はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

とある魔術の禁書目録(2)

2010-06-29 20:11:06 | 小説
とある魔術の禁書目録(インデックス)〈2〉 (電撃文庫)
鎌池 和馬
メディアワークス

このアイテムの詳細を見る


「とある魔術の禁書目録(2)」鎌池和馬

 10万3千冊の魔道書の邪悪に冒され、1年ごとに記憶をリセットしなければならないうえに世界中の宗教や結社の標的になっている悲劇の少女・インデックスの危機を救った上条当麻。彼はその戦いのせいで記憶を失ってしまっているのだが、それを知ると、インデックスが悲しむような気がするから黙っている。
 だけどそれではいろんなところに綻びが出てくるもの。吸血鬼殺しの能力を持った少女・姫神、炎の魔術師ステイル・マグヌス、錬金術師アウレオルス・イザード。能力者たちの目的に巻き込まれ、彼は再び死地に赴くのだが……。

「とある科学の超電磁砲」が好きなんで、頑張って2巻を読了。
 うーん、やっぱり合わない。上条当麻の全方向いい人ぶりが、どうにも癪にさわる。読み方がひねくれちまったのかなあ? 美琴や黒子がいないとだめなだけなのかなあ?
 でも、最後の解決方法で「ぽかーん」としたのは僕だけではないはずだ。

じょしらく(1)

2010-06-28 18:56:24 | マンガ
じょしらく(1) (ワイドKC)
ヤス
講談社

このアイテムの詳細を見る


「じょしらく(1)」漫画:ヤス 原作:久米田康治

 男勝りの魔梨威、腹黒ぶりっこの木胡桃、ポニーテールの手寅、クールなめがねっ娘の丸京、性格暗めの苦来。個性豊かな女落語家5人は今日も身のない楽屋裏トークに興じる。
「犬派? 猫派?」
「海と山、どっちが好き?」
「宝くじ当たったら何買う?」
 などなど、聞き飽きたようなどーでもいいお題を無理くりコネ回して笑いにする久米田節を、可愛い系の女の子が書ける奴に書かせれば受けるんじゃね? という安易極まりない作品。
 ちょっと受け付けない感じだった。絵が違うとこんなにも違和感が沸くとはなあ……。久米田は久米田じゃないとだめなんだねえ。

エピデミック

2010-06-26 19:42:28 | 小説
エピデミック (角川文庫)
川端 裕人
角川書店(角川グループパブリッシング)

このアイテムの詳細を見る


「エピデミック」川端裕人

 首都圏通勤圏内、農業と漁業の町・崎浜の集落で、重症化するインフルエンザ様の病気が多発した。年寄りならともかく、若く健康だった者まですさまじい勢いで殺していくその症状は、どうもインフルエンザのものではないらしい。
 国立集団感染予防管理センター実施疫学隊隊員・島袋ケイトは、現場での有様にただならぬものを感じた。
 インフルエンザでもSARSでもない未知の感染症・XSARSと名付けられたその病気は、なかなか出所が判明しない。牛・豚・犬・猫・鳥・コウモリと野生動物が多く住まう環境に加え、謎のバイオ産業や、最近中国に渡って野生動物に触れた被害者の存在までが明らかになり、事態はますます混迷の度を増していく。その間にも感染者は増え続け、院内感染まで起こる。恐怖に陥った人々は、感染地区を封鎖することに……。

 緊迫のアウトブレイク小説。いやこれはすごい。
 丹念な現場捜査、徹底的な聞き込み、実際の科学捜査ばりに様々なデータを集め、感染源を特定して元栓を締める学問・疫学。
 怪しげな感染源候補がうろうろしてる様は、殺人犯がそこら中にいるような恐怖だ。患者が増え、町から人がいなくなっていく様は、大規模な連続殺人を思わせる。
 完全にミステリなのに、探偵じゃなく疫学なのだから新しい。
 人物描写も旨い。島袋ケイトも周りの人々も、地に着いたような実在感がある。彼女を主人公で、是非続編を出していただきたい。
 しかし、感染症ってのは、こうも日常に密接して存在してるんだなあとしみじみ思った。防疫はきちんとせねば。

殺戮ゲームの館(下)

2010-06-24 09:47:20 | 小説
殺戮ゲームの館〈下〉 (メディアワークス文庫)
土橋 真二郎
アスキーメディアワークス

このアイテムの詳細を見る


「殺戮ゲームの館(下)」土橋真二郎

 かつて、ネットで知り合った者同士が集団自殺したといういわくつきの廃墟を探していた、福永らオカルトサークルのメンバー11名は、気がつくと、見知らぬ場所に閉じこめられていた。
 そこで待ち受けていたのは、兎という司会者によって提示される一方的なルールの数々。ルールを守らなければ死亡。守っていても、「村人」役の中に潜んだ「魔物」役を見つけださないと、村人は一晩に一人ずつ殺されてしまう……。
 上巻で3名を失ったメンバーは、しかしこの段に至っても殺戮ゲームの謎解きに本腰を入れて乗り出そうとはしない。自分たちの中に裏切り者が、それも連続殺人を犯すほどの者がいるとは思えないし思いたくないのは当然だが、このままでは座して死を待つのみだ。そう考えた福永と後輩の藍は、ゲームを解決するために、強引な手段に打って出る。待つのではない、こちらから能動的に魔物をいぶり出すのだ……。

「扉の外」でデビューし、「ツァラトゥストラへの階段」、「ラプンツェルの翼」と、本当にそれ系の話か書いていない土橋真二郎。最新作ももちろんそれ系で、そして圧倒的に面白かった。
 どこがいいといって、巻き込まれているのが見知らぬ人たちではない点。サークルメンバーとして、日頃から仲良くやっている人たちを疑わなければならない。その中には親友や恋人まで混ざっている。このえげつなさ。
 条件付けも凝っている。
・村の中に村人になりすました魔物が潜んでいる。
・魔物は夜中に行動し、毎日人間を食べる。
・夜中に家の外にいる人間は全て食われる。
・村人全員が家に立てこもると、魔物は一軒の家に入り一人を食べる。
・魔物を一刀両断する斬魔刀という武器があり、夜中に効力を発揮する。
・斬魔刀を持った村人の家に魔物が入ると、魔物は斬り殺される。
・村人の勝利条件は魔物を殺すこと。
・魔物の勝利条件は村人を一人以下にすること。
 誰がどの部屋に入るか、一本しかない斬魔刀を誰に持たせるか、またその人はどのタイミングで部屋を選ぶか。戦略性があるルールが楽しい。
 しかし、なんといっても一番は、福永の後輩の美少女・高梨藍のキャラに尽きる。冷静で冷酷で、物事をなんでも割り切って考えることができて、それでいて外面は良い。自分の表情が周りに与える効果すらも想定して完全にコントロールできる。そういう「怖い」女が、実は福永のことを好いている。でも、福永には恋人の亜美がいて、しかも同じ密室内に閉じこめられている。だけど亜美はみんなと同じく疲弊していて、物事を割り切って考えることができない。ゲームクリアを第一に考える福永の相方は、藍しかいない。急接近する2人……。この背徳感がたまらん。
 ラストの余韻も独特で、読了したあとかなり長い間浸らせてもらった。文句なしのおすすめ。

俺の妹がこんなに可愛いわけがない(1)

2010-06-23 07:56:38 | マンガ
俺の妹がこんなに可愛いわけがない 1 (電撃コミックス)
伏見 つかさ
アスキー・メディアワークス

このアイテムの詳細を見る


「俺の妹がこんなに可愛いわけがない(1)」原作:伏見つかさ 作画:いけださくら

 頭がいいわけでもなく、運動ができるわけでもなく、打ち込めるものがあるわけでもない。いたって平凡な京介には、非凡な妹・桐乃がいる。勉強が出来、陸上エリートで社交性もあり、あげく超のつく美少女。完璧な桐乃の裏の趣味は、なんと「妹モノ」エロゲやアニメの鑑賞で……。
 とある事故から親にも同級生にもいえない自分の秘密をカミングアウトしてきた妹は、なぜか兄にも自分の趣味を理解してもらいたがる。
 あらゆる言葉で罵られ、冷たい視線を浴びせられ、とても兄とは思えない扱いを受ける京介は、でも基本優しいいいやつで、本人こそ認めたがらないものの、かなり重度のシスコン。やはり本人こそ認めたがらないものの、同じくらいにブラコンな桐乃とともに、オタク道を邁進していくことに……。

 ご存じ大ヒットライトノベルの漫画版。
 原作よりもキラキラプリプリまるまるしすぎてて、個人的にはあまり好きな絵柄じゃないのだけど、漫画化としてはうまくいったほうだと思う。京介のツッコミはキレがあるし、麻奈美はぼへーっとしてるし、桐乃がちょっと大人しくて京介にデレすぎてる感があるけど、良いところを良いままに生かせている。
 1巻では桐乃の秘密が親父にバレるところまでが描かれているのだが、そのへんもあざとい。桐乃を守る京介の勇姿が見れる第2巻を買わずにはいられないじゃないか。

QあんどA(2)

2010-06-21 01:19:13 | マンガ
QあんどA 2 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
あだち 充
小学館

このアイテムの詳細を見る


「QあんどA(2)」あだち充

 やんちゃで万能でみんなの人気者だった兄・久の幽霊にまとわりつかれ、時に身体を乗っ取られ。いろいろ面倒くさい厚の日常は、不良にからまれたり強盗に人質にされたり空き巣に入られたりイケメンさわやか男子にライバル認定されたりと、さらにいろいろ面倒くさい。
 厚を「初恋の人」と呼ぶ柔道娘・大内忍の出現は、これは面倒じゃなく嬉しい事件なのだが……?

 ゆっくりほのぼのした日常が続くばかりの地味な漫画。まあそこがいいところだし、あだち充っぽくもあるのだが、いまいちラブが足りないなあ、と思ってたら来ました。真面目で頑固な柔道娘、なかなか良い。おさななじみの遊歩との関係は全然脈なしな感じだし、こっちの路線でいいんじゃないかなあ? 

悪の華(1)

2010-06-19 08:35:49 | マンガ
惡の華(1) (少年マガジンKC)
押見 修造
講談社

このアイテムの詳細を見る


「悪の華(1)」押見修造

 ボードレールを愛読書とする文学少年・春日高男は、ある日過ちを犯してしまう。放課後の教室で、大好きな佐伯奈々子の体操着を盗んでしまい、あげくにそれをクラスの嫌われ者・仲村佐和に見られてしまったのだ。
 翌日から始まったのは、仲村からの脅迫。バラされたくなければ……と迫る彼女の要求は、金……ではなくとある「契約」。その内容はおそるべきものだった……。

 秘密を盾に美少女に脅され、あらゆる変態的行為をさせられる、という実に歪んだ話。「クソムシが」とつぶやく少女が表紙のお話だから、よっぽどだろうなと思ったら本当に歪んでた。
「漂流ネットカフェ」の作者の人なんで、変態行為の描写はさすがに手慣れている。いやほんとに、好きな女の子と会うのに服の下に体操着を着て行けとかどんだけだよ。
 つまりは完全に人を選ぶ作品なので、購入時はご注意願いたい。

8bit年代記

2010-06-18 08:03:39 | マンガ
8bit年代記 (GameSide Books) (GAME SIDE BOOKS)
ゾルゲ市蔵
マイクロマガジン社

このアイテムの詳細を見る


 何もない小さな街だった。
 だけど。
 瀬戸内の美しい夕空を見上げながらぼくらは確信していた、何かがはじまろうとしていのだ。何かすばらしいことが。

「8bit年代記」ゾルゲ市蔵

 ファミリーコンピューター、SCー3000、光速船、アルカディア、カセットビジョン……数多ある家庭用ゲーム機の誕生と、その勃興をリアルタイムに体験していた作者だからこそ書ける年代記。
 ゲームにどっぷりハマったゾルゲ少年の目線から描かれる、夢見がちでウェットにすぎる光景は、しかしちょっとでもその時代を体験した者にだったら理解できるはずだ。たかだかゲーム、されどゲーム。ここ数十年の間にとんでもなく発展したゲーム。そこにはたしかに何かがあった。ファミコン以降しか知らない僕にでも、十分理解できた。自身のそれにオーバーラップさせて、溢れる感慨に浸らせられた。 
 似たようなジャンルでいうと、「ピコピコ少年」なんかが近いか。でも本作はもっと手広く、真摯に扱っている感を受けた。

お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ(1

2010-06-16 17:54:05 | マンガ
お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!! (1) (アクションコミックス)
草野 紅壱
双葉社

このアイテムの詳細を見る


 お兄ちゃん…… お兄ちゃん……
 奈緒ねっ……
 お兄ちゃんが好きっ
 やさしいお兄ちゃんが大好きっ……
 たまにカッコいいお兄ちゃんが大好きっ
 でも、一番好きなのは……
 自分の妹に邪な感情を持ってる、変態なお兄ちゃんっ……

「お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ(1)」草野紅壱

 ピシャアアァアン!
 なんていう雷の効果音でもつけたくなるくらいの衝撃的なモノローグから始まるストーリーは、負けず劣らず衝撃的なものだった。
 高校一年の妹・奈緒に性的な欲望を抱く兄・修輔の胸の内をすべて察している当の奈緒は、こちらも兄のことが大好きなので、あえて過剰なスキンシップを繰り返す。お風呂で三助したり、一緒のベッドで寝たり、エロげーそのもののような過激な接触を強制し、日常の中で「過ち」が起こるのを期待している。
 修輔のほうは基本へたれだし、さすがに兄だという自負もあるのでそのような結果にはいたらないが、生殺し全開な日々はおっそろしくきつい。
 そんな2人の歪んだ日常に、「謎のツインテール少女」や「血が繋がっていない疑惑」が浮上し、さらに事態は混迷の度を深めていくのだった……。

 おもしろかった。こういう話ってありそうでなかったから、大変興味深く読ませていただいた。絵の可愛さ、キャラ立ちの良さ、過激なシチュエーションの数々に、「おそれおののきながら」楽しませていただいた。
 いやほんと、読んでるの誰かに見られたら首くくらなきゃならないくらいのレベル。部屋の片隅で、家族の人がいつ来ても隠せるような状態で、こっそりにやにや読んでいただきたい。
 ちなみにマイフェイバリットは、奈緒が修輔のリコーダーやハーモニカでハアハアいってるところ。

神様からひと言

2010-06-14 20:02:33 | 小説
神様からひと言 (光文社文庫)
荻原 浩
光文社

このアイテムの詳細を見る


「神様からひと言」萩原浩

 大手広告代理店を辞めた佐倉涼平の肩には、ティンバーウルフのタトゥーがある。売れないロックバンド「ポリボックス」に命を賭けていた彼は、しかしバンドが空中分解すると同時に情熱の行き場を失った。無駄なケンカっぱやさがもとで会社をクビになり、同じバンドのボーカルで同棲していた彼女のリンコにも出て行かれ、と大ピンチ。製麺会社の珠川食品に再就職を果たし、心機一転がんばろうと息ごむものの、そこは老害とおバカな二世副社長が幅を利かせる、よくも悪くも昭和の会社だった。
 早々に販売会議でやらかした佐倉は、リストラ要員収容所と呼ばれ恐れられるお客様相談室にぶちこまれる。そこはちょっと方向性の違った人材の宝庫だった。競輪狂いで仕事などそっちのけの篠崎、副社長秘書で裏表のありまくる宍戸、大男だが気が小さく言葉が喋れない神保、オタクで仕事中もネット徘徊ばかりしている羽沢。てんでばらばらで統一感など欠片もない彼らとする仕事が、これまたきれっぱやい佐倉には向きそうにないクレーム処理。でもローンがあるのですぐに会社を辞めるわけにもいかない。辛い日々を送る佐倉のことを、しかし神様(?)は見てくれていた。

 ろくでもない会社の製品に寄せられるクレームの数々と、くだらないとはわかっていても頭を下げ謝らなければならないサラリーマンの悲哀がよく描けていた。そのうえで、統一性がないお客様相談室の面々が、ある事件をきっかけに一致団結、会社の上層部にケンカを売る流れはとても熱く、ページを繰る手が止まらなかった。
 神様(?)の存在もいい味出してる。映画で出しても面白いはず。是非製作してくれないだろうか。