ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

手乗りアゲハチョウの背景に進化のロマン

2020-07-13 10:13:33 | 日記



羽化の直後でまだ飛ぶことができないアゲハチョウの成虫を見つけた。場所は車の交通量
が多いのに、歩行者と車道が白線を引いただけで区切られた道路に面した住宅の垣根です。
常緑の葉にしがみついてモゾモゾと動いていました。このまま羽根が乾き、飛び立ったな
らば、家の前を激しく行き来する車との接触が懸念されました。そこで、飛べないアゲハ
チョウを手に移動させて、隣接する空き地の安全な葉の上に止まらせたのです。

命の救いの手になったと思いたいです。アゲハチョウ(正式名はナミアゲハ)はオスでし
た。羽化直後の羽根の模様はとてもくっきりとしており艶やかです。その美しさに暫く見
とれてしまいました。普段見るアゲハチョウは飛び回っていますので、こうしてじっくり
と飛び立つ心配もない環境で、肉眼観察ができる機会はこれまでにありません。手の上を
歩き回る時のムズムズした感覚は貴重な体験でした。

アゲハチョウはとても軽かったです。そう感じた時に前回のブログの中で書いた「昆虫は
幼虫のときに葉っぱを食べます。幼虫は移動性を犠牲にしてでも、ほかの動物が手を付けな
い、いたるところにある葉っぱを食べるという選択肢を選んだ。(実際は親が、選んだ葉へ
産み付けたのですが・・・)その結果、幼虫は大きくなれない(体が大きいと葉っぱが大量
に必要だが移動能力が低いので無理)。ただ、このままだと行動範囲が狭すぎてリスクが大き
いし、交配もできない。そこで、育ったら蛹となって羽をもつように変身する。以後は消化の
いい花の蜜や樹液などを摂取するのです」の記事を思い出しました。今まさに手の平で動
き回っている出来事は、この変身に立ち会っていることになるわけで、感動の目で見つめ
ました。
前回のブログ:狭きとも楽しい我が家「ハモグリバエ」(2020年6月29日)

<蝶の進化について>
今回の出来事に遭遇しなければ蝶の進化について関心を持つことはなかったと思うのですが、
羽化直後の綺麗で多様な模様を見ながら、アゲハチョウがどのようにして進化してきたのか
知りたくなりました。

1.蝶は最古の生きた化石
  「2億年前、蝶は地上を舞っていた? 独で世界最古の化石発見」(2018年)の記事から
  の引用です。
  哺乳類の祖先が衰退し、爬虫類の繁栄が始まった時代と言われる2億年前の三畳紀から
  ジュラ紀初期にまたがる地層からチョウ目の鱗粉の化石が見つかったそうです。鱗粉は
  現生のチョウ目のほとんどの種が、共通して備えている代物ですね。地球が誕生したの
  は46億年前、私たちホモ・サピエンスの種が初めて現れたのは、およそ20万年前です。
  そして、植物化石から考えられる花の出現時期は1億年ほど前だと言われていますので、
  蝶の祖先は地上に花がない地表を飛びまわっていたことになります。どんな姿をしてい
  て何を食べていたのでしょうね。

2.アゲハチョウの種の変化について(BRH JT生命誌研究館HPより引用)
  世界に12万種と言われているチョウ達は共通の祖先種から分かれてきました。チョウの
  進化の特徴の1つは食草を変えてきたことです。アゲハチョウの仲間では、一番祖先種に
  近いのがジャコウアゲハ。現存のジャコウアゲハの祖先の中にクスノキを食べるチョウ
  が現れ、それがアオスジアゲハになり、そこから次々と食草を変えては分かれるのをく
  り返して、多様になってきたと考えられます。
  
    




シーラカンス、オオサンショウウオ、そして、植物ではイチョウの木などが「生きた化石」と
言われていますね。でもこれからは、最も古い生きた化石はと問われたら「蝶」と答えなけれ
ばいけませんね。私にとっては新発見でした。蝶を見る目も変わりました。そして、アゲハチ
ョウの多様な模様は食草転換と多様化に由来していることも知りました。

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