「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

「首都直下の地震をイメージさせる災害図上訓練DIGの方法論について」(その2)

2017-09-17 23:52:14 | 首都直下地震対策
このテーマを扱うプログラムには(少なくても)3本の柱が必要だ、と思う。
まずは1つ目の柱から。

1 この地震の特徴は良くわからない、と断言すること。
と同時に、わかっていることからすれば、首都圏全域が全滅するという状況はあり得ないということ。
つまりは支援に回り得る側(回ってもらわなくてはならない側)もある、ということ。
ただし、どこが激震地であり、どこが支援に回る側になるかは、起こってみなければわからない。

地震発生のメカニズムにも複数の説があるくらいだから、
規模も発生時期も当然のことながらわからない。
ただ、いつ起こっても不思議ではない、とは言われている。
「地震大国日本」ゆえ、それはそうだろう、と「旅の坊主」も思っている。
規模もわからないと述べたが、M7級はある、と覚悟しておくべきだろう。

地震学者ではない「旅の坊主」には、
松田式(注:断層の長さとマグニチュードの関係を示す経験式)を十分に使いこなす能力はない。
ただ、耳学問をさせてもらったこの関係式、モノを考えるのに大きなヒントにはなる、とは思っている。

この点については、直接お会いしたことはないが、アウトリーチ活動を積極的に展開していると聞く
慶応義塾大の大木聖子先生であれば、何とかうまく説明してくれるのではないか?と期待している。
あるいは、面識もある名古屋大の山岡耕春先生に直接お願いしたほうが早いかもしれない。
ともあれ、立っていられない激しさの揺れの継続時間から、
震源となる断層の長さ(そして地震の規模)を、ある程度の精度で、ではあるが、
直後で、かつ震源に関するメディアからの情報がなくても、
体感情報だけでも、ある程度の予想は出来るはず、程度はわかっているつもり。

断層の周囲に「つぶれたハンバーガー状(パテが断層)」あるいは
「細長いホットドッグ状(ソーセージが断層)」に震度分布が拡がることになる。
地震学者がM8に近いモデルを提示していないことからして、メカニズムは良くわからないが、
地震の規模はM7の前半程度は覚悟しておくべき、と彼ら彼女らも言っている、ということだろう。

とすれば、断層の長さは概ね30km~40km、つまりは、
そこを中心とする「バンズ」分は震度6強(ないし震度7)の揺れを覚悟しなくてはならないが、
その外側は震度6弱以下で済む。
ということは、基本的な社会機能はギリギリ維持できるということを意味する。

この震度6弱の範囲に住む人々が「私達は被災者なのだから!」などと言い始めた日には、救える者も救えなくなる。
もちろん、ほとんどの者にとって震度6弱の揺れは初めての経験だろう。
だから、自分の経験を絶対視してしまう危険性は大変高い。
それゆえ、知識ベースとして、「周りで家がバタバタ倒れているような状況でなければ、
もっと酷い場所があるかもしれないと思ってくれ!」ということを、
徹底的に教え込まなくてはならない、と強く思った。

うーん……。書き始めると、すぐに文字数が多くなってしまう。
この文章のくどさからして、「旅の坊主」自身、まだ良く理解していない、ということなのだろうが……。
それでも、この種の説明にぶつかったことがないのはなぜ?私はよほど不勉強か?

続きは次回以降で。


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