DREAM/ING 111

私の中の「ま、いいか」なブラック&ホワイトホール

ナルニア国物語★『第1章 ライオンと魔女』あるナルニアンの思い込み感想・後編

2006-03-11 | ドラマ・映画・演劇・アート
冗長な感じがし、ちょっと演出面でも物足りなさがあった前半から、いよいよアスランが登場しての後半。一気にテンションアップするのは、私にとってアスランが
幼き日からずっと最大級のヒーローだったからかもしれません。
以下ミーハーモード発動しつつの後半、よろしくおつきあいくださいませ。

●アスラン
割れた氷に乗って、再度モーグリムから逃れたピーター、スーザン、ルーシー、ビーバー夫妻は、アスランの野営地に辿り着く。ケンタウロスや一角獣、フォーン、チーター、ドリアード、様々なナルニア国の戦士達が見守る中、アスランと出会う3人。

はい、すでに告白済みですが、アスランがしゃべった途端に泣いてましたです、私ってば。それもボロボロ、というよりぶわー、って感じ。いやー、自分でもびっくりしますた;;;おまいは何泣いてんの?って感じ。それだけアスランのイメージが合致してたのでしょう。
映画を見る前に予告編でアスランを見て、「うーん・・・やっぱライオンにしか見えんなー」と少々不安だったのが、ウソのようにぶっとびました。これはきっとアスランのなんともいえない表情の豊かさと声の勝利。私の心の奥底で眠っていたイメージと共鳴して、気持ちが映像の中に入り込む感じ。そう、勝手ながらあそこにいました、私!<オイオイ!
これなんだよなー、ナルニア国物語マジック。誰もが自分も一緒に物語の中で息づける世界。

あ、つい語っちゃいましたね、てへ。

というわけで(どういうわけだよ!)、ここに来てもまだ「戦い」に参加することへの、心が定まらなかったピーターですが、追ってきたモーグリムを倒すことで、新たな勇気を得るのでした。
導入部で描かれたリアルな戦争への拒絶感&家族を守る責務のために、「聖戦」に参加しきれないピーターとスーザンの葛藤があるわけですが、ちょっとぼやけてしまってます。そして戦争と聖戦の違い、私には区別できません。どちらかといえば寓意的に「白い魔女=悪意・誘惑・欺瞞・暴力」みたいに解釈するしかないのかも。

それにしてもアスランの圧倒的な存在感・・・素晴らしいです!

●エドマンド救出~4人の気持ち
アスラン軍がエドマンドを奪回。やっと4人が揃います。
私がものすごく感動したのは、パンフレットにも載っていますが、アスランとエドマンドが対話している遠景。画像いっぱいにエドマンドへの許しが満ちていて、すごくあたたかな感情がわいてきて、またまた泣いてしまいました(どうなってるんだよ、涙腺!)
3人を還そうとするピーターを、エドマンドが制し、そのことでずっと揺れていたスーザンもまた気持ちを固めます。はじめて兄弟4人が結束する瞬間。エドマンドのきりりと引き締まった表情が、ステップを1段上がったんだな、という感じで印象的です。

●白い魔女とアスラン~石舞台
ナルニア国のルールを理由に、アスランにエドマンドの引き渡しを要求しに来る白い魔女。原作で一番ハラハラさせられるシーンです。アスランと1対1で交渉した結果、エドマンドをあきらめるということで、喜ぶ4人とアスラン軍。アスランの様子に気づくルーシーがここでも秀逸。そして夜、白い魔女との約束で石舞台に向かうアスランを追うルーシーとスーザン。ここではたてがみに触れる2人に自然と感情移入でき、アスランを近くに感じました♪(私だけ?)
そして悪夢のような祭壇。挿し絵でも一番ショキングな、縄を打たれ髪の毛をかられネコ扱いされるアスランが再現され、見ていて胸がつまります。原作で結末はわかっているのですが、やはり物凄くつらく悲しいシーン。アスランの殺害シーンはさすがに振り降ろす剣だけでの表現となっていました。
白い魔女が去ったあと、アスランに駆け寄り、縄をはずし、抱きかかえる2人・・・

●戦い
アスランの亡き後、一気にナルニア制覇を目論む白い魔女軍団とアスラン軍団の戦い。アスランの意志をついで群を率いるピーターと、それを精神的に支えるエドマンド。激突する大軍同志の迫力ある戦闘シーンは、この映画の最大の見せ場でしょう。ここはもうそのまま観戦モード全開。予告編で、画面が明るすぎる気がしたのですが、観ているうちに気にならなくなってしまいました。
ただ、白い魔女がなんだか呪術師っぽいコスチューム(や、個人的には好きなのですが)で、戦い方も「冬」の使い手というよりは、バッタバッタとなぎたおすパワー系(凍らせるにしても)なのは、ちょぉーっと違和感ありました。
クライマックスはピーターをかばって白い魔女の剣をたたき折り、魔女の剣で刺されるエドマンド。一方でアスランの感動的な復活と、援軍をひきつれての参戦。そして訪れる大勝利。

●そして現実への帰還
4人の戴冠&即位式。これはもうお約束のように華やかで晴れ晴れしいシーン。スター・ウォーズを思い出しました。時は過ぎ、立派な青年となった4人=これは初見の方にもすぐわかったのかな?そして街燈との再会、アキベヤを思い出す4人。・・・ナルニア国からの帰還です。一瞬で子どもに戻る4人・・・そして動き出す、止まっていた時間・・・。彼らは彼らの世界に戻ってきたのです。

●再び全体
こうしてお話を追ってきて、本当に正攻法の描き方をした映画だと再認識しました。この監督は本当に本当にナルニア国物語が好きなんだな、と思います。

多分、それぞれのナルニアンが自分なりのナルニア国イメージをしっかり持っていて、それは8歳の時にナルニア国に出会った、筋金入りのナルニアンでもあるアダムスン監督もきっとそうで、この映画はまさに彼のナルニア国イメージを再現したものなのでしょう。
多くの場面は共感できるし、あぁこういう解釈をしたのか、あぁこういう映像にしたのか、などなど納得・理解していける映画。他のナルニアンの感想文を読んでいるような・・・
観た日の感想で「子どもの成長記録を見るのに感覚が近い」と書きましたが、子どもって、ある程度成長の仕方は似てるので、「そうそう♪」「一緒一緒♪」と思える部分と同時に、やはりその子&そのお家ならではの部分もあり「ほう!」「へぇ」「え?」みたいな発見や違和感、ギャップ、新鮮さなんかも感じるわけです。でも同じ子育て中同志の圧倒的共感がベースにある。この映画に感じたのはそういう感覚でした。

ナルニアンの1人としては今の時点では合格点です。よかったぁ!
できればもう一度大画面で観ておきたい、と思っています。

正攻法の極上の英国ファンタジーの世界。不思議と愛と勇気の世界。
ここからはじまる長い長いナルニア国の歴史が、きちんとすべて映画化されますように。

春休みに、たくさんの子どもたちに観てもらえれば嬉しいです。
コメント (5)
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