河野太郎防衛相がイージスアショアについて、導入計画の停止を決めたが、その事後処理が未だなのに、自民党の検討チームが「敵基地攻撃能力」の保持について安倍晋三首相に提言した。
安倍首相はこれを受けて、今後与党で検討し実行に移す考え方を示した。
陸上のミサイル防衛システムがだめになったから、今度は相手のミサイル発射の前に、ミサイル基地を先制攻撃しようというのだから、誰が考えても専守防衛を旨とする憲法第9条違反になる。
また、先制攻撃ともなると、自衛権行使は「武力攻撃が発生した場合」に限られたものとなっており、国際法違反にも繋がる。
だいたい、相手が攻撃してくるという状態は、相手が通知してこない限り分からないので、それ以前に攻撃すれば総てが先制攻撃になる。
しかも、攻撃の対象についても幾ら通信衛星で絶えず見張っていても、それを適格に見極めることは極めて困難だろう。
相手にその気がないのに、基地を攻撃すれば、相手は直ちに反撃するだろうから、間違って戦争に突入する危険性が絶えず帯びることになる。
また、ミサイル発射は、陸上でも海上でも絶えず移動しているから、照準を絞ることは難しいと言われている。
従来から、日米安保条約により、アメリカが鉾で、日本は盾の役割分担になっているので、鉾に当たる先制攻撃はアメリカ軍の領域を犯すことにもなり、「敵地攻撃能力」は日米安保条約の改定にも繋がることになる。
また、日本が先制攻撃を可能にすることによって、周辺国はじめ、世界各国に新たな脅威をもたらすことになる。当然、国内もその脅威から逃れられない。
安倍首相は、トップダウンで行った「イージスアショア」の導入を諦めたが、これには既に168億円をアメリカに支払っているとのことだ。
これだけでも大きな損失だが、その後の交渉でさらに違約金等を支払うことになるのか否か、未だに国民に示されていないのに、「イージスアショア」の失敗に乗じて「敵基地攻撃能力」推進とは呆れ果てる。
また、「敵基地攻撃能力」検討チームのまとめ役小野寺五典氏は、安倍首相に命じられて「イージスアショア」を決めた時の防衛相だ。先ず己の責任を果たすことが先決ではないのか。「関連:6月23日」