たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

参拝という避難訓練

2016-10-28 10:38:00 | 東日本・三陸の神社

<南三陸・五十鈴神社 いすずじんじゃ>

 

三陸地方沿岸の山を眺めていますと、

木々の根元に近い部分の枝葉が、

ことごとく削ぎ取られていることに気づきます。

東日本大震災から5年以上の月日が経ち、

以前に比べれば、森の緑も増えているとはいえ、

幹の下半分が裸になった木々の姿は、

当時の記憶を忘れかけている私たちに、

津波の威力を無言で訴えているかのようです。

 

三陸地方の神社を巡っている最中、

「ほんのちょっとの高さの違い」が、

生死を分けたという話をよく耳にしました。

山頂にある神社の境内にいた人は助かり、

数m下の駐車場にいた人は犠牲になる…。

また、神社の参道を駆け上がった人は救われ、

数m隣の階段に向かった人は津波に流される…。

 

「神社が命を守ってくれた」かどうかはわかりませんが、

実際に「津波の浸水域の際に沿うように、

神社が建てられていた」という調査結果もありますし、

今後の災害への対応や、避難ルートを決める上で、

神社の存在はあながち無視できないのでしょう。

もしかすると「氏神への参拝」という行為そのものが、

イザというときの避難訓練へとつながるのかもしれませんね。