はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

水惑星年代記~月刊サチサチ~

2009-05-30 19:06:45 | マンガ
水惑星年代記月刊サチサチ (ヤングキングコミックス)
大石 まさる
少年画報社

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「水惑星年代記~月刊サチサチ~」大石まさる
 
 タイトル通り、「水惑星年代記」の別冊。連載に行き詰っていた作者が割り当ての4ページを使って勝手に書いた漫画というだけあって、やたらお気楽な作品に仕上がっている。
 将来何をしたいとか何になりたいということもない幸子さんは、自分探しの旅の途中。目的地も思いつかないのでとりあえずバイクで北へ向かって、見つけた廃バス停を勝手に改造して住み着いた。
 んで、翻訳のバイトで小銭を稼ぎながら、ワカサギを釣り、花火をし、カヌーを漕ぎ、風力発電を設置し、子供たちと戯れるゆるーい日々。
 それのみ。
 敵もなく、辛い出来事も起こらず、ゆったりとした時間の流れと広大な水惑星の地平線の彼方を味わえれば勝ち。
 ……いやあ、うらやましいね……。

Doubt(4)

2009-05-28 19:01:10 | マンガ
Doubt 4 (ガンガンコミックス)
外海 良基
スクウェア・エニックス

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「Doubt(4)」外海 良基

 1巻を読んだきり投げ出していたシリーズなのだが、今回無事完結したとのことで、2巻から4巻までまとめ買い。
 ラビット・ダウトと呼ばれるネットを介した嘘つき探しゲームのオフ会は、転じて身の毛もよだつような惨劇の場となった。閉ざされた空間に数人まとめて放り込んで、その中にまぎれた「嘘つき」が、人を殺しまくる。殺される前に「嘘つき」を探しだして脱出すれば勝ち。できなければ負け。
 どこか洋画「SAW」シリーズを思わせるようなソリッドホラー。作者も同作品をリスペクトのだろうか、雰囲気がそっくり。いやほんと、オチの強引さまでそっくりでつっこみどころ満載。
 しかしまあ、こういうのは雰囲気を楽しむものなので、「SAW」好きな人なら楽しめるはず。4巻まとめ読み前提だがおすすめ。

狼と香辛料(3)

2009-05-25 20:11:57 | 小説
狼と香辛料〈3〉 (電撃文庫)
支倉 凍砂
メディアワークス

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「狼と香辛料(3)」支倉凍砂

 遙か北の地、ヨイツという村から南下して数百年が経つ狼の化身・ホロを故郷に帰してやるため、常とは違う時期に違うルートで北上しながら行商を続けるロレンス。成功や失敗、命の危機を乗り越えて、浅からぬ絆を結ぶ2人の間には、しかしいまだ埋められぬ溝がある。共に過ごせる時間が短いと知っているから、孤独であることの怖さを知っている2人だからこそのその溝こそが、実にこの話の根幹だ。
 そういったデリケートな話題にはつとめて触れないようにしていたロレンスなのだが、クメルスンで魚の仲買人を営む美青年アマーティに仕掛けられたホロを賭けての決闘の最中。失態から思いきり地雷を踏んでしまい、突如破局の危機が迫る。ホロはこのままアマーティと結婚してしまうのか……。

 大人気、狼と人との異種族恋愛ファンタジー第3巻。
 作者が書き慣れてきたせいか、2人の会話や行動の端々にうかがえる気遣いと駆け引きがスムーズになっていて、よどむところなくずんずん読める。商いを絡めた話の盛り上げ方もうまいし、ほとんど一気読みに読みきってしまった。

ラプンツェルの翼(1)

2009-05-23 20:00:27 | 小説
ラプンツェルの翼 (電撃文庫)
土橋 真二郎
アスキーメディアワークス

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「もしもこのトランクを拾った方がいたら、絶対に開けないでください。人にとって危険な武器が入っています。開けない限り危害はありません」

「ラプンツェルの翼」土橋真二郎

 と書かれた大きなトランクを開けると、中には1人の少女が入っていた。個人情報も衣服も何一つ持っていない少女に、昔死に別れた妹・奈々の名前をつけた主人公の高校生・遼一は、人類を食らうバグと天使の争いに巻き込まれることになる。
 ほどなくして接触してきた現役天使・リサに渡された七つの駒と地図とうさぎのぬいぐるみを手にした遼一は、天使の素である奈々を守り抜き、一人前の天使に育てなければならない。だがそれにはもちろん弊害があって。幼なじみの美穂のうろんな目つきや、天使を育てるにあたっての利益を欲する他のプレイヤーからの攻撃を逃れ、時に打倒しなければならないのだ……。

 類型的すぎてもはや美学すら感じる出だしだが、そこはそれ、土橋真二郎だけにゲーム的味付けがなされている。アイテムを使った戦闘や、そのたびに消費されるポイントとポイントの補給の概念。自らの居住地を中心にしたホームの概念。ホーム外にいる時のペナルティetc……。
 正直「またかよ」という思いが8割を占めた。主人公がいつもより自暴自棄とか、珍しくラストがハッピーエンドとか、意外な部分はあったものの、ブラックコーヒーが微糖のコーヒーになった程度の違いしか感じられない。たまにはお茶やジュースが飲みたい……よね?

とある魔術の禁書目録(1)

2009-05-21 17:59:35 | 小説
とある魔術の禁書目録(インデックス) (電撃文庫)
鎌池 和馬,灰村 キヨタカ
メディアワークス

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「とある魔術の禁書目録」鎌池和馬

 これまた友人T氏からの借本。いい加減買えよという話もあるけど、シリーズものはキリがないから……ねえ。
 サイキックの研究開発学園都市に住まう上条当麻のもとに、銀髪の女の子が空から降ってきた。その女の子はインデックスという名で、完全記憶能力でもって古今東西10万3千冊の禁書の内容を一字一句記憶していて……とまあ、ステレオタイプなボーイズミーツガールもの。主人公がアンチサイキック(とか魔術とかいろいろ)能力の幻想殺し(イマジンブレイカー)を持っていて、鋼線使いのサムライ女や炎の魔術師と死闘を繰り広げる異能バトルものの側面もあわせ持つ基本に忠実さで、ちょっと吐きそうになった。
 頭を使って戦うし、熱い魂を叫んでいるし、ラブな要素もしっかりあって。高校生くらいの頃の僕ならば楽しんで読めたと思うのだが、正直この年齢になると、この手のモノは読み飽きました。
 人気シリーズだし、これから先の展開がどう転ぶかわからないし、「自動書記(ヨハネのペン)」とか「魔女狩りの王(イノケンティウス)」とか「クロウリーの書」とかとか、単語単語にひっかかるものがあるといえばあるので、もう1冊は読んでみる……のかなあ?

ブラック・ジョーク(2)

2009-05-18 00:29:46 | マンガ
ブラック・ジョーク 2 (2) (ヤングチャンピオンコミックス)
小池 倫太郎
秋田書店

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「ブラック・ジョーク(2)」画:田口雅之 作:小池倫太郎

 交渉術に長けた女たらしの吉良潔と、筋肉だるまかつ武芸百般に通じる小玉童示。TD温泉ホテルのフロントと用心棒の2人は、互いの得意な領分を分かち合い、銃弾飛び交い血煙漂う「きぼう島」を生き抜いていく。米軍海兵隊で共に死線を潜った2人の行く末に待つのは、果たして栄光か死か……。
「アドミラル(提督)・ジョニー」、「ザ・ガンボート(砲艦)」、「BANG」3話連作。
 吉良にハメられ米軍海兵隊をオチこぼれたアドミラル・ジョニーと、その意のままに動くファッティ・スナイパーのガンボートのコンビが、かつての因縁から吉良&小玉の命を狙う。
「Background of 小玉童示」
 意外におぼっちゃまだった小玉の生い立ちと、彼を慕う殺戮忍者の末裔・黒木あかりのとある日々。
「ドラッグゲーム」、「ドラッグゲーム2」、「ドラッグゲーム3」3話連作。
 地下格闘技の賭け試合で、身の程知らずにもランオーバーに喧嘩を売った三合会の女首領の哀れな末路。ドラッグキメキメの格闘士に、なんとあの小玉が不覚をとって……。

 ぎとぎとぬめぬめ、愛憎も欲望も一切合切隠すことなくつまびらかにし、男にも女にも容赦するところのまったくない小池倫太郎の脚本は相変わらず。
「バトル・ロワイアル」で立証済みの、田口雅之のバイオレンス・エロ描写にも拍車がかかっている。
 万人向けではないものの、激しい化学反応を起こすこのコラボは、おとなしい作品や何かの二番煎じばかりが蔓延る昨今の漫画業界に投じられる一石となりうるか? あまりにも尖りすぎていて、特定のファン層にしか受けず打ち切りとならねばよいが……。
 

シャトゥーン~ヒグマの森~(2)

2009-05-15 21:00:58 | マンガ
シャトゥーン~ヒグマの森~ 2 (2) (ヤングジャンプコミックス)
増田 俊也
集英社

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「シャトゥーン~ヒグマの森~(2)」作:増田俊也 画:奥谷通教

 北海道北部の広大な樹林、天塩研究林。そのさらに奥地の研究小屋に、2人目の被害者の絶叫がこだました。冬眠に失敗したあげく手負いの巨大なヒグマ(シャトゥーン)の暴れぶりにはますます手がつけられず、薫たちは小屋の中に閉じこもるしかできない。そうこうしていうるちにも気温は下がり続け、いまやマイナス40度。シャトゥーンにやられるのが先か凍死が先か……極限の状況の中、薫の双子の弟・昭は、雪上車と猟銃がある雪崩観測所を目指して単独行を決意する……。
 だが、やはりというか当然のように昭は帰ってこず、同行した犬のカイだけが戻ってきて皆の目の前で息絶えた。意を決した薫もまた雪崩観測所を目指すのだが、シャトゥーンに追われ命からがら逃げ帰る。万策尽き果て、娘の美々と後輩記者の瀬戸を連れて、35キロ先の林庁舎へ向かうのだが……。

 説明不要のクマ・モンスターパニックもの。
 無力な人間が野生の暴力に蹂躙されまくるツボは当然のように押さえている。足を噛み千切られ頭皮を剥がされ首をもがれ、刃物は役に立たず撃退スプレーもその場凌ぎ。いろんな意味で気持ち良い。爽快。
 しかしまあ、そろそろ援軍(討伐チームとかクマ撃ち猟師とか。最終的にはやられ役なんだけど)が来ないと全滅しそうなので、何かしらの梃入れをしてくるだろう3巻に期待。

唐傘の才媛(1)

2009-05-13 20:32:39 | マンガ
唐傘の才媛 1 (1) (電撃コミックス)
緋鍵 龍彦
アスキー・メディアワークス

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「唐傘の才媛(1)」緋鍵龍彦

 可憐で一途で大きな病院の娘という完璧物件・華房乙女を落とし、下心満載の小旅行へと出かけた主人公・揖宿六助。しかし乙女が極度のヤンデレで、メス使いの人体解剖マニアであることが発覚するなり、命あっての物だねとカバン一つ身一つで逃げ落ちた。やれ助かったと思いきや、逃げ落ちた先の細縁亭では女将にして魔女の水落紅の操る異形の使い魔どもに殺されかける。唯一の仲居・九重は猫又だし、オーナーは女神だし、真人間皆無の八方塞がりな状況で、なんとか一命を取り留めたはいいものの、何の因果か乙女ともども長逗留する羽目に陥って……。

 女だらけのハーレム……と見せかけて、勝手気まま理不尽我がままな女どもに振り回される六助の苦悩を描いたシリーズ第1巻。
 和風旅館の日常も風情もかなぐり捨てた破天荒極まりない事件の数々や、乙女との結婚や、紅との毒の吐き合いを楽しめれば勝ち……なんだけど、話の流れがカオスすぎて、正直オススメとは言いがたい。
 主人公がメガネの医者で、魔女に振り回され、その他の登場人物に真人間が1人もいない。で、全体的に和風。とくると、どことなく八房龍之助の「宵闇眩燈草紙」シリーズを想起させるけど、あれと比べると各段に落ちるので、そっち方面から来た人も過度な期待はせぬがよい。

狼と香辛料(2)

2009-05-11 20:25:04 | 小説
狼と香辛料〈2〉 (電撃文庫)
支倉 凍砂
メディアワークス

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「狼と香辛料(2)」支倉凍砂

 見た目は少女・実は偉大なる賢狼のホロをお供の(逆か)商人・ロレンスの旅はいたく順調であった。1巻で手に入れた胡椒がホロの活躍もあって約1.5倍の高値で売れ、店の主人の弱みを握っての信用売りで大量に武具を購入し、次なる町でさらなる売り上げを狙う。
 しかし、そうそううまく事は運ばないのが世の常。たどり着いた先ではいきなり武具が暴落しており、信用売りのギャンブルに出た目は裏と出た。
 莫大な借金を負ったロレンス。支払期日の2日後(!)に金を返せる商いなどあるはずもなく、貸してくれる人にも心当たりはなく、いよいよもって破産の2文字が脳裏をよぎる。テンパったロレンスの力になろうとのホロの気遣いも逆効果で、2人の関係は崩壊寸前。
 暗雲たちこめる旅路に微かに差した希望の光は、捕まれば斬首疑いなしの違法行為で……。

 大好評、行商ラノベの第2巻。
 手を繋いだり膝枕したり抱き合ったりと、深まりまくる2人の関係の進展具合が目覚ましい。いずれも狐と狸の化かし合いのような鞘当ての最中に繰り出される技なので、こそばゆくて恥ずかしくて、読みながら思わずそこらをのたうち回ってしまう。
 一方、ロレンスの商売も山あり谷ありのスリリングさで興味深い。「大航海時代」や「アトラス」にはまった人ならわかっていただけると思うあの感覚。あれ。PSでそのものずばりのようなソフトもあったけど思いだせない。それともSFCだっけな……。

アクセル・ワールド(1)黒雪姫の帰還

2009-05-08 20:32:33 | 小説
アクセル・ワールド〈1〉黒雪姫の帰還 (電撃文庫)
川原 礫
アスキーメディアワークス

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「アクセル・ワールド(1)黒雪姫の帰還」川原礫

 どんなに時代が進んでも、いじめられっ子はいなくならない。近未来のいじめられっ子・有田春幸は、中学2二年にして大人なみの体重で、性格は超がつくほどのびびり。親切を優越感、優しさを哀れみととらえる卑屈な少年だ。それは子供の頃からの幼馴染、チユリやタクム相手にも同様で、実の母親とはろくすっぽ会話もない。
 逃げ場はゲーム。学校での休み時間は学内ネットのマイナーゲーム(人気ゲームは他人が来るから)スカッシュで時間を潰す日々。2年間延々同じ作業に没頭した結果、ついには神のような腕前を身につけた孤独な彼の前に、突然学園のアイドル・黒雪姫が声をかけてきた。
「もっと先へ……《加速》したくはないか、少年」
 一生口をきく機会すらなさそうな超絶美少女に誘われ、春幸が踏み込んだ世界「アクセル・ワールド」は、この時代としては普通になったニューロリンカー(脳と量子無線接続し、五感に様々な情報を送る端末)を通した体感バトルゲーム。いままでつちかったゲーム脳を生かし、彼は世界の王となれるのか……。

 いじめられっ子が唯一得意な分野で強敵に立ち向かう、という流れはベタだけど熱く訴求力がある。黒雪姫の春幸への想いがやや唐突な他は、キャラ相関もすっきりとまとまっていて良い。
 バトルのほうは、頭脳戦もあるし、勝敗の帰趨だけ見ていても楽しめる。しかし問題点はバトルそのものの回数の少なさ。発端のスカッシュだってプレイ人口が少なすぎていまいち春幸の凄さの証明にはなっていないし、そんな状態で世界レベルといわれたってぴんとこない。
 だがまあ、マイナスを差し引いても十分面白い本だった。この展開で次巻が描けるかは謎だけども。一応(1)ではあるんだよな……。