安倍晋三首相が辞任することになった。何種類かの週刊誌が安倍首相の辞任の可能性について掲載していたが、一般の人たちの中でも、若しかしたら病気の悪化で辞任するかも知れないと何となく感じていた人も少なからずいた筈だ。
安倍首相は、昨夕の記者会見で「持病が悪化し、国民の負託に自信を持って答えることができない」という趣旨の言葉で、「8月24日に一人で辞任する覚悟を決めた」と辞任に至った経緯を説明した。
安倍首相の病気理由の辞任は、第1次安倍内閣における突然の辞任と、今回もほぼ同様の突然の辞任になった。
立憲民主党の女性議員が、「安倍首相は大切な時に病気の理由で辞任する人だ。」という趣旨の発進をしたところ、非難を受けて謝罪し、書き込みを取り消したが、事実からそのように言われてもしょうがないかも知れない。
もっと言葉を荒げると、安倍首相は逆境に弱いのではないかと思われる。2回の辞任は、その時点の政治情勢や、社会情勢に照らし、客観的に言って「政権の投げ出し」と言われてもしょうがない。
病気の悪化だからやむを得ないのではないかと同情論が多いが、何故そうなったのかと言えば、極度のストレスにより病気を悪化させたとも考えられる。
安倍首相のストレスの原因は、現在進行中の新型コロナウイルス対策の失敗を自身が認識しているからではなかろうか。
その中で、最もストレスの原因になったことは、独断で決めた「全国の学校いっせい休校」要請、「アベノマスク」の失敗が象徴的なものだろう。
殊に、いっせい休校については、現在、この酷暑の中、全国の学校が夏休みも短く、失われた時間を取り戻すための授業を余儀なくされていることで子供たちに大きな負担と犠牲を強いている。
安倍首相がいっせい休校を要請したきっかけになった北海道の鈴木直道知事も、これには戸惑ったと言っているように、その後、経済、社会活動などに大きなマイナス要因となった。
また、極めて悪評だったあの小さな「アベノマスク」を一人こだわって長期間着用していたことも、人知れずストレスの原因になったと考えられる。
その他、当初の方策を公明党に覆された「特別給付金」についても、屈辱感からストレスが溜まったのではなかろうか。
安倍首相は、新型コロナ禍以前から、森友、加計、桜を見る会などの不祥事の疑いで、国会内外から厳しく追及され、懸命に逃れてきた。
今回の病状悪化の要因になったと思われるストレスは、これらの問題を追及され続けてきたことが、ジャブとなってじわじわ効いてきたところに、新型コロナ対応の失敗と、常に気にしている内閣支持率の低下がヒットし、ついに耐え切れず自らドクターストップを掛けた形となった。
安倍首相は、新首相が決まるまで職責を全うすると言っているが、辞任表明をしたからには、決まり通り、麻生太郎副総理か、菅義偉官房長官に首相代理を務めてもらい、直ちに病気療養に専念した方が良い。「関連:8月28日」