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夢幻泡影

「ゆめの世にかつもどろみて夢をまたかたるも夢よそれがまにまに」

はてさて、、、、僕が本を書く?

2012年02月29日 10時47分00秒 |  気になる詩、言葉


昨日、出版社をやっている友人から「ドンケル・クルティウスの写真がないか」ってメールが入ってきた。クルティウスの子孫は日本にいるので連絡先を教えて一件落着だったけど、そのなかで「あんた 本を書け」って言われちゃったんですね。

この方からは定年前後に2回ほど、同じことを言われていたし、三顧の礼を無下にお断りするのも人間のやることじゃないなんては思わなかったけど、、、最近とみに認知症の進みが気になりだしていて、「他人もすなる自分史といふものをおいちゃんもしてみむとてするなり」なんて、メモでも残しておかないと、今にも「私だれ?」になちゃいそうでね~

ということで、「お受けしましょう」って簡単に答えちゃったけど、
はてさて、「何か書くものある? 他の人が興味を持ってくれるものある?」 なんて考えたら、何もないことに気がついた。
ってことで、「ごめん。できないかも」のメールを出しちゃった。



むかしおとこありけり 都にありわびて あずまにいきけるに 外房のうみづらを行くに 浪のいと白く立つをみて

いとどしく過ぎゆくかたの恋ひしきに
  うら山しくもかへる浪かな
           
土佐日記の冒頭ですよね。
ほんと、都(東京)から巽(東=外房)に夜逃げしてみたけど、
今さらながら、昔のことが恋しく思われて、寄せても返す波が羨ましい。
そんな心境になってきた、、、、なんちゃったりして



昔、灯台じゃない、東大の史料編纂所というところの偉~い所長さんから、新聞に連載していたコラムを纏めろ、出版してやるって言われて、時間がないって断っちゃったし、
上の出版社のお仲間の出版社からも、備忘録を出せなんて言われて、「そんな怖いこと出来ないよ」って尻尾をまいちゃった。
もしもこっちから出しちゃったら怒られるのもいやだよね~

講演の話や、テレビにレギュラーで番組をなんて話は世間に向けられるような顔じゃないからってお断りして、そのくせ、レギュラーを持っている知人がいつもファンの女の子を連れているのをテレビの力ってすごいね~なんて物欲しげに横目で見ていたりして、、、、、


大昔に、留学から帰った弟が、N響の定期公演の曲を頼まれて、N響はリハーサルの時間が少ないからって断ったって聞いて、チャンスを生かさない馬鹿ものがって怒り狂ったんだけど、考えてみれば、この兄にしてこの弟あり。




ところで、上の土佐日記
冷泉さんのところでの訳にはとんでもなく面白いのがある。

あの「おとこ」は天皇のお妃さまに恋をして、お妃さまを東山(あづま)に隠した、、、なんてことで、こうなるとおいちゃんの「都の辰巳鹿ぞ住む」の世界じゃなくなっちゃうよね。


そう言えば、この人も九州の果てで東にこだわっていたんですね。



それに、もっとず~っと前には、あの人も
「私の嫁さん恋しいよ~」(吾妻)って騒いでいたんです。
だから、それから「あずま(東)」になっちゃった。
「あずま」は恋うる言葉なんですね~





東京は大雪みたいですね。
こちらは冷たい雨。
んでもって、カメラを持って外に出るのはなし。
写真もなし。

草になるまであるいてゆけば   草原 金子みすゞ

2012年02月26日 08時46分38秒 |  気になる詩、言葉


草になるまで
あるいてゆけば、
私のおかおはうつくしい、
お花になって、咲くだろう

    金子みすゞ
    草原 (後半部分)



何、チビ太。
なんで、もじもじしてるの?

とやかへるたかのを山の玉椿

2012年02月11日 07時56分13秒 |  気になる詩、言葉


とやかへるたかのを山の玉椿
   霜をばふとも色はかはらじ
       前中納言匡房
       新古今集 7-750


万葉集にはいくつか詠われている椿、古今集には一首もでてきません。新古今集に一つだけ。椿は花としてはそんなにポピュラーではなかったのでしょうか? 往時は花としてより灰を紫染に染めるのに使われるのが目的だったのでしょうかね。

「とやかへる」は鷹の尾山に懸かる枕詞。とやは鳥屋で鳥の巣ですね。
鷹が羽の抜け替わりの時に巣に帰るということを指しています。
鷹の尾山の椿は霜をかぶっても色は変わらない。

私も梅だ、桜だって浮かれておりますけど、椿もまだまだあと何カ月も咲いていてくれるんですよね。(もっとも桜もほとんど一年中咲いていますけどね)


針やはらかに春雨のふる

2012年02月07日 09時36分14秒 |  気になる詩、言葉


冬の厳しい寒さの中に気まぐれに舞い込んだ春の女神の息吹のように
官能的な温もりを感じる朝でした、、、、

紅梅、白梅が咲いた」っていう言葉の裏には寒さが見えます。
でも、その翌日の日記の「桜が咲いた」っていうのには、それが仮に冬桜であったとしても、 なんとなく春の予兆をかんじさせませんか?

今日は春雨と言ってもいいような暖かい雨。
庭の南天も、身をちじめ、体をよじって避けてきた冬の寒さから解放されて、手足を精一杯伸ばしているように感じます。

くれなゐの二伸びたる薔薇の芽の
       針やはらかに春雨のふる
          正岡子規

本来は3月の終わりくらいの詩でしょうけど、今日は何だかそんな詩がぴったりの日、そして雨。


今日の朝イチ、春の色が話題でした。(といっても冒頭だけちょっと見ただけですが)



まだまだ寒さは続きます。
今週も半ばからは寒の戻りが予報されています。



でも、畔や、小道を歩けば、春はすぐそこに来ているのを感じます。



もう少しですね。



もう少し。



寒さを耐え忍んでいる方々には、花が咲くまでもう少し頑張ってくださいってお祈りするしかない私ですけど。





とこなつ

2012年01月11日 11時59分23秒 |  気になる詩、言葉



今、話題の撫子ですね。

なでしこのとこなつかしき色を見ば
       もとの垣根を人や尋ねむ
         源氏物語第26帖

なでしこは玉蔓のこと、もとの垣根は玉蔓の母の夕顔のことですね。
夕顔の帖に玉蔓は撫子としてでてきますので。
玉蔓は実は光源氏のライバルの娘。母親の夕顔をそのライバルから盗っちゃったんですね。九州へ逃げていて、あまりの美貌に周りが煩くなって、京へ戻る、その時に夕顔に仕えていて、今は光源氏に仕えている女官にあって、、、、
大昔の話にしては、実にいろんな仕掛けがストーリーに込められている。
っていうのか、人間や、人間の作っている社会が、そんなに変わらないと言うことなのでしょうね。


本来、夏から秋の花、でも岬では(東京でもそうでしたが)冬でも咲いています。異常気象(と都市化)のせい?


風車は、生まれた時から、そんな人間の社会に背を向けて、ひたすら仙人修行をやっておりますので、源氏の世界には興味がないけど、異常気象にはほとほと困っておりますよ。
いやはや、この地球、いったいどうなるのでしょう、、、、


。。。なんてことはないか。
昔も飛行術の勉強の時に、行水していた綺麗なU20を見て、雲からおっこったって、、、、 若い人にはありふれた話ですよね。
あれ、私のことだったでしょうか?
今じゃ、もうなんでもかんでも忘れちゃうのでね~

         

待つ夜ながらの有明の月

2011年12月18日 11時23分10秒 |  気になる詩、言葉


帰るさのものとや人のながむらん 
      待つ夜ながらの有明の月
            藤原定家
            新古今集 3-1206


あなたは他の女の人の家から帰りながら眺めているのでしょうね
私があなたを待ちながら眺めているこの有明の月を


 

まあ、こんなことを詠われるような状況には、この長~~~ぃ人生の中で一度も遭遇したことがないので、なんとも言いようがないのが辛いですな~


天雲のそくへの極み遠けども

2011年12月18日 08時55分50秒 |  気になる詩、言葉


天雲のそくへの極み遠けども
    心し行けば恋ふるものかも
            丹生女王
            万葉集 5-0053

そくへ  元の字は「遠隔」
丹生女王 にふのおおきみ 
 

丹生女王が旅人が大宰府に赴任している時に贈った詩。

あなたがどんなに遠くに行っても、心が通じている限り、恋しく思いだせるんです。

あぁでも、私って最近すぐに忘れてしまうんですよね、、、、、
なんてことは書いてないけど、ほんと、私、何でも忘れてしまうのが怖い。



今年一番の寒さって言われていた昨日の雲だけど、これだけ見ているとなんだか夏から秋にかけての雲みたいですね。




見まく欲り あが待ち恋ひし秋萩は

2011年09月19日 15時28分23秒 |  気になる詩、言葉


見まく欲り あが待ち恋ひし秋萩は
   枝もしみみに花咲きにけり
       詠み人知らず
       万葉集 10-2124

欲り(ほり)

見たいと待ち望んでいた秋の萩は
  枝もたわわに花が咲いてきた

萩というと先日の写真のように、「集合写真」を撮ってしまうことが多いのですけど、今日はちょっと趣向を変えてクローズアップでお見せしましょう。もっともこの詩に限れば、今までの集合写真の方が合ってましたね。
ただし、これは一つの花ではなく、双子になってますね。

万葉集の中では一番多く詠まれている花が萩です。もっとも字は波疑とか波義とかを当てるときと、芽とか芽子を当てたものがあるそうです。
もっとも風車は万葉仮名は苦手なので、原典にはなるべくあたらないようにって心がけておりますけど、、、、、

  ちなみに、この詩の元は
「欲見吾待恋之秋芽子者枝毛思美三荷花開二家里」
なんですと。自信を持って宣言いたします、アンチョコがあっても風車には詠み下せない。 
    
最初のグループは音から来た当て字ですが、芽とか芽子は萩は古株から芽を出してくるからそう書かれたのだそうです。ちなみに生(は)え芽(ぎ)というのが始まりのようですね。

萩の字は、だいぶ後に、秋に一番愛される花として、草冠に秋を書いて萩と読ませたのだそうです。

古今、新古今にもたくさん詠まれています。
今後もしばらくはご紹介して行くことがあると思います。


柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺  正岡子規

2011年09月19日 15時08分48秒 |  気になる詩、言葉


子規が法隆寺の茶店で御所柿なんぞを食べたのだそうですよ。
そしたら、法隆寺の鐘がゴ~ンと響いてきた。
子規は食通としても知られていましたけど、柿も好きだったんでしょうね。
柿が出てきて嬉しいな~って思った時に、法隆寺の鐘が響き渡ってきた。
ゴ~ンなんて書きましたけど、あんなどっかの社長さんの名前みたいじゃなく、本当はゴ~~~~~~ンなんて余韻を響かせていたんでしょうね。
その時の子規の心情と目に映る景色、その時の空気が感じられるようじゃありませんか。

それにしても、皆さん、風車は柿が大好きなんです。
残暑のお見舞いをかねて、柿をた~くさん送ってきていただいても、風車は怒りませんからね。

さて、いつになったら鐘が聞こえるのでしょうか。。。。。


伎波都久の岡の久久美良、、、韮  

2011年09月11日 22時57分04秒 |  気になる詩、言葉


伎波都久の岡の久久美良われ摘めど
  籠にも満たなふ 背なと摘まさね
       詠み人不詳
       万葉集 14-3444

伎波都久=きはつく
久久美良=くくみら、茎韮のこと

伎波都久の丘で、茎韮を摘みましたが
  籠に一杯にはならない  
だから 旦那さんと一緒に摘みなさいよ

韮は古くから知られていて、古事記には加美良(かみら)などと表記されているそうです。
私のいる千葉の上総では二文字(ふたもじ)とも呼ばれているそうですが、これは江戸期の女房言葉から来たのだそうです。

近くの畔に自生していますが、これを採ってきて庭に植えたいですね。
野菜としても、結構好きですが、花も可憐。

韮の季語は春。でも韮の花の季語は夏。
ユリ科の植物です。



ところで蛇の足ですけど、韮の親戚の浅葱(アサツキ)の花も綺麗ですよね。