「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

明日午後、高校2年生を相手に、「巨大災害を織り込んだ人生設計」を語るのだが……

2015-06-21 23:50:16 | 防災教育
明日午後、毎年の頼まれごとではあるのだが、静岡県立裾野高校2年生を相手に、
「人生設計と防災」のテーマで話をすることになっている。

大きな方向性はともかく、その場の雰囲気を見た上で、話す内容を決めることにしているが、
さて、明日はどのような話をすることになるのだろう。

いつも思うことだが、防災学は、本来あるべき深みに達していない。

避難に重きを置いた防災&災害対応では、本質的なところで、被害を少なくすることは出来ない。
「考えたくないことは考えない」という人間の本性はあるとしても、
その本性のままに流れていくには、今の時代はあまりに残酷である。
今の高校2年生が大人になり、親になり、その子供が高校2年生になったころ、
巨大災害が日本を襲いかかる。

その規模は、東日本大震災の比ではない。だが、そのことを理解している人は本当に少ない。
いわんや、そのことを教えている防災教育プログラムは、尊敬するMさんによるものはともかく、
他に幾つあるだろうか。

将来に待ち構えているものの姿を知らず、教えられず、社会に出ていく。
その場での対応で何とかなるような代物ならば、何もこんなことは言わない。
その場での対応ではどうにもならないような事態が予定されていればこそ、
巨大災害を織り込んだ人生設計が求められるだろうに……。

高校生の親御さん、特に教育熱心な親御さんへの訴え方が足りない、というか、
まったくと言ってよいほど訴えは届いていないのだろう。
(やはり、モノに書いてまとめるということをやっていなかったことのツケ、か……。)

2035年+α年のその時、社会の中心を担っている世代に正しいイメージを持たせること。
これは、間違いなく現役世代の仕事。
そんな思いを、裾野高校2年生は、しっかり受け止めてくれるだろうか……。

講義との関係で、明日3限の「災害と人間社会」は5限に時間を変更して実施予定。
まぁ、その程度のことは、許容しなくては、か。


1 コメント

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Unknown (石川恭子)
2015-06-22 03:00:12
現役高校生の人生設計とは、実際どんな設計がされているのか興味があります。夢と現実が交錯する人生設計に、巨大災害を織り込んでいる学生さんはどのくらいいるのでしょうか。
高校生のうちから巨大災害なイメージができるようになると、人生設計の密度が増しますね。
私は小村先生の授業を受けて、避難所での生活はできればしたくない!と思いました。そのためには、安全なところに住むが大前提。
安全な土地、安全な家はお金もかかる。
リスクのある土地、簡単な造りの家にもそれなりにお金がかかる。
時には安全な土地とリスクがある土地のお値段が同じだったり、、、恐ろしい!
安全な土地を目利きできる知識と、それを手に入れる経済力が必要になることを踏まえて、人生設計を考えてくれるといいなと、我が子にも思ったり(笑)
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