DREAM/ING 111

私の中の「ま、いいか」なブラック&ホワイトホール

森博嗣★すべてがFになる

2008-01-19 | 
すべてがFになる

押井監督の新作『スカイ・クロラ』の原作者のデビュー作でもあり、話題にもよくあがっており、前々から書店の推薦文句でも気になっていて、読もう・読もう、と思いつつ、未読だった本作品。数日前、ブックオフの「2冊で500円キャンペーン」で、ゲットしましたー。

SFと推理小説作家は短編集から攻めてみると案外、作風や特徴が見えてなじみやすい、という過去経験を活かして短編の『まどろみ消去』もゲット。寝る前の睡眠導入本(w)として、パラパラ読んだのですが、なんだかどれも内容に違和感あり(あまりにもありきたりな設定というか)で、かえって距離を感じる・・・。ン?ン?
これじゃいかん、と思って、切替えて本命トライ。一昨日と昨日で仕事の移動時間や合間&食事の後など、けっこう集中して読みました。

で。読み終わって思ったこと。(まだたった1冊+短編集なんでえらそうなことはいえませんが)なんか、ゲームみたいだなぁ、と。他の作品は違うのかも、だけど、この作品に関しては、殺人の必然性がなさすぎて、どこかファンタジーのようでした。(犯人とカラクリのメインはかなり最初に「あ?もしかして」と思った、ほぼその通りだったし。)

なんというか、学者肌な森氏の律義さなんでしょうけど、説明が多岐にわたりていねい過ぎるのかもしれません。でいて、肝心の「すべてがFになる」の説明は、確かにある側面で「すごい!」し、面白くはあったのですが、それが意味するスゴサって、犯人のスゴサであって、それを、作品内で「凄い!天才だ!」って言ってしまうとなんか違和感が・・・。なんだろう?自画自賛な感じ???

・・・・殺人事件なのに笑顔・笑い、冗談、嫉妬、食事とか普通すぎ&デリカシーなさすぎ。でいて、設定は富豪刑事みたいだし、キャラ設定がやっぱ私にはなじみませーん。そこまでファンタジーなのに、「推理小説のようにはうまくいかない」系表現多いのも、なんだかいただけないかもー。
小説というより、マンガかドラマの脚本のような印象でした。

・・・私はすべてがV=バーチャルになってる方がよかったなぁ(思わずそういう展開に期待してしまった;;)。この世はすべて人格障害の見せる妄想みたいな感じだと、それはそれでオモシロイかな、と。例えばレッドマジックに人間の五感に対するトロイの木馬がしかけられていて、気がつかないうちに全員思考や行動形式がM博士化するとか・・・(あ、それだとSFか?;;)

ただ、ネットコミュニケーションに関して、いくつか興味深い記載があったので、そこだけはドッグイヤー。

●情報の多さで隣の人も見えなくなる(P278)
●「現実って何でしょう?」「現実とは何か、と考える瞬間にだけ、人間の思考に現れる幻想だ」(P355)
●「他人の干渉を受けたい人だっているわ」(中略)「そう、ほとんどの人は、何故だか知らないけど、他人の干渉を受けたがっている。でも、それは突き詰めれば、自分の満足のためなんだ。(中略)つまり、自分にとって都合の良い干渉とでもいうのかな……、都合の良い他人だけを仮想的に作りだしてしまう」(P358)


このあたりを深めてほしかったかな、と。ま、個人の趣味ですが。

今度は素直に「スカイ・クロラ」を読んでみます。

※って、これってキッチリ、ゲームになってるんですねー。
 こっちのほうがオモシロイかも。
すべてがFになる ~THE PERFECT INSIDER ~


参考:
スカイ・クロラ公式サイト

押井守監督に聞く 新作アニメ「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」


関連:
押井守★2008年に公開予定の新作は「恋愛映画」?
コメント (2)
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