DREAM/ING 111

私の中の「ま、いいか」なブラック&ホワイトホール

ナルニア国物語★『第1章 ライオンと魔女』/あるナルニアンの思い込み感想・前編

2006-03-10 | ドラマ・映画・演劇・アート
子どもの頃のバイブルのような存在だったので、映画化の話を聞いた時は「無理!」という気持ちと「観たい!」という気持ちの両方が沸き上がりました。
けっこう早期に(書店タイアップの関係と思われ)予告編を見かけるようになり、なかなかいいかも?と期待しつつ、「いやいや、予告編というのは、よくも悪くも期待を裏切るためにある」と気持ちにブレーキをかけながら、というここ1年でした。

でもやっぱり嬉しくって、気持ちが高揚するのが止められないまま、迎えてしまった観賞日。

以下、ネタばれだらけですので、これからご覧になる方は、ご注意くださいませ。

●全体
4人の子役は演技重視の地味目(ハリーポッターや指輪物語と較べて)の選出ですが、個人的には納得のセレクトです。前述の2作と異なり、明確な主役を持たないことこそが、ナルニア国物語がすべての読者にとって「私の物語」となっていくマジックの秘密だと思うので、かえって4人のある種の印象のなさは、ものすごく正解だなぁ、と思いました。ルーシー役のジョージー・ヘンリーは凄い表現力!!
あと全体に、舞台のお芝居を観てるような感覚もあったなぁ。これは意図した演出なのかどうかは不明ですが、英国イメージを強く意識してる気がします。(ある意味ディズニー色がない)
うわさの特撮は動物関係や架空の登場人物関係が素晴らしい。ただ、それで予算使いきったのか、細かい部分での特殊効果は印象が薄く、今どきのフルCGとかを見慣れた目には、一昔前の映画のような印象を受けてしまうかも(ネバー・エンディング・ストーリー位。個人的には古い感覚もわりと好きです)。ちょっとこじんまりとキレイにまとまりすぎたかな、という感じです。
ただシーンごとには見どころいっぱいだし、最後の戦闘シーンが圧巻!

●プロローグ
ドイツ軍の空爆シーンから始まるプロローグはかなりびっくり。こういう始め方なのかぁ、とちょっと監督の思惑と自分のナルニア国イメージのギャップを懸念。バリバリの反戦メッセージ映画になってたらどうしよう、なんて思ってしまった。(この違和感は最後まで解消されず。)
あと、防空壕への避難シーンとか、ピーターとエドマンドの心理的対立を描こうとするあまり、時間かけすぎかなぁ、と思いました。学童疎開のため親子がお別れする駅のシーンは、確かにホロリとなりますが(ここはルーシーの不安そうな視線が秀逸)、私には冗長すぎ。全体にプロローグが重すぎました。疎開先からの展開じゃだめだったのかなぁ。
ただ、汽車にのっていざなわれる、どこまでも続くイギリスの田園風景は、別世界への導入部として、また英国作品である原作への敬意を表する意味で、納得できる展開かと思います。

●疎開先~衣装だんす
うるさ方な マクレディさんはイメージどおり(なんだか「赤毛のアン」を思い出します)。お屋敷で退屈する彼らがかくれんぼを思いつくまでが、4人の紹介にいいシーンだと思うのですが、ここもちょっと描ききれてない、というか、この時点ではなかなか4人に感情移入しきれない・4人を観てるだけでワクワク、とうわけにはいかなかったような。かくれんぼも、お屋敷紹介も兼ねてるのかもですが、ちょっとドタバタしすぎちゃった(ディズニーっぽいというか;)かなぁ。
逆にルーシーと衣装だんすとの出会いは、もっと派手に演出してほしかった。ここはねー、ナルニアンにはものすごぉく重要なシーンなので(昔、衣装だんすを見ると扉を探した経験を持つあなたならわかりますね?)もう少しだけていねいに描いて欲しかったかなー。(小うるさい姑か?私!)

●街燈~タムナスさん
タンスの奥~ナルニア国へ。表現が難しいシーンだと思いますが、合格ラインではないかなぁ、と。とにかく雪景色が素晴らしく美しい。あとスケール観が私の思うナルニア国イメージと一致してて、予告編の時から期待していましたが、街燈とルーシーのカットはまさに原作再現でした。
そしていよいよナルニア国住人とのファーストコンタクト。この映画で感動したキャラの1人がタムナスさん。イメージかなり近いのでは?いかにもイギリス紳士な容貌も素敵♪お茶のシーンは、ルーシーのリトルレディぶりが可愛い。違和感なくタムナスさんと馴染んでるルーシーを見て、一番年下の彼女(=まだ現実に染まっていない存在)が最初の訪問者、というのは意味があったんだなぁ、と再発見いたしました。(激遅っ;

●エドマンドと白い女王
二度目の訪問に出かけるルーシーを追って、ナルニア国に来たエドマンド。いよいよ白い女王登場です。えっとねー、もっと特撮効果とかで、神秘的な登場にしてほしかったなぁ。白い魔女役のティルダ・スウィントンは理想的な配役だと思ったのですが、どうしても人間に見えてしまう(当たり前といえば当たり前)。これは演出がベタすぎるためだと思います。ちょっと手抜き?(オイオイ
うわさのターキッシュ・デライト、苦労話を思い出しながら見ました。

●カーク教授
エドマンドの裏切りでピーターとスーザンに信じてもらえないルーシー。そこにお屋敷の主・カーク教授登場。・・・泣きました(え?)。雰囲気よく出てます。あなたにずっと逢いたかったよ。(きちんと全7シリーズが映画化されることを願っています。)

●4人とビーバー夫妻
そしてとうとう、運命の4人の子供たちがナルニア国に召喚されます(これって絶対呼ばれてるわけで・・・)。おひとよしのビーバー夫婦が登場し、ナルニア国の魔法世界が本格的に広がりだします。いやぁ、毛皮を気にするビーバー奥さんと、「きれいだよマイディア」とフォローするビーバーダンナ、最高!!
一方白い女王の拠点、氷の城では裏切り者・エドマンドが秘密警察隊長・のモーグリムに襲われます。狼、カッコイイよね!(オイ!)ここからエドマンドは非常に悲惨な目にあいますが、原作同様、お菓子のために兄弟を売っちゃう行為(その背景にはピーターへの根強い反発があるにしても)の代償はデカいのだった。子どもの時も痛かったが、映画でもイタかったです。と、イタさが伝わった時点で、エドマンドの役割的には大成功だと思います。

●サンタクロースと春の訪れ
ここからしばらくはエド以外の3人+ビーバー夫妻が、モーグリムの手を逃れて、アスランに会いに行く旅になりますが、個人的には活劇意識しすぎな印象。でもこういう描き方しかできないかもなーとも思う。見せ場の1つでもあるサンタクロース登場がぱっと見それとわからないのが残念・・・。武器をもらうのはRPG 系のお約束、というかナルニア国物語がベースなわけですが・・・。ポーションもちゃんとあるしね♪「ナルニア国にもクリスマスが・・・」そして溶け始める大河。4人が来たからこその変化なのですが、そのあたりちょっとわかりにくかったかも?

以下、後編に続きます。
(お読み下さってありがとうございます。しばらくお待ち下さいませ

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コメント (4)
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