小笠原諸島の海底火山の噴火による影響で県内全域の漁港に漂着している軽石について、国と県が、国の漁港施設災害復旧事業で回収する方向で調整していることが26日、分かった。作業は来週にも着手する。海岸に漂着した分は適用対象とならないため、県は海岸漂着物等回収事業の本年度当初予算分で対応する方針だが、これから漂着する可能性もあり、全量を回収できるか見通せていない。(2・7・24・25面に関連)

 県は27日に、環境部や土木建築部、農林水産部などで対策チームを立ち上げ、回収する軽石の処分方法などを検討する。農業や土木工事などで再利用する案もある。漁業への支障が出ている国頭村の辺土名、安田の両漁港から回収作業に入りたい考え。

 金子原二郎農相は26日の記者会見で「災害復旧事業を活用して速やかに対応したい」と述べ、支援する考えを示した。

 漁港施設災害復旧事業は公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法に基づき、沖縄は復旧費用8割を国が補助する。作業着手後でも申請できる。

 県は、港湾に関しては別の国事業が使えるかも含めて検討している。26日現在、奥港(国頭村)、渡嘉敷港(渡嘉敷村)、前泊港(伊平屋村)、野甫港(同)、内花港(伊是名村)、古宇利港(今帰仁村)、運天港(同)で漂着を確認している。

 海岸に漂着した軽石は、廃プラスチック類や流木などのごみを回収、処分する海岸漂着物等回収事業で対応を検討。9割が国の補助。本年度は約1億5千万円を計上していたが、県環境整備課によると残りで使えそうなのは1200万円程度という。

 同課は「全体の漂着量が分からないため、全量に対応できるかは現時点で見積もれない」としている。軽石とは別に予定していた回収事業に影響が出る可能性がある。

 玉城デニー知事は26日、軽石が堆積した名護市内の海岸を視察。報道陣に「予想よりも広範囲に厚く堆積している。各部局や海上保安庁、水産庁とも連携して、早急に対応したい。自衛隊派遣も検討する必要があるかもしれない」と述べた。

(写図説明)今帰仁漁港に漂着した大量の軽石を撤去する漁業関係者=26日午前10時半、今帰仁村運天(金城健太撮影)