「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

「ふじのくにDIGセミナー」

2015-06-13 23:58:01 | DIG
毎月第2土曜日は、静岡県地震防災センターでのDIGセミナー。
4月、5月に続いて今年度3回目。
正式には午後からの開催ではあったのだが、コアとなってくれるメンバーと朝から仕込みの講座。
11時過ぎからは、焼津市に本拠地を置く食品会社の新入社員6名と引率の管理職1名も参加。
聞けば、会社が焼津の海岸線から200mくらいとのこと。嫌でも津波について考えなくてはならない。
研修の一環として、地震防災センターでの講話とDIGセミナーを選んでくれた、とのこと。
こちらとしては嬉しい話。

今回は、福井県敦賀市から、遠路わざわざ2名の方がお見えになった。
お二人にとしては、聞いていたこととまったく違うもの、と思ったのではないか、と思う。
地域の地図を広げることもなく(南海トラフ巨大地震をイメージさせる【着眼大局】のプログラムは実施)、
シールを貼ることもマーカーで書き込むこともない、そのようなDIGのセミナーだったのだから。

このようなセミナーは、DIGについての刷り込みがある方々には、なかなか理解してもらえないだろう。
ただ、何回かDIGセミナーに参加して、「旅の坊主」と防災論議を交わしたことのある方々は、
「これがあるべきDIGなのだ!」と、納得してくれているように思う。

高校を卒業したばかりの、食品会社の新入社員諸君にとっては、ちょっときつかったかもしれない。
「避難所を確認することで問題は解決しません(=避難しないで済む場所に住むのが防災)」
「非常用持ち出し袋は本質を外しています(=自宅から持ち出すべきは捜索救助用資機材)」
「今のための防災?40代になったころ襲いかかってくる巨大災害で人生を狂わされないようにするための防災?」
等々、今まで聞いたこともない防災論議が展開されるのだから。

「間違った防災の常識に毒されるな!」ということ、なのだけれどねぇ……。

今月からは、富士市DIGセミナーも本格始動する。
こちらも、常連さんが出てきて、高いレベルで安定するまえの間は、
「間違った防災の常識」に毒された方々が少なからず出席し、当惑した顔を見せることも多いだろう。
でも、それが、必要なボトムアップ、とは思う。
それでも、「ふじのくにDIGセミナー」4年目にして、受講生は累積でも1000名に達しない。
全国で展開されている、間違ったDIGならぬ間違った地域防災論議に一石を投じるには、
月2回の定例開催だけでなく、どこまでPRの方法を見つけるか。
そこは本気で考えなくてはならない。
うまくすれば、来週中に一つ、展開が出来るかもしれない。そこを頑張らねば!

地図を囲んでお絵かきすれば、意外なほど議論は盛り上がる。
しかしそれでは、地域防災について、正しく議論したことにはならない。
正しく防災を、地域防災を、防災教育を、物語れるようになること。
そのためには、まだまだやらなければならないことばかり。

今宵は、学生スタッフ3名への「お疲れさま」の意味も含めて、参加した8名で21時まで意見交換会。
やはりこれは、必ず行わなければならない。
防災を正しく理解している人を、しっかりと育てていくこと。
そのためには、酒食の場を共にすることも不可欠なプロセス。
2時間半ほど議論すれば、人となりもわかってくる。
そういう過程も踏みつつ、しっかりと、理念・哲学を持って防災を物語れるものを育てていかなくては、
と、改めて思った次第。




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