「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

山梨で、災害時要援護者について語る

2015-01-28 22:47:23 | 地域防災
山梨県社会福祉協議会と山梨県民生委員児童委員協議会から依頼を受け、
「改めて考える防災の常識・非常識 ~要援護者・避難・避難所対策~」の演題で、
2時間ほど話をさせていただいた。

内陸県の山梨ゆえ、津波リスクが無いのは言うまでもないが、
災害には意外と見舞われない土地柄なのだそうな。
昨年冬には雪害で大変なことになったが、
県の災害対策本部を立ち上げたのは30年ぶりとのこと。

山の国ゆえ、中小の山崩れ崖崩れは文字通り山とあるだろうが、
それらはいわば織り込み済であって、被害はそんなに出ていなかった、とのこと。

ただ……。

過疎化&高齢化は否定しようがない。
人口は東京・世田谷区以下であり(山梨県が約84万、世田谷区が約87万5千人)
高齢化率を考えれば世田谷の比ではない……。

生業(なりわい)が成り立たなければ、若い世代は外に出てしまう訳で、
老いた両親が住む家(自分にとっては生家)も古くなろう。

今すぐに発生するとは思っていないが、駿河・南海トラフの巨大地震が発生すれば、
山梨県も相当の被害を受ける。特にJR身延線沿線の峡南と言われる地区は厳しい。

昨年の今頃、山梨県最南端の南部町で地震防災DIGをやったのだが、
約9000人で3000世帯・家屋(マンションやアパートは大変少ない)で、
旧耐震基準時代の木造家屋が6割!これは手の出しようがない!!

そのような状況下、民生委員さんに、地域の方々に向けた防災を語ってもらうには、
どのようなネタを提供すればよいのか。それが、今回の講演の肝であった。

要援護者のリストを作っても問題は解決しない。安否確認の仕組み作りはまだ楽。
安否確認で否が出た時に捜索&救助する仕組みを作らなければ、本番では役に立たない。

避難で問題は解決しない。
避難しなくて済むような場所&場所に家を構えることが、ベストの避難対策。

避難所は、不幸にして家を失ってしまった方が行く場所。
家を失わないようにするための、立地の見直しなり耐震性の見直しにこそ取り組むべき。
避難所は、支援に行く場所と心得よ!

等々。

特に要援護者には、避難所生活を耐え忍ぶのではなく、
自宅で(電気・ガス・水道に障害のある状況下であっても)過ごせるよう、
諸々の準備をしておくべき、というメッセージを発することは出来た、と思う。

講演する側として何より嬉しいのは、質問があること。
身体障害者の当事者団体の方も含めて、何人もの方から質問があった。
ということは、「一石を投じる」ことが出来たみたい。

アフターは、事務局として携わってくださった県社協のGさんと、
20年来のお付き合いをいただいている陸自OBのYさん、さらにゼミ生B君と。
こういう飲み会が出来るからこそ、明日も何かをやろうという気になるのだろうな。

いろいろとありがとうございました>Gさん。
またお付き合い下さい>Yさん。


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