。左手を前、右手を鳩尾の前におく蹴りの基本姿勢。右足を膝ごと跳ね上げるように持ち上げ、スナップをきかせるように右足先端を前へ送り出す。当ててからすぐ畳み、前屈の基本の足位置に戻す。
 中段回し蹴り。基本姿勢から右を持ち上げるのは前蹴りと一緒。違うのは正面ではなく横に持ち上げること。その先のイメージは変わらない。
 上段回し蹴り。基本姿勢から斜め上方に右を持ち上げる。単純に中段回し蹴りの角度をきつくしたもの。
 それらを左右30本ずつやり休憩。

 休憩あけは移動突き蹴りと移動受けの練習。今度は左を前にしての前屈の姿勢。左足を前に出し、右足を後ろ。左足の親指が真上から見えないように軽く膝を曲げ、右足はまっすぐに伸ばす。黙ってるだけで太ももにぴりぴりくる、これまた基本の姿勢。
 前屈から右足を前へ。床を滑らせるようにし、左足に擦るようにして。接地したら基本の突きまたは蹴り。姿勢が上下にブレないようにしながら30本ずつ。
 壁に突き当たったら反転。左を前にしての前屈から後ろに顔をやり、右足を左足の後ろへもっていく。そこからくるりと身体を返し、引いていたほうの手で各受け。これは後ろの敵からの攻撃を想定している。慣れている人には、この状況で先生の蹴りがとんでくる。
一連の練習が1時間。

 さらに休憩を挟み、組み手及びミット打ちの練習。
 まずはミット打ち。キックミットを生徒が持ち回りで受け持ち、突き蹴りの練習。最初は削り、と呼ばれる左足前の左手での上段突き。続いて右の中段突き。さらに両方のコンビネーション。削りを打ったあと、相手に届いていない、もしくは間合いがあってまだ打てる状況で中段突きを打つ。相手を追うのかその場で打つのかは間合いによるが、基本腰を落として低い姿勢で打つ。
 蹴り。最初に中、上段の右回し蹴りを打ったあとは、ほとんど左での蹴り。なぜかといえば、相手が右利きを予想しているから。通常右利き対右利きで後ろ足の蹴りを打てば、相手がブロックしやすい左側を打つことになる。しかもそれは容易に体勢を崩される姿勢なのでよろしくない。なるほど、考えてみれば格闘技の試合でも中段や上段の蹴りを打つときはほとんど相手の身体の開いたほうに打っている。納得しながら左の蹴りを練習するが、これがなかなかうまくいかない。利き足ではないうえに生来の身体の硬さもあいまって、お遊戯を踊っているよう。しかも基本練習では打たない左足前での左の蹴りだからなおさら。かてて加えてここまでの練習での疲労の蓄積もあり、かなり悔しい結果になった。
 最後は組み手。生徒同士では危険なので、原則先生と1対1。先生は反撃せず捌くだけで、生徒は全力でいって構わない。もちろんフルコンではないので「当てたら引く」のだが、生徒はいずれも不慣れな素人だ。よほどの経験を積んでいなければできないよなあ、と感心。
 ミット打ちでの醜態が頭にあったので本気でいくが、先生の前に簡単にあしらわれる。自分では上達したなと思った間合いの詰め方も、いざ実践となるともう一歩が踏み込めない不完全燃焼。それでも攻め続けていたのだが、ここでやってしまった。ミット打ちの時にいわれていた右利き選手への後ろ足での蹴りを打ってしまったのだ。しかもこれが先生の肘にクリーンヒット。悶絶しながらこの日最後の練習は終わった。

 計3時間の練習の中で、上達したところも重大な課題も見つかった。足の指の皮が剥けたのに悩まされながら風呂につかり、自主練のメニューと翌日にくるであろう筋肉痛のことを思った。

2006-12-02 19:43:20 | 空手
 3日おいてプッシュアップとクランチ+筋トレ。
 2日おいてプッシュアップとクランチ+空手の型。
このサイクルを延々と繰り返している。結果、代謝は増し、身体が引き締まって軽くなった。一般的に筋肉はぜい肉より比重が重いが、食事の量が増えないならいずれ体重は減る。ダイエットとトレーニングが同時に進行できているわけで、これはとても効率がいい。
 筋肉を鍛えることは、空手にも良い影響を及ぼす。なぜなら攻防の基本は筋肉にあるからだ。攻撃する矛となり、身を守る盾になる。突き、蹴りといった打撃の他にも、掴み合いになった時に相手を突き放したり、逆に引き込んだりするといった時に使われるのは純粋な力だ。

「ホーリーランド」森恒二

 というようなことを最初に思ったのは、このマンガを読んでからだ。引きこもりのいじめられっ子神代ユウが、ボクシングのワンツーを身につけて「街」に繰り出し、ヤンキーや格闘選手を倒しまくる格闘マンガ。細身のユウの自信の源として、筋トレが出てくる。
 また、話の後半では間合いについても語られている。最近は組み手をやっていることもあり、この間合いの重要性というやつが身に染みる。どのように間合いを詰めて正拳を打つか、蹴りを放つか、どのように予備動作を隠すのか、意表をつく一撃とはどんなものなのか。考えても考えてもなかなか答えは出ない。出ないままにぶ格好な打撃を繰り出し、軽くあしらわれるのがとても悔しい。
 不安を打ち消すにはトレーニングしかない。筋トレ、基本の型の練習に精を出し、汗とともに負の思考をシャワーで洗い落とす。翌朝に残る筋肉痛も、不安を打ち消す元となる。
 アパートの狭いリビングで黙々と技を練っていると、頭の中が真っ白になっていく。なんのためにこんなことをしているのか、こうしていくことで自分はどうなりたいのか、わずらわしい考えがどこかへ吹き飛んでいく。

60億分の1

2006-11-29 21:02:08 | 空手
 空手を習っている……というのもおこがましいほど浅い経験しかないが、ともあれ、空手を習っている。
 流派は四大流派のひとつ糸東流。会社の後輩が二十年間たしなんできたものを、会社の若手メンバーが集まり、勉強会のようにして教わっている。
 練習場は隣町の武道館。1時間300円の賃料で約3時間、1週間に2度ほど借りている。
 一礼をして武道館に入り、先生を前に正座。神前、先生に対して礼。黙想し、正面に対して礼。入念なストレッチ。その後、突き、受けの基本稽古に入る。
 なにせ運動はテニスとスキーしかやったことがないので、すべてが新鮮な体験だ。
 自分の身体の硬さも、足の裏の痛みも、普段使用しない筋肉の断裂も、とにかく発見の連続で面白い。
 フルコンタクトではないから本気でやりこそしないものの、一応組み手の練習がある。二十年選手の後輩はともかく、同僚にやられるとそれなりにムッとするわけで、ますます練習に身が入っていく。
 筋トレなど日常繰り返し鍛錬することに抵抗がない性分なので、家での自主トレは欠かさない。筋トレとのミックスで身体が悲鳴を上げ、汗だくになるまで型稽古に励んだあと入る風呂は、また格別だ。
 疲労の余韻を楽しみながら浴槽につかり、時々思う。古来から受け継がれてきた空手の歴史を支える末端になっていることを。枝葉どころか繊維の一本にすらなっていないことは承知の上だが、それでも、自分の中に少しずつ染み込んでいくもののことを思う。そして唐突に理解するのだ。この延長線上にあるもののことを。

「格闘技絶対王者列伝」布施鋼治

 男の子は夢を見る。強い自分。世界最強の男。だが成長するにつれて現実を知る。限られた骨格の中で、才能の下に、目標を低く押さえる。それが大人になることなのだと自分に言い聞かせながら、物分りのいい人間になっていく。
 わがままな男たちがいる。彼らはかつて夢見た自分の姿を胸に抱きながら、現在進行形で、果てしない切磋琢磨の中にその身を置き続ける。
 本作は、諦めなかった男たちのことを記した本だ。スポーツライターの目線から見た総合格闘技の成り立ち。とくに現役最高レベルの選手それぞれにスポットを当てた強さへの理解は、なるほどとうなずける説得力を持っている。
 主な選手としては。
 エメリヤーエンコヒョードル
 アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ
 ミルコ・クロコップ
 ヴァンダレイ・シウバ
 吉田秀彦
 桜庭和志
 菊田早苗
 五味隆典
 美濃輪育久
その他にGRABAKA、ロシアントップチーム、ブラジリアントップチームや、 アブダビコンバットなど特殊な団体、大会の説明など、興味深い記述も多い。
 60億分の1になる夢にとり憑つかれた男たちの生き様。それに魅せられた一人のライター。多様化する総合シーンのバックボーンとして、押さえておいて損のない1冊だ。