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人間関係づくり・人間力育成の授業

「自己肯定感を高める三要素」・・・その4「③マイナスの連鎖からプラスの連鎖へ」

2018-06-12 04:20:31 | コラム

 

 

「自己肯定感を高める三要素」 (1) (2) (3) (4) (5)   (6)

 

「自己肯定感を高める三要素」・・・その4
   「③マイナスの連鎖からプラスの連鎖へ」・・支援のレベル(1)
不登校の子どもを支援する場合、子どもへの支援を重視することは当然のことなのですが、保護者への支援がなかなか進んでいない現状があることは否定できません。私は中学校の現場にいたとき、「不登校等支援会議」という校内の不登校の子どもへの支援組織の座長を4年間努めました。そこで、多くの事例と接することになるのですが、子どもが難しさを抱えている場合、ほとんどのケースで保護者も難しさを抱えていることに気づかされました。

 

まさに、難しさの連鎖(マイナスの連鎖)です。7年前に今の仕事(教員・保護者研修、授業コーディネーションなど)を始めて以来約300か所で研修をこなしてきたのですが、自然な流れとして、先生や保護者への相談活動に入るケースも多くあります。そのなかに、不登校の子どもをもつ保護者さんからの相談もありました。継続した相談活動に入った場合、「エンカレッジ」と「リフレーミング」という一種のSST(ソーシャルスキルトレーニング=認知行動療法)を活用しています。

 

「エンカレッジ」は、励ます・勇気づけるという意味ですが、簡単に言うと「ほめる」ということです。相談相手が出来ていることに目を向け、そこを評価してほめます。話を聴いたり、SNSのメッセージを読んだ返し(フィードバック)のなかに、「すごいですね。」「それいいですね。」というものが必ず入ってきます。出来ていることをさらに伸ばす、つまり加点方式なのです。

 

加点方式の逆は減点方式です。減点方式は出来ていないことに目を向け、出来るように促します。減点方式は「指導」としてあたりまえのように感じておられる方も多いと思うのですが、減点方式は人間のやる気や自己意識を奪います。減点方式で、どめどないゴールを設定された子どもは、やってもやっても達成感や成功体験を感じることができません。OKを出してもらえないので当然のことと言えるでしょう。不登校の子どもをもつ保護者さんは、そんな減点方式で育った方がほとんどなのです。なので、保護者さんに加点方式を体験してもらって、その心地よさや安心感を感じることで、加点方式を身につけてほしいのです。体験から行動へ! やってもらったことをやってあげる、ということでしょうか。

 

加点方式は、自己対話を促進し、積み重ねるたびに自信が生まれてきます。つまり自己肯定感が高まってくるということです。逆に、減点方式では、意識の底に「意のままに動かしたい」「操作や支配をしたい」というものがありますので、基本的には攻撃的なメッセージになります。一方、加点方式は両者に信頼や安心を生み出しますので、寄り添うということが自然とできるようになってきます。出来ていることに目を向け、プラスのフィードバックを返す、これだけでいいのです。ただし、減点方式を変えずにほめたりしたとしても、それは、非常に浮いた印象、おべんちゃらのようなものを語ってる印象になります。つまり「こころからほめていない」のです。

 

「リフレーミング」は、まず、毎日日記を書いてもらいます。つまりふりかえりの言語化をすることになります。あったことと感じたこと、これだけでいいのです。思い出してまで書く必要はありません。書きたいだけ書いてもらいます。書き終わったら、ひと呼吸おいて、一度読み返してもらいます。すると、難しさを抱えている方は、感情や行動に関してネガティブなことがてんこ盛りになってますから、そこにチェックを入れて、ポジティブな表現に書き換えてもらいます。

 

出来ない場合は、放置してかまいません。出来るものだけ変えていけばいいのです。そして、私がポジティブに書き換えてあげることもしません。自分自身で書くことが大切なのです。私は訊いて聴くだけです。これを地道に続けていくと、だいたい三か月で決着が着きます。保護者の方のなかに自己対話する習慣がつき、いちいち言語化しなくても頭のなかでイメージングできるようになるからです。

 

現在、支援をしている方は、重篤な不登校の子どもさんを抱えている方ですが、二か月で日記を終了できました。支援当初、メッセージや日記の中には不安や恐怖や攻撃性がふんだんに入っていましたが、徐々にそれが姿を消し、文章自体がポジティブなものになっていきました。子どもさんの状況も、みるみるうちに改善していきました。

 

わたしは、いつも保護者さんに言っていることは、「子どもさんが不登校になってくれてよかったね。」です。義務教育9年間のうちになってくれれば、学校の先生が支援してくれますし、関係諸機関とつながることも容易です。しかしながら、義務教育終了後、社会人になって不登校(ひきこもり)に突入してしまいますと、支援は容易なものではありません。様々な不幸な事象と結びついてしまうこともめずらしくないです。

 

「子育てをやり直すだけすから・・・」「大丈夫ですよ。」つまり、「支援者→保護者→子ども」というルートを、マイナスの連鎖からプラスの連鎖に置き換えていくことが重要なことなのです。支援者はそういうことができる人をめざしてほしいです。つまり、自己肯定感が高い人・・をめざしていただきたいといつも思ってます。

 

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