「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

「生まれてくる子どもたちへの約束:巨大災害が襲ってくるまでに○○します!」

2015-10-09 23:49:40 | 防災教育
毎週金曜は2限が「災害医療システム」、3、4限が「防災実習」。
これらのコマを終えて一息ついた17時半過ぎ、
富士市立富士南中学校から3名の先生が研究室を訪れて来てくれた。

訪問の主旨は、11月20日(金)午後に実施予定の、
3年生8クラス約270名を対象とする地震・津波防災DIGの打ち合わせ。

仮に2038年の発災と考えるならば、今の中3生はその時38歳。
結婚が早ければ、今の自分と同じ年の息子・娘を抱えている時の被災、となる。
その時、日本を襲う巨大災害の「広さ」と「激しさ」をどのようにイメージさせればよいのか。
社会経済的な影響までイメージさせることは難しいとしても、
せめて、「広さ」と「激しさ」、この双方はイメージさせたい。
そしてそれにより、避難や備蓄を中心とするような防災教育ではどうにも太刀打ちできない、
被害の量の差、質の差について、しっかりと考えさせなくてはならない。

本気で防災教育に携わる者であれば誰もが直面する、極めて大きな課題、と思っている。
(そのような認識を持っていないで防災教育に携わっている者も、残念ながらそれなりにいるが……。)

打ち合わせの結果、

1 その週の火曜日(11月17日)午後、3年生全員を体育館に集め、
「旅の坊主」自身が、例の5万図を展開させて被災範囲の「広さ」をイメージさせるセミナーを行う。
2 それを受け、当日11月20日午後、クラスに分かれ、学生をファシリテーターとして派遣、
5~6名/グループに分け、地震の揺れの「激しさ」と、対策の基本的方向性を考えるワークをさせる。

という基本線が固まった。

標題は、その「対策の基本的方向性」を考えるグループワークをまとめるにあたってのキーワード。

今は厳しくても、理想の状態になくても、それはそれで受け止める以外にない。
そう遠くない将来、自分は学びの過程を終えて実社会に出ていく訳だが、
その実社会での活動次第で、この極めて巨大な災害の被害を予防することが出来るかもしれない。
やがて家庭を持ち、子どもを持つことになるだろうが、
まだ親(つまり自分)の庇護下にある段階でこの巨大災害に見舞われる自分の子どもには、
辛い思いをさせずに済むよう、出来る限りのことはやっておきたい。

そんなことを考えてもらえるならば、教える側として嬉しいのだが……。

被災範囲の広さは、床に置いた神奈川から大分・宮崎までの地図の上を歩くよりも、
2階の「キャットウォーク」から見下ろしたほうが、うまく理解してもらえるかもしれない。
最近はやりのドローンでの空撮、という手もあるかもしれない。

「激しさ」を考えてもらうDIGは、これはいつものパターンでよかろう。
課題は、そのファシリテーター役を担う学生を鍛えることが間に合うかどうか、だが……。
まぁ、学生を鍛えることは大学教員の本業中の本業ゆえ、何とかするしかない。
ともあれ、この秋の活動も、消費者教育としての防災というテーマに加えてもう一つ、
面白いテーマに挑戦出来そうである。

(10月14日 記す)


コメントを投稿