はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

WORKING!!(8)

2011-02-28 08:53:31 | マンガ
WORKING!! 8 (ヤングガンガンコミックス)
高津 カリノ
スクウェア・エニックス


「WORKING!!(8)」高津カリノ

 北海道某所に存在するファミレス「ワグナリア」でバイトする小鳥遊くんは、ちっちゃい物好きがこうじてバイト先を決めたほどのアレな青年。そんな彼にも、伊波さんという例外的な女の子が現れて?
 な人気シリーズ第8巻。
 小鳥遊くんに撫でられたことによって、バイトを休むほどに盛り上がりすぎてしまった伊波さん。紆余曲折を経はしたけど、メールをやり取りするようになったりと、2人の関係はかなり前進した。小鳥遊くんのほうにもすこしずつだけど自覚症状が出てきたしね。
 佐藤くんと八千代さんのほうは、なんと2人で飲みに行く約束を……!
 そんな2カップルの進展以外には、小鳥遊くんの妹・なずなの出現率アップが見所。小鳥遊家の女性陣の中でもっともしっかりしていて、小鳥遊くんほどではないにしても仕事ができて、人アシライのうまいフィクサー的存在でありながら、「お兄ちゃん大好き!」なブラコンぶり。これは可愛すぎるといわざるをえない。
 あーあ、アニメ2期とか始まらないのかねえ……?

神のみぞ知るセカイ(11)

2011-02-26 19:44:13 | マンガ
神のみぞ知るセカイ 11 (少年サンデーコミックス)
若木 民喜
小学館


「神のみぞ知るセカイ」若木民喜

 檜・楠の、春日姉妹の話の決着。ハクア・天理と桂馬のトライアングル遊園地デート。桂馬の「女の子がいてエンディングがあれば、僕にとってはすべてがギャルゲーなんだよ」神発言などなど、いろいろとトピックスはあるが、一番はエルシィ・桂馬の遊園地デートだろう。ファン待望のエルシィパート来たか? という期待はもちろんのこと見事に裏切られたものの、桂馬との関係を小なりとはいえ意識し始めたエルシィが可愛かった。アニメ版でも好評だったが、本当にこの娘は紙面に映える。
 それに比べるとちょいと落ちるが、春日姉妹の話もなかなか良かった。他人からの期待と根拠のない自負心と、下の者(この場合は妹)からの追い上げによって追いつめられた檜の気持ちはなんとなくわかる。なんとなく、というのは僕とはまったく境遇が違うから。でも「そういう」プレッシャーがどういうものかはよくわかる。作者がこの話は読み返したくないという気持ちも。思い出したくない辛い記憶。通過しなければならないハードル。いつも思うことだが、この作者は作品に自己投影してそのつど凹むくせに、そこから逃げない。好感がもてる。
 メイン部分の古悪魔や、桂馬との記憶を保持している女子探索についてはまた次巻……かな。

進撃の巨人(3)

2011-02-24 15:01:11 | マンガ
進撃の巨人(3) (少年マガジンコミックス)
諫山 創
講談社


「進撃の巨人(3)」諫山創

 人間のみを捕食する巨人の出現によって、絶滅の危機に陥った人類は、巨大な石の壁で囲まれた街に立てこもり、細々と命脈を保つことにした。そんな仮初めの平和は、突如出現した超巨人によって破られた。
 巨人に食われ絶命したはずのエレンが生きていた。喜ぶミカサだが、彼は巨人化できる特殊能力と、いつどちらに転ぶとも知れない危うい精神状態を抱えていた。
 そんなエレンを恐れた兵士たちは、彼が人間に戻っている間に殺すことに。当然のようにその前に立ちふさがるミカサ。その目に迷いはない。たとえ同胞が相手でも、エレンを害さんとする者に容赦はしない……。

 対巨人サヴァイヴァルなだけではなく、変身ヒーローものでもあったのは嬉しい驚き。好きなジャンルなんだよね。まだまだエレンが巨人の能力や、精神そのものをうまく扱い切れてないところも危なっかしくて良い。どきどきさせてくれる。
 キャラ的にはやはりミカサ。エレンの他には何も見えない真っ直ぐさが素敵。あとは初登場のリヴァイ兵士長も、クールで強くて良い感じ。
 しかし、このマンガがこのマンガがすごい! に選ばれたのには(ややこしい)驚いた。受け口狭いと思ったんだけどね。ぐろいし。でも、それ以上に面白いからな。うん。

マリシャスクレーム(2)

2011-02-23 08:04:03 | 小説
マリシャスクレーム〈2〉―MALICIOUS CLAIM (メディアワークス文庫)
範乃 秋晴
アスキーメディアワークス


「マリシャスクレーム(2)」範乃秋晴

 やっと出た。クレーム対応小説、待望の続編。
 うん、今回も面白かった。いや、むしろ第一作よりも格段にレベルが上がっていた。IPBC(非人間的異常性悪質クレーマー)というものの存在を、読んでいる側が完全に把握しているから入りやすかった、というのもあるけれど、それだけではない。話の作り込みや導入が凝っていた。派手な見せ場があり、それが不自然でない。見せるべきキャラを絞り、書くべきエピソードを書き込んだ。最初から最後まで、本当に綺麗にコントロールされた小説だった。
 いきなりのエマージェンシーカスタマーセンターへのプルートフォースアタック。鳴りやまない電話。内通者の存在。1人しかいない榊原に対して、複数のIPBCが同時攻撃を仕掛けてくる。ハラハラドキドキの展開に、何度も手に汗を握った。最終決戦での榊原の切り替えしには、拍手を送るしかない。
 一方日常パートでは、たくさんいるヒロインの中の1人でしかなかった宮ノ内可憐が、メインヒロインはわたしだといわんばかりに、榊原への猛アタックを敢行。人を疑うことしか知らない、本気で恋の意味を知らない彼を変えてみせると、不退転の決意で恋人宣言をした。恥じらいも初々しさも忘れず、きちんと属性をキープしたままで。そのぶん他のヒロインズはおざなりになっているけど、もともとが手を広げすぎな感があったのでちょうど良かった。うん、可憐はいいキャラです。
 作者がもともとゲームクリエイターや演劇畑に行こうとしていた人間だというのをあとがきで知って、思わず深く納得した。これは、映画かドラマか、いずれにしろそういった生の役者に演じてもらいたい作品だね。

菜々子さんの戯曲~Nの悲劇と縛られた僕~

2011-02-21 19:55:25 | 小説
“菜々子さん”の戯曲 Nの悲劇と縛られた僕 (角川スニーカー文庫)
高木 敦史
角川書店(角川グループパブリッシング)


「菜々子さんの戯曲~Nの悲劇と縛られた僕~」高木敦史

 3年前、小学生だった僕こと坪手と仮称・菜々子さんともう1人は、ある事故に遭遇して大きな傷を負った。もう1人は命を、坪手は体の自由を、菜々子さんは本名で呼ばれると発作を起こすようになり……つまりは名前を失った。
 それ以来、病院のベッドに縛り付けられることになった坪手の病室には、土日を抜かした週5日間、欠かさずに菜々子さんが見舞いに来てくれるようになった。意識はあれども指一本動かすことも、言葉を喋ることもできない、でも物音は理解できる坪手のために、彼女は身の回りで起こったあれやこれや、面白かった小説の話を、彼女流のフィルターを通して聞かせてくれる。可憐で快活だけど独善的で陰険な、菜々子さんの語る世界。それが、今は坪手のすべてだった……。

 小学校時代の坪手と菜々子さんのやり取り。
 今の坪手に一方的に語りかける菜々子さんの言葉。
 小学校時代にいじめられていた坪手の辛い日々。
 おおまかに分けて3つのパートから作品は成り立っている。めんどくさがりでその場しのぎでシニカルな小学生の坪手がどうにも好きになれなくて、そこがクローズアップされるいじめのパートは嫌いだ。いや、あんまり好きな人もいないだろうけど、とにかく小学生らしい残酷さが読んでいて辛くて、なかなか読み進めることができなかった。一方、菜々子さんの出てくる場面は文句なく面白い。クールで非道な菜々子さんが、小学生らしからぬ知力で周囲の人間を思うように動かし、目的を達成していく様は痛快そのもの。主目的が坪手に貸しを作ること、というのも良い。最後のまとめもすっきりしていて、2人のこれからを思うときゅんとなって、良い読後感に浸れた。おすすめ。

サムライ・ラガッツィ(1)

2011-02-19 19:09:10 | マンガ
サムライ・ラガッツィ 戦国少年西方見聞録(1) (ライバルコミックス)
金田 達也
講談社


「サムライ・ラガッツィ(1)」金田達也

 時は天正十年。戦国の世。魔王織田信長はすでに亡く、徳川家康が着々と日本を畳みにいっている世にあって、九州のとある小国の領主・播馬晴信の目は世界に向いていた。
 日本国を飛び出し、世界のすべてを記した「万国大百科」を完成させることを夢見る晴信は、能なしとして近隣の国に舐められ、義母には命を狙われる悲しい子。だがある日、大友・大村家の誘いの遣欧少年使節団に「領主自らが参加する」というすさまじい奇行に出る。お供は伊賀随一の忍だったという桃十郎ただひとり。行った先にどんな困難が待っているかは知れず、戻った時には義弟に国を乗っ取られているだろうに。それでも、晴信は世界を目指すのだ……。

 歴史冒険もの。時代的にもかなり好みの時代で、楽しみに読んだんですが、うーん……なんか微妙。晴信のキャラが好きになれないってところが最大の原因なのかな。好奇心に満ちあふれていて、義侠心があって、主人公としては申し分ないのだけど、自分は侍に向いてないから家督は義弟に譲る、という決断を簡単にしちゃうところが好きになれない。責任感なさすぎでしょ。お兄さん。
 海賊と戦ったり、マカオの現地人と親しくなったりと、冒険部分はけっこう見れるんだけどね。主人公がねー……。次巻は読むかどうか微妙。

イエスタデイをうたって(7)

2011-02-18 08:18:12 | マンガ
イエスタデイをうたって 7 (ヤングジャンプコミックス)
冬目 景
集英社


「イエスタデイをうたって(7)」冬目景

 こ、これは……。
 さすがに驚いた。まさかまさか、陸生と品子が本当につき合うことになろうとは……。
 奥手なこの2人らしく、「好き」とか、「つき合おう」とか、そういったストレートなやり取りは経ていないんだけどね。なんかこう、そうなってしまったのだ。しかも、どっちかというと品子のほうからのアプローチで。情けないぞ、陸生。
 しかしそうなると納まらないのが晴。これ、あまりに晴が不憫じゃないか。あれだけ真っ正面から攻め込んで、あげく本命にかっさらわれるとは。しかもつき合ってることを2人は隠してて、晴が問いつめるまで明らかにしないし。
 一方で、晴にアタックしまくってくる美大生の男はいるし、本当に、胃が締め付けられるような巻だった。主人公視点で感情移入すれば、ハッピーラッキーなんだろうけどね。でも、このマンガの主人公は陸生だけじゃないと思うのだ。晴はヒロインであり、同時に主人公なんだよね。ああ、続きが気になる。

変態王子と笑わない猫

2011-02-16 09:29:20 | 小説
変態王子と笑わない猫。 (MF文庫J)
さがら総
メディアファクトリー


「変態王子と笑わない猫」さがら聡
 
 自身の変態性を隠すために、建前の鎧をまとって日々を過ごしていた高校2年生・横寺。その鎧が認められ、陸上部の次期キャプテンに選ばれてしまったことで、彼はそんな自分が嫌になり、町外れの丘の上にある「笑わない猫像」に願った。するとなんと、彼は心で思ったことをどこでも垂れ流しにしてしまう暴露体質になってしまう。
 露わになった変態性に周囲が音を立てて引いていく中、1人の少女が彼に近づいてきた。彼女の名は筒隠月子。笑わない猫像に本音を奪われ、感情が一切表に出ない機械のようになってしまった彼女と横寺、2人は互いに協力し合い、自分たちの失ったものを取り戻そうとアニマル喫茶でお茶したり水着を買いに行ったり、お嬢様のペットになったりするのだった……?

 ほう。
 けっこう面白かった。横寺の変態性がさほどでもなかったり、笑わない猫像を介して他人から本音と建て前を取り戻そうという思考回路が気に入らなかったりしたのだが、話を読み進めていくうちに、その辺の諸問題はきっかり解決してくれた。やっぱり変態性はさほどでもないけど、取り戻し方には筋が通っていた。
 イラストもそうだけど、女の子キャラは総じて可愛い。猫のように小さくて感情が読めない月子。ぺちゃぱいと世間体を気にし過ぎるお嬢様・小豆梓。陸上部を支配する鋼鉄の王。とくに月子のちょこまかとした動きの可愛さは図抜けている。クーデレな彼女の存在だけでも読む価値は十分にある。

深山さんちのベルテイン

2011-02-14 16:49:27 | 小説
深山さんちのベルテイン (GA文庫)
逢空 万太
ソフトバンククリエイティブ


「コタロー殿、起きるであります、起きるであります」

「深山さんちのベルテイン」逢空万太

 女の子より可愛いために、校内でも女子の制服の着用が認められたほどの男の娘・琥太郎。身も心も女の子な彼を再教育せんと、遠く米国で科学者をしている母から贈られたのは、ベルテインという名のメイドロボだった。
 琥太郎の頭くらいのサイズしかない彼女の役割は、琥太郎の身の回りの世話と、前述の通りの再教育としての実地を伴う性教育。つまりはセッ○ス。蓄積したお手伝いポイントを消費することによって、ある程度の時間なら人間サイズになっていられるという彼女は、事あるごとに琥太郎に迫ってきて……。

 なんて話のはずなんだけど、そういうシーンはあまりない。ちびサイズのベルテインさんと琥太郎の、ほのぼのまったり日常パートがメインだ。そこに、幼なじみの理々や耕平、理々の家の犬のディアナや理々母、琥太郎を目の敵にしつつも実は惚れてる金髪ヤンキー(男)などがアクセントとして絡んでくる展開で、なんとなく「あずまんが大王」を思い出しながら脱力しつつ読んだ。
 主人公が男の娘ってのが微妙なんだけど、ベルテインさんのちょこまか具合が好みなので楽しめた。

ビリオネアガール(1)

2011-02-12 20:19:42 | マンガ
ビリオネアガール(1) (アフタヌーンKC)
桂 明日香
講談社


「ビリオネアガール(1)」原作:支倉凍り砂 漫画:桂明日香

 金欠大学生の高遠恵(けい)のもとに舞い込んだ、時給1万円のアルバイトの内容は、とある女の子の数学の家庭教師。あまりにも美味しすぎる話には、当然裏があった。その女の子・藤岡紫(ゆかり)は18歳(くらい)にして学校にも行かず、家族と離れて高級マンションに閉じこもりきり。友達もおらず、世間的な常識も、世間との接点もない。しかし一方で、デイトレードの腕は超一流で、その年齢にしてすでに個人資産170億を誇る富豪だ。
 いろいろアンバランスな紫だが、人並みに世間と接していきたい、友達が欲しいと願ってはいるらしく、人畜無害で男っぽくない恵におんぶにだっこで、今、世間への扉をくぐるのだった。
 
「狼と香辛料」の支倉らしい経済漫画。というと語弊があるだろうか。圧倒的な経済力のせいで世間からも家族からもつまはじきにされてしまった不憫な少女を育成していくお話だ。
 紫は天然で素直で可愛くて、ずっと見守っていたくなるような、保護欲をソソる少女。おっとりして奥手で、誰かのために能動的に行動したことなど皆無の恵とはいいコンビだ。この2人が一歩一歩歩み寄り、互いを変えていく様が、とても素敵だ。次巻も当然あるよね? 期待大。