はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

レギオン(1)~(3)

2009-02-21 19:26:44 | マンガ
レギオン 1 (1) (プレイコミックシリーズ)
藤澤 勇希
秋田書店

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「レギオン」藤澤勇希
 
 現在の日本のマンガ界で、モンスターパニックものの第一人者といえばやはりこの人だろう。「BMネクタール」などに代表される、その手の作品群の出来と数は、他に比肩する者がいない。それだけに、積み重ねてきた技術とストーリーテリングには定評がある。
 そんな作者がたどり着いた究極のお題は、ネズミ、カラス、蟻、蚊、フナムシ(!)などなど、都市にはびこる雑食性(一部例外有り)の虫や小動物。本作は、それらが突然大繁殖して人間を襲い始めたら、というとんでもないIFを基にしている。誰しもがおそらく一度は想像したことのある、害虫や害獣の群に襲われる自分。そのおぞましさを思う存分味わえる凄まじい作品。

 血の繋がっていない弟と片親(父)、という家庭に育った女子高生・華音は、ある日ハンバーガー屋で不思議な出来事に遭遇する。突然の停電とともに、どこからともなく大量のネズミが現れ、人間に襲いかかってきたのだ。
 たかがネズミとはいえ何百何千何万何億何兆と束になってかかれば、大の大人とてひとたまりもない。絶体絶命の危機を命からがら逃げ出して、弟の通う小学校を経由して自宅を目指すのだが、弟も父親もそれぞれに危機的状況に直面しており……。
 日本だけでなく世界そのものがネズミに食い殺されていく。蟻や蚊の群が人の命を奪う(体内に潜り込んだり、穴という穴を塞いで窒息させたりする)。とんでもない不快感だが、死に直面した人間の醜い行動も、かなりえげつなく気持ち悪い。自分が助かるために子供を犠牲にしたり、警察権力のいない中で暴行を働いたり、天罰下るべし、な連中がうようよ。
 その分、虫好きの弟、鈍感な父親、父親にベタぼれの会社の女子、クールな教師、自衛隊の女部隊長など、脇を固めるキャラには人間味溢れる清廉潔白なのが多い。全員が全員助かればいいのだけど、当然そんなわけにもいかなくて……。
 終わり方は、まあ妥当なところかな。これ以外の解決方法はないでしょう。

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