<鳥屋神社 とやじんじゃ>
日本神話の解説文などを読んでおりますと、
風土記や延喜式などに記載されていないことを理由に、
「この神は大和朝廷によって創作された」
と断定している文句をたびたび目にします。
国譲りの件で登場する諏訪の神・タケミナカタも
そのような「架空の神」の一柱と言われており、
一部では「タケミカヅチの活躍を
引き立たせるためだけの存在」
などの話もあるのだとか……。
確かに、諏訪地方に残る伝承の中では、
タケミナカタと土着神とが混在して語られる一方で、
「タケミナカタが土着神を制圧した」
といった内容も見受けられます。
そんなタケミナカタの不安定な立場を考慮すれば、
タケミナカタが「何らかの理由で創作された神」
と考えても不思議ではないのかもしれません。
ただし、藤原氏の氏神であるタケミカヅチが、
ある意味「架空の神」として語られながらも、
一面では「藤原氏」という実在の氏族を指しているように、
仮にタケミナカタという神は存在しないとしても、
タケミナカタに相当する「何か」はあったのでしょう。
となると、出雲神話に登場する「敗者」の中でも、
唯一、最後まで抵抗する姿勢を崩さなかった
タケミナカタの正体が気になるところですね。