香港は「香港国家安全維持法」が施行され「1国家2制度の維持」どころか一気に中国本土並みの恐怖政治に成り代わった感じだ。
その象徴がこれまで香港で民主主義の旗を掲げて来た主要活動家の有無を言わせない逮捕が相次いだことだ。
先ず、8月10日、反中国派の「リンゴ日報」の創業者・黎智英氏、日本語の堪能な民主化運動の「女神」周庭さんら10名が「香港国家安全維持法」違反の容疑で逮捕された。
香港は先に、「香港国家安全維持法」に基づき、情勢分析や政策策定の司令塔となる「国家安全維持委員会」が設置された。
その初仕事でもあるまいが、さっそく香港議会の選挙で民主派の立候補者を排除、さらに選挙そのものを1年先に延ばして、現在の中国派多数の議会維持を図った。
次いで、民主派活動家の排除に着手、黎氏、周氏らの逮捕を断行したものと思われる。
しかし、この逮捕については、「香港国家安全維持法」の施行前の活動について容疑を掛けたもので、無効だとする声が内外から上がった。
香港政府も、施行前の活動については、違反の対象にならないと公言していたため、それを裏切る逮捕についてはアメリカ、イギリスなどは一段と批判の声を強めている。
このような中で、今日、香港警察は黎氏、周氏を保釈した。海外からの批判を受けた上の対処ではないかと思われる。
ただ、香港では、起訴する前に一時保釈して、起訴事実が固まった後、再度身柄を拘束する方式というから、黎、周両氏はじめ他の保釈された活動家は依然として身の危険にさらされているものと思われる。
周さんは、270万円の保釈金を払った上、パスポートを押収されたというから、海外への避難もままならない状態に置かれているようだ。
香港の「1国家2制度」の復活はまさに風前の灯火になっているが、最低限、これまで民主主義を維持するため身を張ってきた活動家の救済について、早急に、国際社会が一致して中国政府に求めていかなければならない。「関連:7月4日」