狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

県の苦しい弁明、「不作為に当たらず」 辺野古の違法確認訴訟 

2016-08-11 12:42:01 | 普天間移設

 

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代執行訴訟、違法確認訴訟のどちらも主なる争点は「仲井真前知事の埋め立て承認」と「翁長知事の埋め立て取り消し」のどちらが適法で、どちらが違法かの一点である。

ならば翁長知事は自分で選任した「第三者委員会」が出した「(埋め立て承認に)瑕疵がある」という証拠を突きつけて仲井真前知事の違法性を証明すれば、裁判は県側の勝訴で終結する。

だが5日の第一回口頭弁論で、翁長知事は「仲井真前知事の埋め立て承認」に審議が遡ることを避け、自分が下した「埋め立て取り消し」のみに争点を絞るよう固執したという。 

似非識者たちの「第三者委員会」が主張する「瑕疵あり」では、仲井真前知事の「覊束裁量 」を覆すことは出来ないと判断したからだ。

本日の沖縄タイムス第二面のトップはこれだ。

辺野古訴訟 県が釈明書

高裁に提出「不作為」解釈に反論

記事によると県は10日、違法確認訴訟にかかわる釈明書と準備書面を提出した。

以下同記事の引用である。

 5日に開かれた第一回口頭弁論では、国の是正指示に従がわず「不作為」として違法とみなされる期間をどの程度なのか、議論がわかれた。 釈明書で県側は、是正指示が届いた翌日から数えて1週間を、是正指示に掛かる措置をとるために相当な期間と主張する国に対し法で定められた期間ではなく相当性もないと反論。 「本件における相当の期間は、国と県が真摯に協議し相互の了解が得られるに十分な機関期間だ」と答えた。 

また承認の取り消しと「撤回」の区別について今回の承認取り消しは埋め立て承認に原始的な瑕疵があると判断して行ったもので、承認後に事情が生じて行う「撤回」とは異なると回答した。第一回口頭弁論で、多身谷裁判長は必要な書面を10日までに提出するよう求めていた

県側は第一回口頭弁論が行われた5日の前1日、「不作為」に関する答弁書、準備書面をを提出している。

「不作為に当たらず」 辺野古の違法確認訴訟 沖縄県が国に反論 高裁に答弁書

琉球新報 2016年8月2日 05:00

 

 

 翁長雄志沖縄県知事による名護市辺野古の埋め立て承認取り消しを巡り、国が提起した不作為の違法確認訴訟で、県は1日、国の訴状への答弁書と第1準備書面を福岡高裁那覇支部に提出した。両書面で県は、翁長知事が仲井真弘多前知事の埋め立て承認を取り消した行為は適法だと改めて説明した。その上で、国が埋め立て承認を取り消した県に是正指示を出して以降も、県側が承認取り消しの撤回や国を相手取った裁判を提起しないのは「違法な不作為」だとする国に反論した。

 県側は国地方係争処理委員会が6月、国が県に出した是正指示の適否を判断せず、併せて双方に根本的な解決に向けた「真摯(しんし)な協議」を求める決定をしたことに沿った積極的な対応を取っているとして違法な不作為に当たらないとした。

 県側はまた、辺野古新基地建設は沖縄に過重な基地負担を固定し、日本の法律の及ばない米軍基地によって自治権が侵害されると指摘。法律で定めないまま辺野古新基地建設を強行するのは、国会を国の最高機関とした憲法41条と、地方自治の本旨を保障した92条に反すると強調した。

 県は違法確認訴訟に向け、翁長知事への本人尋問のほか、地元名護市の稲嶺進市長、粕谷俊雄元帝京科学大教授(海洋生物学)、我部政明琉球大教授(国際政治学)ら環境や安全保障の専門家など合計8人の証人出廷も申請した。

 訴状で国側は、埋め立て承認を出した前知事の判断に「裁量権の逸脱はなかった」として、翁長知事の承認取り消しは違法だと主張している。

 一方、県側はこの日提出した答弁書で「前知事による承認の適法性は、本件における直接の審理対象ではない」と反論。第三者委員会が埋め立て承認を検証した結果、計画の合理性、環境保全策などに「取り消し得るべき瑕疵(かし)」があったとして、取り消し行為に違法性はないとした。

 同訴訟の第1回口頭弁論は5日、開かれる。

 

 >国が埋め立て承認を取り消した県に是正指示を出して以降も、県側が承認取り消しの撤回や国を相手取った裁判を提起しないのは「違法な不作為」だとする国に反論した。

>県側は国地方係争処理委員会が6月、国が県に出した是正指示の適否を判断せず、併せて双方に根本的な解決に向けた「真摯(しんし)な協議」を求める決定をしたことに沿った積極的な対応を取っているとして違法な不作為に当たらないとした。

県は係争処理委が協議を求める決定をしたことを挙げ、決定に従って協議をする意図があるので、国を提訴しなかった。係争処理委の決定に従がったのであり不作為には当たらないというのだ。

>訴状で国側は、埋め立て承認を出した前知事の判断に「裁量権の逸脱はなかった」として、翁長知事の承認取り消しは違法だと主張している。

>一方、県側はこの日提出した答弁書で「前知事による承認の適法性は、本件における直接の審理対象ではない」と反論。第三者委員会が埋め立て承認を検証した結果、計画の合理性、環境保全策などに「取り消し得るべき瑕疵(かし)」があったとして、取り消し行為に違法性はないとした。

翁長知事が私的な「第三者委員会」に諮問して得た「瑕疵」を仲井真前知事の埋め立て承認に見出すことが不可能と判断した結果が「前知事による承認の適法性は、本件における直接の審理対象ではない」などと、前知事の「埋め立て承認」の審議を避けようとしている。

仲井真前知事の鉄壁の「埋め立て承認」を打ち砕くことは不可能と察したのだ。

「埋め立て承認」は仲井真氏が知事のとき、県議会の百条委員会で厳しく追及さたが瑕疵は発見できなかった事案である。

翁長知事のにわか仕込みの「第三者委員会」の胡散臭い「瑕疵」などで、違法性が証明できないことは翁長自身が百も承知のことである。

第一回口頭弁論の前に提出した答弁書、準備書面で反論した「不作為に当たらず」という主張が裁判長に認めてもらえそうもないと判断した県側が「不作為」の期間について反論したのが10日に提出した「釈明書」の趣旨である。

つまり「不作為」の本筋の主張が認められそうもないので、サイドストーリーである「手続き論」の「期間」を問題にした「釈明書」ということができる。

いくら悪あがきしてもウナギは最後は捌(さば)かれる!

いくら悪あがきしても翁長知事は最後は裁(さば)かれる!

                            ☆

東子さんの関連コメントです。

「「不作為に当たらず」 辺野古の違法確認訴訟 沖縄県が国に反論 高裁に答弁書 2016年8月2日 05:00」
辺野古 辺野古新基地 辺野古新基地建設 普天間飛行場移設問題 違法確認訴訟 埋め立て承認取り消し
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-327655.html

>県側は国地方係争処理委員会が6月、国が県に出した是正指示の適否を判断せず、併せて双方に根本的な解決に向けた「真摯(しんし)な協議」を求める決定をしたことに沿った積極的な対応を取っているとして違法な不作為に当たらないとした。

根本的な解決に向けた「真摯(しんし)な協議」を求めて、積極的な対応を取っているから、「不作為でない」。
と。


>辺野古新基地建設は沖縄に過重な基地負担を固定し、日本の法律の及ばない米軍基地によって自治権が侵害されると指摘。
>法律で定めないまま辺野古新基地建設を強行するのは、国会を国の最高機関とした憲法41条と、地方自治の本旨を保障した92条に反すると強調した。

埋立承認で「新基地」ができれば、米軍による地方自治の侵害が続く。
国が一方的に押し付けるのは、憲法で定められた地方自治の侵害。
と。


>県側はこの日提出した答弁書で「前知事による承認の適法性は、本件における直接の審理対象ではない」と反論。

例え、仲井真前知事の承認が適法だったとしても、↑のように県に不利益あるのだから、「前知事による承認の適法性」を審議する必要はない。
と。


だが、最後に、

>第三者委員会が埋め立て承認を検証した結果、計画の合理性、環境保全策などに「取り消し得るべき瑕疵(かし)」があったとして、取り消し行為に違法性はないとした。

あらぁ?
「仲井真前知事の承認が適法」を前提にして、「それでも県に不利益ある」が、組み立てじゃなかったの?

なのに、「『取り消し得るべき瑕疵(かし)』」あった」としたから、瑕疵があったかどうか、「前知事による承認の適法性」を審議する必要が出てくるでしょ。
県は、「前知事による承認の違法性」を加えた方が、より「取消の適法性」を言えると考えて、付け加えたのか?
蛇足ではなかったか?

「取消が適法である理由」に「県に不利益ある」は、違法確認の骨子とは無関係で、法的には「前知事による承認の違法性」が「取消」を支える全てなのだろう。
だから、触れずには、いられなかった……。でしょ?

本音は、適法だから「前知事による承認の適法性は、本件における直接の審理対象」にしたくないのに、「『取り消し得るべき瑕疵(かし)』」あった」を付け加えたために、審理したいのか、したくないのかと聞かれたと推測。
審理対象にするかしないかの攻防で、「審理対象にしたくない」を強く打ち出したがために、「あー、県も適法と認識している」と、バレたと、思われ。

                     ☆

 

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コメント (11)

中国公船、尖閣で管轄権行使か

2016-08-11 07:59:16 | 外交・安全保障

 

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 【追記】
本日の話題を急遽偏向したため、第二回のエントリーを午後12時過ぎにアップの予定です。

 

本日の沖縄タイムス、見出し紹介。

■一面左トップ(右トップは坂井、200バタ銀)

菅氏、3000億円台約束

沖縄関係予算 知事が国庫要請

■2面トップ

予算折衝 本音隠し船出

辺野古訴訟 県が釈明書

高裁に提出「不作為」解釈に反論

尖閣「毅然と対応を」

石垣市長 外務省・海保に要請

尖閣危機管理

副知事に要請

自民県連

■社会面トップ

警察も「牛歩」で対抗

市民と同じ戦術

高江3キロ車で40分

工事用レール最長1.2キロ

防衛局検討 国有林 伐採の可能性

日常茶飯事のように中国公船が尖閣周辺に出没する事実を、沖縄2紙は黙殺するか、精々ベタ記事でお茶を濁平和ボケだった。

ところが8月に入ってからは事態が急変した。

尖閣諸島に300余の中国船が押し寄せている。

尖閣の海はいま、新しい局面に突入した。

中国の漁船が約300隻終結、その周りには、中国の巡視船が、十五隻航行していたという。中国の漁船と公船がセットで、日本の領海に侵入するのは初めてのこと。

現在尖閣諸島周辺は 、南シナ海より多くの中国公船が侵入している。

Photo_4http://www.kaiho.mlit.go.jp/mission/senkaku/senkaku.html

中国が突然尖閣で動きだした背景には、一体何があるのか。

尖閣問題に詳しい東海大学の山田吉彦教授は、次のように指摘する。

南シナ海の領海権問題で、仲裁裁判所の判決でフィリピンに全面敗訴し、面目丸つぶれとなったメンツを取り戻すための「陽道作戦」だという。

山田教授は「南シナ海の失敗を目立たなくし、かつ積極的に海洋進出しているんだと、最も効果があることが、尖閣諸島周辺海域の獲得に乗り出すこと」と指摘する。

7月、南シナ海で領有権をめぐり、フィリピンが中国を訴えていた仲裁手続きで、オランダ・ハーグにある仲裁裁判所は、中国の領有権主張には法的根拠はないとする判断を下した。

中国は仲裁裁判所の判決を「紙くず」と虚勢を張ってみせたが、東シナ海での今回の行動は、南シナ海で追い込まれた中国が仕掛けた、目くらましだという。(【おまけ】参照)

山田教授は「海洋強国になる動きを続けるためには、東シナ海、そして、日本に対して攻勢をかけていくことが、最も有効」と話した。

一方で、中国通の拓殖大学の澁谷 司教授は、中国国内の政治力学が、大きく影響していると見る。

澁谷教授は「外に敵を作れば、中も国内も、党内も引き締まると、習近平国家主席は思っているのではないか」と話した。

澁谷教授は「日本というターゲットが一番、敵役として最適。日本を敵役にすることで、自らの政権の安定化を狙っている」と話す。

八重山日報が二日連続で中国の脅威を一面トップで報道し、あの朝日新聞でさえ中国の暴挙を連続で報道しているが、沖縄タイムスは会いも変わらず中国の脅威について能天気なベタ扱いである。

>尖閣危機管理

>副知事に要請

>自民県連

尖閣の危機を感じ取った自民県連が副知事に「危機管理」を要請したが、上京中の翁長知事と安慶田副知事のオネダリコンビが、尖閣の危機管理を菅官房長官に要請した記事はない。

県知事の代わりに中山石垣市長が、職務を果たしている。


尖閣の中国公船問題 石垣市長、沈静化を要請


沖縄タイムス 2016年8月10日 18:33

 【東京】尖閣諸島周辺で多数の中国公船が航行している問題で、中山義隆石垣市長は10日、外務省に小田原潔政務官を訪ね、事態を沈静化させるよう要請した。


 


小田原外務政務官(右)に尖閣諸島周辺で航行する中国公船への対応を求める中山石垣市長=10日、外務省
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小田原外務政務官(右)に尖閣諸島周辺で航行する中国公船への対応を求める中山石垣市長=10日、外務省
 
 

  .
 中山市長は「尖閣(周辺)の状況は非常に緊迫している。毅然とした態度で取り組んでいただきたい」と求めた。小田原政務官は、中国側に複数回にわたり抗議し、領海や接続水域から出るよう求めていることを説明し「わが国固有の領土に対して受け入れがたい行為。譲ることなく厳正に抗議を続け、わが国の主権を守っていく」と伝えた。

 海上保安庁にも尖閣諸島周辺での厳しい警備を求めた。

 

中国公船、尖閣EEZで漁船検査か 管轄権行使の可能性

伊藤嘉孝

 朝日新聞 2016年8月10日19時55分

 沖縄県・尖閣諸島沖の排他的経済水域(EEZ)で9日から10日にかけ、中国海警局に所属する公船の乗組員が中国漁船に相次いで乗り移るのを、日本の海上保安庁の巡視船が確認した。一連の領海侵入と関連する動きで、中国が漁業管轄権を行使した可能性もあるとみて、海保が警戒している。

 海保によると、9日正午前~10日未明、中国公船「海警」と「漁政」の乗組員が、中国漁船5隻に相次いで乗り移ったり、逆に漁船の船員が公船へ乗り移ったりした。立ち入り検査をしていた可能性があるとみた海保の巡視船は、「我が国の排他的経済水域で漁業に関する管轄権の行使は認められない」と無線で警告したという

 中国公船のこうした動きは2012年から昨年7月までに15回確認されたが、今年は初めて。外務省は10日、公船の行動について中国側に説明を求めた。同省関係者は「管轄権を行使し日本の実効支配を弱体化させる狙いがある」と警戒している。

 ログイン前の続き周辺海域では5日以降、中国公船の領海侵入が28回相次ぎ、岸田文雄外相が程永華(チョンヨンホワ)・駐日中国大使に抗議した。海保は巡視船を増やして警戒を強化。10日は領海外側の接続水域に一時最大で10隻の中国公船がとどまったが、午後3時時点で7隻まで減り、領海侵入は確認されていない。(伊藤嘉孝

                 ☆

>中国海警局に所属する公船の乗組員が中国漁船に相次いで乗り移るのを、日本の海上保安庁の巡視船が確認した。

中国公船が中国漁船を猿、芝居ではあるが、臨検することは尖閣周辺で中国公船が「公務を執行」することを意味する。

>一連の領海侵入と関連する動きで、中国が漁業管轄権を行使した可能性もあるとみて、海保が警戒している

中国公船が尖閣周辺で漁業管轄権を行使することは、中国が自国の領海で公務を執行したことになり、結果的に尖閣周辺は「中国の領海である」と内外に知らしめたことになる。

 

尖閣の中国公船問題 石垣市長、沈静化を要請2016年8月10日 18:33

 【東京】尖閣諸島周辺で多数の中国公船が航行している問題で、中山義隆石垣市長は10日、外務省に小田原潔政務官を訪ね、事態を沈静化させるよう要請した。

 
<iframe id="aswift_1" style="position: absolute; left: 0px; top: 0px;" name="aswift_1" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no" width="300" height="250"></iframe>

 中山市長は「尖閣(周辺)の状況は非常に緊迫している。毅然とした態度で取り組んでいただきたい」と求めた。小田原政務官は、中国側に複数回にわたり抗議し、領海や接続水域から出るよう求めていることを説明し「わが国固有の領土に対して受け入れがたい行為。譲ることなく厳正に抗議を続け、わが国の主権を守っていく」と伝えた。

 海上保安庁にも尖閣諸島周辺での厳しい警備を求めた。

 <尖閣の中国公船>米、日本と緊密に連携「日本の施政権下にある」

 

クローズアップ2016

沖縄・尖閣周辺領海 中国公船、侵入止まらず

 

 沖縄県・尖閣諸島周辺の領海への中国公船の侵入が止まらない。領有権主張の既成事実化の狙いが透けて見える動きに日本政府は5日連続で厳しく抗議、米国などとの連携で対抗する。ただ、中国船の活動抑止には決め手がないのが現状だ。【内橋寿明、北京・西岡省二、影山哲也】

【尖閣沖を航行する中国公船 

<社説>尖閣沖の中国船 挑発やめ真剣な対話を

漁船の動きに便乗

 8月5日、尖閣諸島周辺の領海に複数の中国漁船に続き中国海警局所属の公船1隻が侵入した。東京・霞が関の海上保安庁に緊張が走った。中国漁船の存在は確認されていたが、漁船に続く形で公船が侵入したのは初めてだ

 海保の巡視船が領海外へ出るよう呼びかけるが、公船は無視するかのように「中国の管轄海域でパトロールをしている。貴船は我が国の管轄海域に侵入した。我が国の法律を守ってください」と応じる。

 8日には過去最多の15隻の公船が接続水域を航行。海保幹部は「領海侵入の回数は増えているが毅然(きぜん)と対応するだけだ」と強調した。海保によると、5〜9日に日本の領海に入った中国の公船は延べ27隻、漁船は延べ68隻に上った。

 尖閣周辺で公船や漁船を多数活動させて領有権主張の既成事実化を図り「尖閣に領土問題は存在しない」との日本の立場を揺さぶる。その先に見え隠れするのは実効支配のもくろみだ。

 6日には中国漁船約230隻が尖閣周辺の接続水域を航行した。日中漁業協定(2000年発効)では接続水域内でも中国漁船の操業が認められ、中国が周辺海域での漁を解禁する8月には例年多くの漁船が現れる。このため「230隻が特に多いとはいえない」(政府系シンクタンク研究者)との指摘もある。

 問題は公船だ。漁船の動きに便乗して緊張を高めているように映る。日本の海保によると、砲らしきものを搭載した船7隻が確認された。軍艦の改造船もある。漁船も中国近海操業時には実質的に軍が統制する「海上民兵」が乗り込むという。

 「公船が漁民の操業と生命財産の安全を守るのは当たり前」(中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報)と中国側は主張する。だが北京の日中外交関係者の間では、こんな懸念も広がる。「中国海警局の船が、尖閣周辺の日本領海で操業する中国漁船を中国国内法で取り締まる。漁船立ち入りで警察権を行使し中国の支配を内外にアピールできる」

 9日には、その懸念が現実味を帯びてきたような動きがみられた。

 午前11時半ごろ、尖閣諸島久場島北西約48キロの日本の排他的経済水域(EEZ)で、公船の乗組員数人が搭載艇を横付けした上で中国漁船1隻に乗り込んだ。午後1時10分ごろにも、EEZ内で別の公船の乗組員数人が中国漁船に乗り移るなどした。

 海保の巡視船は公船に対し、「日本のEEZで、漁業に関する管轄権を行使しているのであれば認めることはできない」と警告した。

 習近平指導部は「海洋強国」建設を掲げる。東シナ海での一連の動きには、漁民を保護する様子を国内に示して指導部の求心力を高めたいとの思惑も透けて見える。また、日本が南シナ海問題で対中国批判を繰り返すことへの「意趣返し」との側面も読み取れる。圧力を強化して日本を揺さぶり、同盟国である米国にも領土主権と海洋権益で妥協しない立場を示す狙いがあるのは間違いない。

日本連続抗議 国際世論に訴え

 「我が国の主権を侵害し、一方的に緊張を高める行動は断じて受け入れられない」。岸田文雄外相は9日、中国の程永華駐日大使を外務省に呼んで領海侵入に強く抗議し、「一方的な現状変更の試みで日中関係は著しく悪化している」と非難した。程氏は「(尖閣は)中国固有の領土で、中国船舶が活動するのは当然だ」と反論。「対話を通じて解決に向けて努力すべきだ」とも述べたが、原則論は譲らなかった。

 

 程氏はその後、中国公船の行動について、記者団に「当該海域で漁船の活動が増えている。指導し、事態が複雑にならないよう努力している」と述べた。日本政府はこうした中国の主張は「日本の実効支配を崩す既成事実を積み上げるものだ」(外務省幹部)と警戒を強めている。外務省の杉山晋輔事務次官らが5日以降、抗議を繰り返し、9日には岸田氏による政治レベルに格上げした。同省幹部は「繰り返すことに意味がある」と話す。

 安倍晋三首相は6日、関係省庁に(1)国際法と国内法にのっとって冷静に対応(2)米国など関係諸国と緊密に連携(3)国民や国際社会に対する的確な情報提供−−の3点を指示した。外務省はこれを受け9日、ホームページに領海侵入の状況を説明する文章を公表。「多数の中国公船が集結し、漁船に続いて領海侵入を繰り返す事象が確認されたのは今回が初めてだ」と記し、海保が撮影した中国船の写真も掲載した。

 日本は米国などとともに、南シナ海で中国が主張する管轄権を否定した仲裁裁判所判決の受け入れを迫っている。尖閣での中国の動きを公表することは、東シナ海と南シナ海の双方で国際ルールを無視した「挑発的な行為」(政府関係者)を行う中国の姿勢を際立たせ、国際世論の支持を得る狙いがある。

 岸田氏は10日からフィリピンを訪問し、ドゥテルテ大統領と会談する。南シナ海問題で歩調を合わせ、中国の圧力にさらされる東南アジア各国と連携を強める考えだ。稲田朋美防衛相も8日、ブラウン米太平洋陸軍司令官との会談で尖閣周辺での中国船の行動に触れつつ、「日米関係は非常に緊密になっている」と中国をけん制した。

 ただ、岸田氏による程氏への抗議後、9日午後も公船が領海侵入した。日中両政府は8月下旬に韓国も加えた3カ国外相会談を日本で開くことを調整している。政府内でも「それまでに活動は沈静化するはずだ」との見方があるが、中国船の活動を抑制する有効策はないのが実情だ。

 

 

 

 

【おまけ】

中国、南シナ海で軍用格納庫建設か 裁判所判断を無視ワシントン=佐藤武嗣

朝日新聞 2016年8月10日09時48分

中国が南シナ海・南沙諸島の人工島で建設を進める航空機格納庫(屋根がないコの字形の建物)をとらえた衛星写真=7月下旬撮影、CSISアジア海洋透明性イニシアチブ・デジタルグローブ提供

  • 写真・図版

 中国が南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島で航空機の格納庫を短期間で建設しているとの分析結果と衛星写真を、米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)が9日までに公表した。戦闘機などの軍用格納庫とみられ、米国政府は同諸島を軍事拠点化しないとの中国の主張を疑問視せざるを得ないと批判を強めている。

 CSISの分析によると、7月下旬までに撮影された衛星写真で、南沙諸島のファイアリー・クロス、スビ、ミスチーフの3礁で埋め立てた人工島の滑走路周辺に、建設中の格納庫が確認されたという。

 CSISは報告書で「3礁すべてで補強された格納庫が短期間で建設されたことは、現状変更の可能性を示唆している」と指摘。各礁とも、24機の戦闘機のほか、爆撃機空中給油機など大型機数機がそれぞれ収容可能な格納庫を建設中で、間もなく完成するとの見通しを示した。

 ログイン前の続きこうした格納庫の建設は、7月12日に南シナ海での中国の権利主張を否定した常設仲裁裁判所の判断が示された後でも、中国側がそれを無視して軍事拠点化を着々と進めていることを示すものだ。

 米国務省のトルドー報道部長は9日の会見で、CSISが公開した衛星画像について「軍民両用が可能なこうした建設活動は、地域の緊張を高める」と指摘。「昨年9月に(米中首脳会談で)『中国は南沙諸島を軍事拠点化する意図はない』とした習近平(シーチンピン)国家主席の主張を疑問視せざるを得ない」と批判した。(ワシントン=佐藤武嗣)

 

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残念な福祉団体訴訟判決

2016-08-11 00:01:47 | マスコミ批判

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沖縄2紙が決して報じない沖縄関連の記事の紹介です。

 

残念な福祉団体訴訟判決

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