「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

川根本町社協のボランティア・コーディネーター養成講座、挑戦したかった……。

2015-06-22 23:32:58 | 防災ボランティア
2限に「現代社会と安全」の講義。終了後は新東名経由で裾野市へ。
静岡県立裾野高校2年生約190名を対象とする「キャリアアップセミナー」の講師を務める。
昨日の拙ブログ更新でも述べたが、「人生設計と防災」のテーマで50分×2コマの講演。
終了後は速やかに大学に戻り、出前講座の都合で普段は3限の「災害と人間社会」を5限で実施。
(「災害と人間社会」のラスト30分は、「あの」映画『遺体』の冒頭部分を学生と見る、であったが。)
(今週のレポート課題は、この映画『遺体』を見て、とした。大いに期待しているところ。)

車移動の途中などで幾つかの調整(プラドではハンズフリーで携帯が使える)。
その中で、ちょっと残念な知らせがあった。

少し前、静岡県中部の山間の町、川根本町の社会福祉協議会から、
「沼津市社協で行っているようなボランティア・コーディネーター養成講座について、
川根本町社協としてもやってみたいのだが、ご協力願えないか。」との連絡が入っていた。

具体の調整に入ったのは先週のこと。
もちろん、海沿いのと大都市沼津と、山間地の川根本町では、置かれている自然条件が全く違う。
沼津が津波対策ならば、川根本町は土砂災害(特に怖いのが土石流)や洪水がメインの災害因となる。
まぁ、そういう場所であれば、地形の要素をしっかり読み解くことが出来れば、
また、過去の降雨のデータをしっかり入手することが出来て、
既往最大(過去最大)の降雨量とその時の被害状況がわかれば、
「それ以下の降雨量であれば、崩れるべきところは概ね崩れている」と判断できる訳で、
「臨戦態勢」を執るべき事態かどうかの数的根拠も得ることが出来るだろう。

「旅の坊主」に地形判読の力がどのくらいあるか。自信があるとは言い難いが、
「崩れるとすればA地点かB地点かC地点か」くらいの見当は、つくのではないか、と思っている。
さらに、そのような事態への対応に、行政と並んでボランティアの動員がどの程度必要となるのか、
荒っぽい計算にはなろうが、必要とされる作業量(人・日)の見積もりも含めて、
何となく出せそうな感じはしている。

今まで、ボランティア・コーディネーター養成講座の講師は何度となく勤めてきたが、
このような山間地における土砂災害や洪水の発生を想定した、ボランティア本部立ち上げのイメージトレーニングと、
その本部における活動を意識したボランティア・コーディネーターの養成については、
まだ取り組んだことがない。

また、このレベルまで本格的なものは、残念ながら聞いたことがないし、
防災ボランティアと土砂災害の両方がピンと来る人間がいるだろうか、と、思いを巡らせてみても、
思い当たる人物はいない。

そういう訳で、「旅の坊主」にとっても大きな挑戦だが、
うまくまとめることが出来たら、日本の災害対応ボランティアの業界に、ワークショップの新しいモデルを作るような、
そのような貢献が出来るのだろうなぁ、などと、思いを巡らせていたのであった。

ただ……。

川根本町社協からの連絡は、「宿題をいただいて、いろいろと検討してみたが、今回は依頼を取り下げる」
とのことで、あれあれ……、というところ。肩透かしを喰らった感、であった。

一般論としては、「被災者ニーズの先読み」などという、気の利いたことを言いたがるが、
実態としては、「言うだけならタダ」というレベルを抜け出してはいない、
そのようなことを考えさせられた。

地図を読み、過去の災害履歴をしっかり学ぶならば、上述の議論は可能だと思う。
そういうマクロな災害理解の下に、行政や行政から発注される企業、自衛隊や消防、警察の動きも意識しつつ、
ボランティアに求められる災害対応の効率化を担う者としての、ボランティア・コーディネーターを育成する、ということ、
今回、川根本町社協との間ではうまくいかなかったが、そのリベンジとして、
そう遠くない将来、どこかの社協か防災ボランティア団体で、ぜひやってみたい、と思っている。


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