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日本の半導体産業はなぜ衰退したのか? 背景に円高と政府や企業のIT化遅れ…まずは通信革命の推進こそ打開策に (1/2ページ)高橋洋一 日本の解き方
データをみてみよう。米調査会社ICインサイツによれば、2020年の半導体世界シェアは、日本が6%、米国が55%、日本を除くアジアが33%、欧州が6%だ。
20年前の00年は、日本が25%、米国が49%、アジアが17%、欧州が9%。30年前の1990年は日本が49%、米国が38%、アジアが4%、欧州が9%だったので、日本が一人負けの状況だといえる。日本のシェアが減り、米国とアジア(韓国、台湾、中国)が増加した形だ。
1990年から2000年にかけて日本がシェアを減らした大きな要因は為替の円高だ。この間、日本の為替レートは5割程度も通貨高に振れた。台湾は2割程度の通貨高、韓国は5割程度の通貨安だったので、日本のシェア減を吸収した。
00年から20年のシェア低下の要因は、日本社会が全くITに取り組まなかったからだ。筆者は政府内にいて身をもって感じたことがある。00年代初めに、政府手続きを全てオンライン化する目標があった。そこで筆者は、財務省関連の税務申告のオンライン化のためにe-Tax(イータックス)の企画設計に関わった。そのシステムは「本人確認」と「資金移動」の2つの部分から成り立っている。e-Taxの資金移動は国民から政府へというものだ。筆者としては、資金移動を逆に政府から国民へと変更するだけで、各種補助金システムを各省が構築できると思っていたが、各省にシステムを理解する人がいなかったためにそのシステムは構築されなかった
今回のコロナ禍でやっと補助金給付システムが遅ればせながら稼働したばかりだが、国民全体への給付システムはまだできていない。このエピソードで、政府ではいかにITが浸透していないかがわかるだろう。
実のところ、この20年間で政府のみならず、NTTや電力会社など政府関連のインフラ企業でも政府に負けず劣らずITが進んでいない。いわゆる「親方日の丸」体質が続いてきた。公的企業や政府依存が大きい企業が、結果としてITを取り込めなかったことが、大きな背景になっているのではないか。
ITのためには、半導体、コンピューター、通信の三位一体が必要なのだが、ITそのものを取り入れるのが日本企業や政府で遅れ、結果として半導体生産も少なかったというところだ。
筆者はこのうち通信がボトルネックになっているとみている。世界各国で1990年代から通信革命が進められてきたが、日本は電波オークションを先進国で唯一やっていない国で、これをみても最も遅れている国だといえる。
いまなお、日本は通信分野で20年遅れだ。それが社会へのITの浸透にも影響し、その結果、半導体にも影響している。まずは通信革命を行おう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
実際には、半導体製造装置や部材等の殆どが日本製で、日本に無いのは安い労働力と政府からの助成金です。TSMCの優れている点は、台湾の立ち位置を利用した、日本の技術と中共の助成金をコーディネートする力が有るだけなので、今度は熊本県が「台湾の立ち位置」に着く事になります。
つまり、TSMCの得意分野である「助成金の取得」は日本政府からの4000億円で、あとは日本企業の得意な「製造装置や材料」を取り込めれば取り敢えず稼働します。
ここで問題になるのが、アメリカ政府の意向です。アメリカ政府も自国企業に裏側から政府補助金を支出していますが、表立って支出する国に対しては経済制裁が待ち受けています。「熊本工場」がアメリカの承諾を得ているのなら取り敢えずは問題が無いのですが、出過ぎると必ず叩かれます。
日本政府の出方も微妙で、日本企業だけに「助成金」を支出すると、確実にアメリカに叩かれますが、アメリカの子飼いである台湾企業が含まれると許される可能性が有ります。但し、アメリカに進出するTMSCにはアメリカ政府から「直接助成金」は支出されてないみたいで、裏から補助金(税制優遇?)を成功報酬として受け取るようです。
これらの仕組みを日本政府が知らないのか、或いはワザと失敗するようにしているのかは分かりませんが、これが「スパイ防止法」が無い事と大きく関わっていると思われます。「スパイ防止法」は、単にスパイを防止するだけではなく、日本側がスパイ組織を構築できる事に意味が有ります。
「スパイ取締法」ならば、スパイされた段階(已然)で警察が関与できますが、「未然の事案」には対処できません。この「未然の事案」に対応する組織が必要になり、「スパイ防止法」で合法的に捜査する事が可能になります。
「経済合理性」を考えると国家の存在は邪魔になりますが、「経済安全保障」は国家が主体にならなければ成り立ちません。世界に「アメリカ(DS)の経済覇権」と「中共(共産党)の中華思想」が有る限り、そのほかの国の「経済合理性」は国家を破綻させます。
現在は、日本の技術を盗むのも当然ですが、技術の発展を阻むことに重点が置かれていて、台湾企業が最適の立ち位置にあります。何故、地震予知連の地震予知が悉くハズレ、過去の地震での最大震度が小さい北海道では無く、現実に火山や地震で混乱の続く熊本に工場を造るのかも含めて、経済安全保障は「スパイ防止法」が無ければ実効性を持ちません。
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民主党政権時代、為替レートが80円になった事=これは「日本企業をぶっ潰すと云う共産党(民主党を含むサヨク)の最終目標」を見事、惹起(じゃっき)させた事例だ。
ほかの各国は皆、護送船団方式で経済安全保障に懸命に勤しんで来たのに・日本はそれを放棄していたのだ。