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人間関係づくり・人間力育成の授業

「自己肯定感を高める三要素」・・・その5「③マイナスの連鎖からプラスの連鎖へ」 その2

2018-06-13 19:12:34 | コラム

 

「自己肯定感を高める三要素」 (1) (2) (3) (4) (5)   (6)

「自己肯定感を高める三要素」・・・その5
   「③マイナスの連鎖からプラスの連鎖へ」・・支援のレベル(2)
人間の成長というものは、「内面」と「現れ」という切り口で捉えていけば、意外と単純に理解できます。「内面」とは心の成長状態のことであり、「現れ」とは行動や外見などの見た目ということです。人間の成長段階によってそれぞれの年代にふさわしい「内面」と「現れ」というものがあります。幼児には幼児にふさわしい「内面」と「現れ」が、中学生は中学生にふさわしい「内面」と「現れ」、社会人は社会人にふさわしい「内面」と「現れ」ということです。(ただし、「ふさわしい」という言葉の内容は、時代や文化によって変化したり、異なったりします。)

 

本来なら、個々人の「内面」と「現れ」が手に手をとりあって、ともに成長していくことが理想的です。しかしながら、二者間の人間関係において、親子関係や仕事上の上司と部下、学校の先生と子どもというように、力の差や立場の差が存在する場合、その上下関係を利用して相手を「意のままに服従させたい」と願う感情があれば、心への進入や、存在の否定という...攻撃となってじわじわと実行されていきます。

 

この進入や攻撃というものは、見るからに悪意があるものに見えないことに問題の理解への難しさがあります。「愛情」や「情熱」や「指導」という衣をまとっているケースが多いのです。人間は心への進入や攻撃を長期間受けると、「内面」と「現れ」の間に大きな乖離が生じてしまいます。つまり、自分の「内面」を置き去りにして、相手の要望にそった「現れ」をつくりだしてしまいます。自分のことは二の次にしてまでも相手の意に沿うことが第一義となってしまうのです。無意識のマインドコントロールと言ってもいいでしょう。

 

この状態を長期間続けてしまうと、「現れ」は中学生や大人であっても、「内面」は幼児である、というケースが起こってしまいます。この乖離は、様々な出来事や環境の変化などが引き金になって、「現れ」が「内面」のところまで落ち込んでしまうことがあります。これが子どもであれば「不登校」であり、大人であれば「ひきこもり」というものです。

 

心が幼児ですから、家の外へ出ることすらできません。幼児言葉をつかったり、だだをこねたりしてしまいます。さらに、長期間、自分のしたいことを我慢したり、相手に合わせようとしてきた結果、「何もしたいことがない」「何のために学校へ行くかわからない」「生きている意味はない」などと感じてしまう状態へ追いやられていくのです。決して、親だから安心、学校の先生だから安心、という単純なことではないのです。子どもに乖離が起きている場合のほとんどのケースでは、子どもを育んでいくはずの、肝心の親や先生が「内面」と「現れ」に乖離を起こしているケースがほとんどなのです。

 

子どもは子どもであるということだけで困難をかかえているわけですから、受けるダメージは相当なものになります。これがマイナスの連鎖であり、私はこの関係性を「否定のモデル」と呼んでいます。一方、二者間が「信頼」と「安心」で繫がっている場合、私は「肯定のモデル」と呼んでいます。それはモデルになるほうの方が、自己肯定感が高いというケースです。その方は自己対話やイメージングをしっかりと実践しておられる方ですから、どのような刺激や出来事に対しても心のスペースをしっかりと確保し、相手を受け容れ、フィードバックを返していきます。

 

要は、「指導」ではなく「支援」ということになるのですが、一般的には、「支援」や「受け容れる」というと何かしら「甘いもの」「ルーズなもの」と感じる方がおられるようです。それは、全くの誤解ですし、「支援」を体験したことがないがゆえの偏見だと断言できます。否定のモデルのなかで育った方は、「攻撃する」ことを「励まし」と感じ、「追い詰める」ことを「厳しさ」だと勘違いしています。

 

このような方が発するメッセージはおおかた「あなたメッセージ」になっています。「あなたメッセージ」というのは、主語が「あなた」で始まるメッセージです。「あなたが悪い。あなたのせいでこうなった。」「(あなたが)うるさい。」等々、否定の要素が満載です。肯定のモデルにいる自己肯定感の高い方は、「(わたしは)あなたに問題点を感じます。(わたしは)あなたに何か課題があるように思うのですが・・・」「(わたしは)あなたの声に少しイライラしてしまってます。静かにしてもらうことは可能ですか?」という「わたし」を主語にした「わたしメッセージ」を使い、基本的には肯定的で丁寧なメッセージを発しているのです。

 

それがよく現れているのがフィードバックの内容です。相手方の話をよくよく訊いて聴いた結果、「あなたの今の姿は、すごく否定的ですね。ひょっとすると、何かトラウマや妄想に捕らわれているのではないですか?!」と単刀直入に返します。すると「その通りです。」と相手から返ってきます。少し違っていれば、「というか~ですね。」と返しの返しがある場合もあります。厳しさという点で言えば、こき下ろしたり、罵倒したりする以上の厳しさです。相手を受け容れた上で否定的に返していませんので、相手も受け容れてくれるのです。フィートバック自体は、このように厳しいものになるのですが、お互い受け容れ合う関係性があれば、まったく大丈夫なのです。

 

支援される側の方が乖離を起こしている場合、このようなコミュニケーションを地道に続けていると、自己対話が続けられることで、「内面」が徐々に引き上げられ、徐々にですが乖離を克服していきます。子どもの頃から、自己対話がしっかりとできる自己肯定感の高い子がいます。そんな子どもは、実は、このような肯定のモデルのなかで、守られ育まれた子どもなのです。 

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