「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

災害図上訓練DIGのセミナーのあり方(その2):震度6強の被害をイメージさせるために

2014-11-19 23:41:23 | DIG
DIGで地図を囲む前に、理解しておくべき(させておくべき)
幾つかの重要なことがあると「旅の坊主」は考えている。

まずは地震や津波のイメージであることは、先にも述べた通り。
では、具体的にはそれをどうやるか。参考までに、現時点で行っているプログラムを示せば以下の通り。

1 立っていられない、家が潰れるような揺れが3分続きました。
 (⇒駿河・南海トラフが動いたということに、ピンと来てもらいたいということ)

2 何もできません。
 (⇒震度6強の揺れでは「窓を開ける」「ドアを開ける」「靴を履く」など出来る訳がない、ということをイメージできるか。)

3 揺れが収まるまで、祈るしかありません。
 (⇒旧耐震時代の木造建築は、8秒で潰れることすらある!)

4 幸いにも家につぶされなければ、揺れが収まった後、何をすべきか、3分間時間を与えるので、考えよ!
 (⇒己が果たすべき役割は何か。何をどうすればよいか。頭をめぐらせよ!)

5 その項目を、箇条書きにせよ。
 (⇒少なくても7つくらいは書いて欲しいが、下手をすると、2つか3つしか書けない人もいる。
 TV局員を相手のセミナーは面白かった!さすが彼ら彼女らは平均12項目くらい書けている!)

6 その中に、「初期消火」「捜索&救助」「それらのための声掛け」という項目はあるか?
 (⇒互助(共助)という言葉はほぼ全員が知っているが、それを具体的な項目で書ける人はせいぜい5%程度)

7 「非常用持ち出し袋を持って避難所に行く!」と書いた人は、「日本の防災の間違った常識」に毒されている!
 (⇒持ち出すべきは、消火器やバール、のこぎりや懐中電灯であるべき。)
 (⇒避難所に行けば何とかなると決して思うな!避難所は支援に向かう場所。)

8 落ち着いたらどこにいますか?
 (⇒地域で災害初動対応が一段落ついたことを見極めた上で、「職場に向かう」「自宅に戻って片付けをする」ということがイメージできるか。
 (⇒ここでも避難所にいる、と書く人がいる……。)

9 落ち着いた時、自分や家族がケガをして病院にいる、あるいは自分や家族が死んで遺体安置所にいると書いたか?
  (⇒繰り返すが、旧耐震の木造家屋は震度6強の揺れを喰らうと、10秒と持たずに潰れてしまうのに……。)

こういうプログラムって、やっていないんですかねぇ……。