2011/6/5 20:32
【ハノイ=共同】ベトナムの首都ハノイの中国大使館前で5日、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島や西沙(同パラセル)諸島などの領有権を主張する市民や学生ら約300人が「中国は侵略をやめろ」などと抗議デモを行った。南部の最大都市ホーチミンでも千人以上が中心部で反中デモ行進を行った。
共産党独裁体制下にあるベトナムではデモは異例。中国による南シナ海での探査妨害などで反中感情が高まっており治安当局は監視下でのデモを容認、一定の“ガス抜き”を図ったとみられる。
デモ隊は大使館正面の公園内で、南沙、西沙は「ベトナムのものだ」「中国の挑発に反対」などと書いた横断幕や紙を掲げ、気勢を上げた。警察は周辺の道路を封鎖、機動隊を配置するなどしたが、混乱はなかった。
先月26日に南シナ海で中国の監視船がベトナムの探査船を妨害。31日にはベトナム漁船が中国船から威嚇発砲される事件が発生した。インターネットの交流サイト、フェイスブックや携帯メールでデモの呼び掛けが広がっていた。
関係筋によると、中国側は事前にベトナム側にデモを許さないよう要請していた。
ベトナムでは2007年12月、南シナ海問題をめぐり2週連続で中国大使館前などでの抗議デモが起きたが、その後は当局が厳しく取り締まってきた。
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離島が多く、中国と領土領有で問題を抱えている沖縄にとってこの「南沙、西沙(スプラトリー、パラセル諸島)」問題は他人事ではないはずなのだが・・・。
昨日の琉球新報がベタ記事を載せただけで沖縄タイムスは昨日も今日もスルーである。
東シナ海における中国は、「尖閣は中国のもの」と主張し、沖縄本島と宮古島の間を約10隻の戦艦団で傍若無人に横断した。 その中国と隣接する国境の県沖縄は、中国とは同じ共産主義の国ベトナムの、異例とも言える抗議デモを見て、明日はわが身と考えるべきではないか。 沖縄2紙はこれを大きく報道し県民の注意を喚起するのが地元紙としての使命ではないのか。
沖縄2紙が中国の狼藉に沈黙を守るのは中国軍を今でも解放軍と捉えているからではないのか。
ベトナム戦争の折には「解放軍」としてベトナムを支援した中国が今や侵略軍になり、かつての敵の米軍に助けを求めるのには歴史の皮肉を感じざるを得ない。
【シンガポール時事】ベトナムのグエン・チー・ビン国防次官は5日、アジア安全保障会議出席に合わせシンガポールで記者会見し「主権の尊重を前提に、(東南アジアにおける)米軍のプレゼンス(存在)を歓迎する」と表明した。ゲーツ米国防長官が同会議での演説で、東南アジアでの米軍強化の方針を明示したのを受けた発言。
ベトナム戦争を戦った米軍の存在を容認する姿勢をベトナムが示した背景には、南シナ海進出を強める中国への対抗心があることは明らか。南シナ海をめぐる中国と東南アジアの一部諸国との摩擦は、米軍を巻き込んで激しさを増しそうだ。(2011/06/05-19:29
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中国が海洋の権益で、領土で問題を起こすのには一定の法則に則っている。
先ず、その地域が、海上交通の要衝で天然ガスや石油資源が豊富なことである。
問題の南シナ海は、海軍を充実させ海洋に発展しようともくろむ中国にとって海上交通の要所であるだけでなく海底資源が豊富であることはどうしても自国の領土にしておきたい地域である。
同地域は目下中国、台湾とベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイの4カ国が領有権を主張しているが、経済力と軍事力を背景に中国が実効支配を進め、国際社会が強い関心を寄せ始めた。
今回のベトナムのデモの原因となった南シナ海での中国の狼藉行為を列挙するとこうなる
(1)5月下旬、ベトナムが排他的経済水域(EEZ)内とする海域で調査活動を行っていた同国の探査船の調査用ケーブルが中国監視船によって切断された。
(2)南沙諸島沖合では中国艦船がベトナム漁船に対し、自動小銃で威嚇発砲した。
(3)フィリピン外務省は5月末、南沙(スプラトリー)諸島周辺で中国の海洋調査船などが「領海を侵犯し、鉄柱やブイの設置を始めた」と訴えている。
(4)ケーブル切断などについてベトナムは「重大な主権侵害」などと抗議したが、中国側は「正常な監視活動」などと一蹴した。
南シナ海問題で中国が唱える常套句は「平和的な解決」であるが、中国の行為は現実とは程遠い姿勢である。
翻って我が沖縄県の行政管理区域である、尖閣諸島で中国は「尖閣は自国の領土」と主張するのみならず、沖縄県も元来は自国の領土であったと主張し始めている。
中国とのトラブルが発生すると沖縄2紙が発する常套句が「平和的な解決を」であることを考えれば、沖縄2紙が既に中国の工作員となっているのではないかと疑わざるを得ない。
今月5日までの3日間、日米を含む30カ国以上の国防・防衛閣僚が出席してシンガポールで開催されたアジア安全保障会議で、中国の梁光烈国防相は「中国の軍事力近代化は防衛の範囲内」「南シナ海の状況は安定している」などと述べたが、これが現実とはかけ離れた発言であることは誰の目にも明らかだ。
安保会議でベトナムのタイン国防相は「発言を実際の行動で示してもらいたい」と反論し、フィリピンのガズミン国防相も中国の南沙諸島での新建造物設置(下記写真)について「ASEANと中国との合意違反」と厳しく批判した。
ベトナム戦争でのかつてベトナムのの敵であった米軍。 フィリピンが追い出した米軍。 そしてわが国とってもかつての敵であった米軍の存在を無視しては、南シナ海、そして東シナ海での中国の狼藉行為を阻止することは困難である。
いくら沖縄タイムスでもこの厳粛な事実を無視はできないはずである。
わが国も南シナ海における中国の狼藉を他人事と考えず、そして同盟国米軍にいたずらに憎悪の念を煽ることはいい加減に止めにして、東日本大震災での「トモダチ作戦」で証明された日米同盟をフル活用し、南シナ海から東シナ海の安定につなげるべきである。
★中国の新建造物(中国の国旗が翻っている)
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1995年、フィリピンが管轄するスプラトリー諸島・ミスチーフ環礁に中国が急ごしらえした建物。 その後、コンクリート製の建造物に強化された(ロイター)
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