「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

「次はいつやりますか?」:小田原市の中学校にDIGを定着させるために

2015-02-08 22:52:55 | 地域防災
日曜午後は、小田原市立城南中学校でのDIG。

活断層としては日本でトップ3?少なくてもトップ10には入るであろう、
神縄・国府津=松田断層のお膝元。

かつ、地形的には、宮城県の南三陸町を彷彿とさせるような場所。
南三陸町であれば、志津川中学校の位置にあるのが城南中学校。
つまりは城南中の学区は、極めて強い揺れの後に津波が襲ってくるという、
「ダブルパンチ」に見舞われかねない場所。

関東大震災の再来には、まだ100年前後の時間はあるだろうが、
直下の活断層による地震がいつ来るかは、それこそ神のみぞ知る世界。
言わずと知れた、世界に名高い地震国日本であり、
全国どこであれ、いつであれ、震度6強の揺れは覚悟しておくべき。

神縄・国府津の断層が動いて津波が起きた時、
断層が走っている方向からして、第一波はさほど大きいとは思われない。
しかし、「反射」「屈折」等々もあるだろうから、
第二波以降の津波の挙動については、「旅の坊主」の知識では何とも……。

ともあれ、まず考えておくべきは、建物の耐震性確保。
古い耐震基準時代の木造家屋は、すべてがすべてではないにせよ、
たかだか8秒そこそこで潰れてしまった、というのが、
先日20周年を迎えた阪神淡路大震災の教訓。

小田原市が震度6強の揺れを受けたならば、
旧基準時代の木造家屋は無傷で済むとは思われないが、
非木造の家屋・集合住宅ならば、外見無傷は当然に達成できるはず。
家具・家電の転倒防止もしっかりできていれば、生身の人間の無傷も十分達成できる。

問われるべきは、毎度おなじみながら「立地と構造!」

このプロジェクトは、小田原市地域政策課と小田原青年会議所の事業。
城南中の2年生60人が全員参加で、12班に分かれ、
町内会長や消防団員、PTAの方々と一緒に地図を囲むというもの。
しかもその地図は、子供達が冬休みの宿題としてまちあるきを行い、
そこで見つけてきたものを写真も含めて「みえる化」したもの。

中学2年生が自分の足で稼いだ地図に基づいて「ダメ出し」された時、
地域の「顔役さん」は何と応えるのだろう……。

「ここのブロック塀が危険です」と中学2年生が言う。
「そこは私の家の塀です……」と、大人が言う(言わざるを得ない)。
(どういう顔をして言うのだろう……。)
(まさか、知らんぷりを決め込むことも出来ないだろうと思うのだが……。)

それを聞いている(聞かざるを得ない)地域の「顔役」さん。
地域に子供に何か言われれば、やはり、
何かを考えざるをだろう。
(そして、行動せざるを得ないと思うのだが……。)

3つの班にDIGの成果を報告してもらった。
中学生6名と大人6名が体育館の舞台に並び、
「地域の強み」「地域の弱み」「地域への改善提案」「私たちからのメッセージ」の4点について、
中学2年生が報告をする。
100名を越える参加者を前に話をする経験は、中2の子供たちには、そんなにないと思う。

その報告を受け、学区内にある2つの連合自治会長さんがそのメッセージに応える。
このキャッチボールは、連合自治会長さんの応えが「ぬるい!」とは思うものの、
まぁ、及第点ではあろう。

終了後、小田原市地域政策課の皆さん(なぜかこの場に防災課の人が一人もいない!)、
青年会議所の皆さん、そして小村ゼミの2名も交え、20名ほどの打ち上げ。

「次はいつやりますか?」
これが最大のテーマである。

プログラムの標準化、指導者養成、サポーター養成、そして学校関係者と地域を巻き込むこと。
課題は幾つもある。

プロジェクトは今回で3回め。ということは、「ホップ」の3年が終わったということ。
来年度から「ステップ」の3年目が始まる。
3月中に一度、まずはコアメンバーでブレストをしよう、ということになった。
どのように展開していくか、それはこれからの努力次第。
いまさら「一抜けた」は出来ない小田原市との関係である。
小田原発で何か出来れば、と思うが、はてさて、どうなることやら。


コメントを投稿