狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

天皇親政を叫ぶ左翼メディア

2006-07-22 08:26:22 | 歴史

 ◆昭和天皇が語ったとされる冨田メモが話題になっている。

ネット上の写真で見る限り、このメモの真偽には疑問を感じるところが多々ある。

手帳に書き込まれた物ではなく、後から張り付けられたいたものであることや、インクや紙の劣化度が違って見える。

更に「私」という主語が果たして昭和天皇をさすのか。

富田氏が宮内庁長官だった時代の侍従長、徳川義寛氏がメモと同様の主張をしており、徳川氏の言葉をメモしたものではないかという疑いもあるようだ。http://sakuratan.ddo.jp/imgboard/img-box/img20060720181150.jpg(ニュースステーション清水建宇(朝日新聞論説)の取材報告)

また、昭和天皇陛下は、靖国神社の例大祭には絶えることなく勅使を遣わされている。

これは天皇陛下の代理参拝とも呼べるもので、靖国神社へのA級戦犯合祀に深い不快感を感じられていたのであれば、このメモの内容とその行動は矛盾する。

早速、「天皇A級戦犯発言簡易まとめサイト」 http://blog.goo.ne.jp/tech_innovation/が開設されるほど話題騒然である。

                   *

「エーイ! 控えい! この葵の紋所が目に入らぬか!」

お馴染水戸黄門のクライマックスの一番視聴率の高い場面。

ところが、今度の「紋所」は葵ならぬ菊の御紋章。

紋の重みが違う。 

「控えーい!」。

・・・ん? 

「控えーい!」と声高に叫んでいるの「菊の紋所」を軽んじていた連中ばかり。

どうなっているの?

それにしても、印籠の前に悪代官が平伏すのはドラマの中だけではなかったのか。

                    *

勿論大手メディアも社説、コラム等で専らこのテーマを日経スクープを後追いしている。

スクープ掲載日の20日は安倍官房長官の事実上の総裁選立候補のマニフェストともいわれる「美しい日本」(文春文庫)の出版日である。

首相の靖国参拝を批判する日本経済新聞にとって安倍を叩くために20日にスクープ発表というシナリオは素人でも思いつく。

不思議な事に最も天皇陛下を軽んじて、いやあわよくば「天皇制」を無くしてしまいたい不届きモノ達が急に「昭和天皇の思いを重く受けとめるべき」と俄仕込みの忠臣振りを演じている。

当の日経は勿論だが、案の定朝日が躍り上がったような社説を書いた。

「昭和天皇の思いを重く受けとめるべき」。(朝日、日経)

だが待てよ。

朝日、日経はいつから宗旨変えをして「菊の紋所」に平伏すようになったのだろう。

いつから絶対君主制を認めるようになったのだろう。

「天皇制」という左翼用語を一般化させた勢いで、「天皇制=絶対君主制」に持っていこうとしているのか。

明治憲法下でも昭和憲法下でも日本には「絶対君主制」は存在せず一貫して「立憲君主制」だったことを忘れたのだろうか。

印籠の前に悪代官が平伏すのはドラマの中だけではなかったのか。

【各紙社説まとめ】

★昭和天皇の思いを重く受けとめるべき(朝日、日経)

★小泉首相は靖国参拝をやめろ(毎日、日経)

★中国、韓国に言及(朝日、日経)

★靖国が内外で大きな論議を呼ぶ最大の原因はA級戦犯合祀(毎日)

◆靖国神社に代わる施設を(朝日、読売)

◆靖国神社が折れない限り分祀は不可能(読売)

◆A級戦犯全員の合祀に不快感を示していたとまでは言えない(産経、読売)

●A級戦犯全員の合祀に不快感を示していたとまでは言えない(産経、読売)

●学問的な評価にとどめるべき(産経)

●首相の参拝の是非論と安易に結びつけてはいけない(産経)

●小泉首相はメモに左右されず参拝を(産経)

朝日は喜んだ勢いで反靖国参拝のアメリカ学者を担ぎ出して、その意見を掲載したが、

これって「首相は天皇の『御心』に従え」って言う事?

「天皇参拝せぬ靖国に首相が行く矛盾」 カーティス教授

2006年07月20日15時18分  asahi com. 

 <ジェラルド・カーティス米コロンビア大学教授(政治学)の話>

 昭和天皇が、靖国神社のA級戦犯の合祀に強い不快感を示していたことが明らかになったことの意味は大きい。靖国神社参拝問題が、外国にいわれて問題になったのではなく、もともと日本国内の政治問題であることが明らかになった。

 A級戦犯を合祀することは戦争を肯定する象徴的な意味がある。外国から見てもおかしいし、日本の天皇から見てもおかしいということだ。天皇陛下も参拝しない靖国に総理大臣が行くべきだというのは矛盾している。

 天皇の発言が明るみに出たことによって、国内問題としての靖国神社参拝問題がもっと議論されるのではないか。

 戦中戦後を通じて天皇だった昭和天皇が「天皇陛下万歳」を叫んでなくなった兵士がまつられている靖国神社の参拝をやめるほど、A級戦犯合祀にこだわっていた。天皇の言葉を次の総理候補も真剣に考えて、靖国神社問題の新しい解決のあり方を考えるべきだ。

このジェラルド・カーティス米コロンビア大学教授と言う人物、「知日派の学者」ということらしいが本当に「知日」なの?

知日派ならぬ痴日派と馬鹿にされぬように、一度日本国憲法を読み返してから発言したら道だろう。

日本国憲法では、天皇は政治に口を出せないということは中学校の公民の教科書を読めば書いてある。

「内閣の助言と承認」に基づいて国事行為を行い、天皇の行為は政治に規制される。


「天皇の意思」を理由に靖国の政治問題化を煽るのは憲法の精神に反している。

もし天皇の「御心」が「A級戦犯合祀賛成」だったなら、この教授は「天皇の意思を尊重せよ」と言うのだろうか。

カーチス先生、総理大臣に天皇に従えととでも言うの?

この極右翼とも言うべき先生の「226事件皇道派」もビックリの意見を誇らしげに載せる朝日新聞は昭和天皇の「御心」で錯乱したのか。

日経スクープで大騒ぎの20日の夕刻、小泉首相がコメントを発表した。

日本国憲法、首相の立場、天皇の立場をよく理解した見事なコメントだった。

 
昭和天皇メモ:小泉首相「靖国参拝に影響ありません」
昭和天皇の靖国神社に関する発言についての質問に答える小泉純一郎首相=首相官邸で20日午後6時20分、藤井太郎写す

 小泉純一郎首相は20日夕、首相官邸で記者団に対し、昭和天皇が靖国神社のA級戦犯合祀(ごうし)に不快感を示した資料の発見が自らの参拝に与える影響について「ありません、それぞれの人の思いですから」と述べ、否定した。一方、自民党の久間章生総務会長や中川秀直政調会長が分祀論に同調する見解を改めて表明するなど、新資料の波紋が与野党に広がっている。

 首相は8月15日の終戦記念日に参拝するかが焦点となっているが、新資料とは切り離して判断する意向を示したものだ。また、「天皇陛下が参拝できる状況にした方がいいと考えますか」と記者団から問われ「それぞれ、心の問題ですからね。参拝されてもいいし、しなくてもいいし。自由ですから」と述べた。

 さらに、A級戦犯の分祀論について「一宗教法人に対してはあああるべきだ、こうあるべきだと政府としては言わないほうがいいと思う」と述べ、政治的な働きかけは好ましくない、との見解を示した。

 一方、自民党の久間総務会長は20日の記者会見で「かねてからの持論だが、やっぱり合祀すべきでなかったと今でも思っている」と語った。中川政調会長は党本部で記者団に対し「私は最初から分祀・分霊論だ」としたうえで、「政治が口出しできる話じゃない」と述べた。【小林多美子】

 ◆富田朝彦元宮内庁長官のメモに関する小泉純一郎首相と記者団とのやりとり

--どう受け止めるか。

 ◇これは心の問題だから、陛下(昭和天皇)もさまざまな思いがおありだったと思う。

--合祀後、天皇が参拝していないが。

 ◇それぞれ人の思いがあるから、私がどうこう言う問題じゃない。

--天皇が参拝できる状況の方がいいのでは。

 ◇それぞれの心の問題だから。参拝されてもいいし、しなくてもいいし。自由ですから。

--追悼施設としてどのようなものが理想的か。

 ◇なかなか結論が見えにくい。

--首相自身の参拝に影響があるか。

 ◇これはありません。それぞれの人の思いですから。心の問題ですから。強制するものでもないし、あの人が、あの方が行かれたからとか、良いとか悪いとかいう問題でもないと思う。

--これからも行くか。

 ◇心の問題ですから。行ってもいいし、行かなくてもいいし、誰でも自由ですね。

--A級戦犯分祀に対する考えは。

 ◇一宗教法人に対して、あああるべきだ、こうあるべきだと政府としては言わないほうがいい。議論は結構です。

毎日新聞 2006年7月20日 20時47分

                  ◇

産経抄 平成18(2006)年7月22日[土]

 歴史のおさらいをするわけではないが、昭和15年9月の日独伊三国同盟締結は「あの戦争」への大きな分岐点となった。昭和天皇は当時から同盟に危惧(きぐ)を抱き、推進する松岡洋右外相に不信感をお持ちだった。そのことは多くの史料で明らかにされている。

 ▼その昭和天皇が、A級戦犯の靖国神社合祀(ごうし)に関して発言されたという元宮内庁長官のメモが見つかった。A級戦犯の中でも松岡とやはり同盟推進派だった白鳥敏夫駐イタリア大使の2人が名指しされている。昭和天皇の率直な歴史観がにじみ出ているようだ。

 ▼だがメモはそれだけでなく、合祀が靖国参拝をやめられた理由としてある。これには案の定、A級戦犯分祀派や首相の参拝反対派の政治家やマスコミ、それに中国、韓国が飛びついた。「お言葉」をタテに「A級戦犯を分祀しろ」「首相の靖国参拝はやめろ」の嵐である。

 ▼「そんなに昭和天皇を敬愛されていたのですか」と、皮肉の一つも言いたくなるぐらいだ。しかしメモはメモに過ぎない。公式のご発言でもなければ文書でもない。どういう文脈で話されたのかも不明な状態とあっては「はしゃぎ過ぎ」といっていい。

 ▼むしろ注目したいのは、昭和天皇がそれだけの本音を公式の場では一切口にされていないことだ。メモが書かれたという昭和63年4月には記者会見もされている。この時も「戦争に進んだ最大の原因は」の質問に「人物の批判とか加わりますから」と口を閉ざされた。

 ▼自らの発言が政治や歴史論議に影響を与えぬよう、厳しく律しておられたのである。メモが残されていたことなど、想像もされなかっただろう。これを「政治利用」し、分祀や首相の参拝を論じることこそ昭和天皇のお心にそむくことになる。

 

 

 

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