狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

グルジアの軽挙かロシアの陰謀か

2008-08-14 07:53:20 | 外交・安全保障

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グルジアへの米軍派遣表明、米露の対立激化へ (8月14日 02:24)
 露・グルジア交戦
 【ワシントン=黒瀬悦成】ブッシュ大統領が13日、米軍による対グルジア人道支援を発表したのは、グルジア情勢への関与姿勢を明確にし、「民主化のモデル」と自賛してきた親米のサアカシビリ政権を脅かすロシアを強くけん制する狙いがある。米露間の対立の激化は避けられない。

 ブッシュ大統領によると、ライス国務長官はトビリシ入りに先立ちフランスを訪問し、ロシアとグルジアの仲介を進めているサルコジ仏大統領と協議する。

 ブッシュ政権としてはあくまで外交的解決を優先させる構えで、現時点ではロシアとの軍事対決を避ける姿勢を堅持している。が、人道支援の形とはいえ米軍を現地に派遣したことは、ロシアに対し、軍事的選択肢を完全排除したわけではないとの「強い警告」を発しているのは明白だ。

 大統領は、ロシアは軍事行動を停止すると約束したにもかかわらず、これと矛盾する行動をとっていると批判。米政府が入手した情報を基に、ロシア軍部隊がグルジア中部ゴリの東側に陣を敷き、東西を結ぶ幹線道路を分断してトビリシを脅かしているほか、黒海に面する港湾都市ポチを制圧していることを明らかにした。

 ◆首都方面へ露軍進軍情報

 【モスクワ=瀬口利一】グルジアからの報道によるとロシア軍部隊は停戦合意後の13日もグルジア領内にとどまり、首都トビリシ方面に移動する動きを見せるなど、緊張状態が続いている。サアカシビリ大統領は、「ロシア軍が停戦合意をほごにして軍を進めている」と非難した。

 AP通信などは記者の目撃情報として、露軍部隊が装甲車両を連ねて、グルジア中部の要衝ゴリからトビリシの方向に移動していると伝えた。AFP通信はグルジア政府高官の話として、露軍部隊がゴリで、建物の破壊や住民に対する略奪を行っていると報じた。

 ロシア側はこうした情報を「事実無根」と否定した。

(2008年8月14日02時24分  読売新聞)

                    ◇

ロシアもグルジアも今、お互いに必死になって中傷合戦を戦っている。コーカサス地方で勃発してしまった血みどろの小規模戦争において、最初に仕掛けたのはほかでもない相手だと、侵略者のレッテルを押し付け合っているのだ。
傷ついたプライドのせいで発火、南オセチアの偶発戦争――フィナンシャル・タイムズ(フィナンシャル・タイムズ) - goo ニュース
(2008年8月11日(月)20:57 

                 ◇

話し合いで解決できるのなら人類の歴史から戦争の文字は消えてしまう。 

生き馬の目を抜くような外交交渉でも

「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求」(九条)するだけでは、逆に紛争の原因を増やすことにもなる。

ましてや戦争ともなれば自国の行動を正直に発表する愚かな国はいない。

11日のエントリーで次のように書いた。

戦争の発端ほど当事者の意見が食い違うものはない。 

お互いに「相手が先に手をだした」と相手の非を訴えるのは歴史が教える。

各紙の第一報を見ると、

「グルジアからの独立を目指す親ロシアの南オセチア自治州を攻撃し、それに対して南オセチアを支援するロシアがグルジアに反撃した」

といった内容。

つまり「先に手を出したのはグルジアだ!」

悪いのはグルジア? 

ロシア軍機、グルジア基地爆撃 全面戦争の可能性
朝日新聞 - <NOBR>2008年8月8日</NOBR>
【モスクワ=星井麻紀】グルジア軍は8日、同国からの分離独立を目指す親ロシアの南オセチア自治州に進攻し、大規模な攻撃を始めた。ロイター通信などによると、これに対してロシア軍機がトビリシ郊外のグルジア空軍基地を爆撃するなど報復攻撃し、軍事衝突が拡大している ...

これは、グルジア出身の黒海とロシア出身の露鵬が土俵上で戦うのとはわけが違う。 

両関取の勝負は勝ったり負けたりもあるだろうが、

軍事大国ロシアと小国グルジアとの戦いは、

横綱と序の口の取り組みのようなもので、

どう考えてもグルジアに勝ち目はない。

案の定、グルジアが停戦を提案するが・・・

グルジアが停戦提案、州都から軍撤退 ロシアは攻撃続行 (01:50)http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080811AT2M1001M100
82008.html

ロシアがこの絶好の機会に、おめおめと引き下がるわけはない。 

やはり停戦拒否!
グルジア軍撤退、ロシアは停戦拒否 黒海で海上封鎖(8/10) http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080810AT2M10016100
82008.html

ロシアの態度をみると新聞の第一報をそのまま額面どおり受け取れない。

プーチンは、グルジアが動き出すように「仕向けて」いたのだ。 日本を締め上げて開戦に追い込んだルーズベルトを連想する。

結局プーチンの思惑通り動いたグルジアが、

今頃「停戦通告」をしても、

ロシアは、

「もう、どうにもとまらない!」(by 山本リンダ)

 南オセチア衝突:グルジアが停戦通告 露拒否「攻撃は続いている」

                   ◇

もっともこの期に及んでもこんな脳テンキな社説を掲げる新聞もあるが・・・・。
グルジア紛争 武力では敵対解消せず(琉球新報社説 2008.8.11) グルジアとロシア両国は武力行使の愚かさ、悲惨な結末に思いを致し、即時停戦に合意すべきだ。その上で分離独立問題は、基本的にグルジア、南オセチア双方の話し合いで平和的に解決していく姿勢を求めたい。

戦争のきっかけはいつでもウソの付き合いで、全ては相手が悪い、と罵り合いだったことは、歴史が教えてくれる。

こんなこともあった。1931年の柳条湖事件や1964年のトンキン湾事件

小学生の作文のような、新報のご高説はさておき、日本の新聞では分からない当事国の思惑が外電からは垣間見れる。

フィナンシャル・タイムズ記事によると、

ロシア側の主張はこうなる。

グルジアの血気盛んなミヘイル・サアカシュビリ大統領が先週わざと、南オセチアの分離勢力に全面攻撃を仕掛けたのが、ことのきっかけということになる。自治州の支配権回復をもくろんだグルジア大統領は、ロシアは直ちに反応しないだろうとあてこんでの動いたのだ

一方のグルジア側の主張は逆だ。

ことを裏で操っていたのはロシア政府だ。州都ツヒンワリ周辺のグルジアの町村を砲撃するよう、分離独立勢力をたきつけたのはロシア政府で、グルジア政府としてはこの砲撃を止めさせるためやむを得ず行動に出たのだ。>

<これがロシアにとって、かねてから計画していた大規模攻勢をしかける格好の口実になったのだ。

                  *

両国の言い分を聞いたうえでフィナンシャル・タイムズは次のように分析し、今回の戦争はロシアの陰謀というよりグルジアのヘマだったと位置づける。

しかし今のこの情けないていたらくの真相はもしかしたら、陰謀というよりは、ヘマと呼んだ方が近いのかもしれない。いつかは起きるに決まっていたヘマ、ではあったが。ロシアはもう何年も前から、グルジアをわざと挑発し続けていた。グルジアからの分離独立を求めるアブハジアや南オセチアを支援し、グルジアに対して禁輸措置をとっていたのはロシアの方だ。これに対してサアカシュビリ大統領は、防衛費を拡大し、軍事力行使の可能性を否定しようとしなかった。とはいえ大統領は、実際に軍事行動に出るつもりはなかったのだ。各方面の消息筋によると、大統領は今回の軍事衝突について、決して心構えが出来ていなかった。北京五輪の開会式に出席するべく、フライトの手配もしてあったというのが、何よりの証拠だ。

フィナンシャル・タイムズがロシアの陰謀よりグルジアの軽挙妄動に原因を求めても、

やはり、ロシアの深謀というより陰謀にグルジアが愚かにも絡め取られたというのが真相だとおもう。

もしグルジアが最初から、南オセチアを軍事占領するつもりでいたのなら、当然ながらロキ・トンネルをあらかじめ封鎖したはずだ。ロシア軍が北オセチアの山間部を経由して支援部隊を現地に送り込むには、このルートしかないのだから。しかし実際には、グルジア軍のツヒンワリ攻撃開始からわずか数時間の内にロシア軍の戦車が南オセチアに侵攻していた。>

今回の戦争ではっきりしたことは、やはりロシアで一番えらいのは大統領ではなくプーチンだということ。

ロシア、プーチン首相「指揮」鮮明に グルジア紛争 (日経)

 <今となって何が危ないかというと、この戦争がたとえ早く終わったとしても、ただでさえこじれている米国や欧州とロシアの関係をさらに悪化させてしまうことが実に危険だ。欧州連合(EU)との新しい戦略的なパートナーシップへの期待など、雲散霧消してしまう。何百という戦車に国境を越えさせて、そして軍事基地だけでなくグルジアの町村をも砲撃させたロシアのウラジーミル・プーチン首相は(そして決定権を握るのはこの元大統領その人にほかならない。それを疑う者は誰もいない)、旧ソ連の衛星国だった全ての国にとっての最悪の恐怖を、文字どおり追認してしまったのだ。>(フィナンシャル・タイムズ)


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