昨日は節分でしたね。豆まきをしましたか。最近の傾向として、豆まきはしないけれど、
恵方巻きは食べるという家庭が多くなっていますね。こうした背景から、廃棄される恵方
巻が年間10億円になると報じられていました。でも、我が家はかたくなに今でも「鬼は外、
福は内」の掛け声で豆まきをした後、歳の数+1個の豆を食べています。
(今では完食に2日間が必要ですけどね・・・)
さて、今日は2月にしては珍しい小春日和。永さんは暖かい日差しに誘われて庭のベンチか
ら、冬枯れの庭を眺めています。どんな花壇にしようかと考えを巡らしているようです。
そこへ近所に住む美井さんがフェンス越しに声を掛けて庭に入って来ました。
美井:立春になりましたね。今年はどんな花を植えられるのですか?
永 :思案中なんです。ただ、毎年この時期はいつも庭が殺風景なのが気に入らないと思っ
ているのです。でも園芸店で売られている派手な花は植えたくないのですよ。来年は
個性的な花をこの寒空の中で咲かせられたらなと思っているのです。
美井:この時期に咲く花といえば、スプリング・エフェメラル(春の妖精)の中でも特に早
く咲き始める、節分草や福寿草が思い浮かびますね。そんな山野草に挑戦してみるの
はどうですか。特に節分草の花は約2㎝と、一見小さくて地味ですが、よく見ると、
黄色、ピンク、紫、青、白など色とりどり。一つの花の中に、こんなにもたくさんの
色が見られる花はあまりないですよ。
永 :確かにそうですね。でも、特に節分草は植物園や特殊な環境の野山に出かけなければ
見られない花ですから、庭で育てるのは難しいのじゃないですか。
美井:ネットに節分草を種から育てた方の記載がありますよ。鉢でも育てていますし、庭で
も落葉樹林下の日陰地の環境と、石灰石土壌を整えると育つようです。細かいことは
うろ覚えですが、こうした環境下でゆるい傾斜地をつくり、水はけと水持ちの良い培
養土と石灰岩の「れき」と組み合わせると良いと書かれていました。手はかからない
そうですよ。
永 :面白そうですね。花壇でも上手に環境を整えれば可能だということですね。読んでみ
て挑戦できそうならやってみるかな。
そこへ散歩中の志位さんが顔を出し、庭に入ってきて二人の話に加わりました。
志位:節分草は良いですね。知っていましたか。節分草は日本固有種なんです。そして花は
白い5弁のように見えるけど、あれはがく片が花弁状になっているのです。本当の花
びらは退化していて、中心に黄色の雄しべと濃い紫色の雌しべが固まって花を咲かせ
ているんです。種からも育てられるけど、花が咲くまで3年はかかると言われていま
す。しっかりしたところから、種を購入すればそれほど難しくはないはずです。育て
方の園芸本も出ているし、球根だから毎年咲かせることも可能なんですよ。
永 :白い花びらだと思っていましが、あれはがく片だったのですか。覚えました。福寿草
は玄関先の正月飾りで購入したことがありますけど、節分草は特殊環境下で育つもの
だと思っていましたから、庭で育てるという考えはなかったですよ。
志位:節分草には白色と黄色があるんです。日本の固有種は白色で、黄色いのは洋種です。
黄色いのは園芸店でも見たことがありますよ。白色もネット通販で購入できると思い
ます。今は何でも手に入る時代ですからね。
永 :お二人に聞きたいんですけど、節分草にまつわる豆知識があったら、もっと教えても
らえますかね。
志位:節分草は環境省から準絶滅危惧種に指定されている花です。指定の原因は乱獲や自生
地の環境破壊によるといわれていますね。
美井:私からも豆知識を一つ、節分草はキンポウゲ科の植物で、この仲間の花の多くは強い
毒性を持っているんだ。節分草の英名は「ウインター・アコニット」で、アコニット
とは毒性植物として知られているトリカブトのことだから、トリカブトと同じアコニ
チンという毒成分をもっている。
永 :トリカブトの仲間とは知らなかったです。
志位:咲いている場所だけど、主に関東から中国、四国地方に分布していて、石灰岩地を好
むね。自生地としては埼玉県小鹿野町、栃木県栃木市(星野の里)、広島県庄原市
(爽涼地域)が有名だね。
美井:節分草の花言葉は「光輝」「ほほえみ」「気品」「人間嫌い」だよ。これは花の特徴
をよく表していると思うよ。「光輝」とは美しく、光輝くだから、そこから転じて
「伝統ある・名誉ある」という意味もでてくるんだ。2月~3月に開花して、6月には
休眠期に入ってしまうため、人の目に触れるのが短い。だから「気品」「ほほえみ」
の言葉が出てくるし、「人間嫌いも」短い期間しか見られない、すなわち人間が嫌い
なんだとつながるんだろうね。
志位:自生地での節分草の増え方だけど、種が黄色い蜜と一緒にアリによって巣に運ばれて
発芽する「アリ散布植物」だ。カタクリの花と同じだね。他にスミレ、イチリンソウ、
福寿草なども同じだね。自然界におけるアリの働きの重要さが分かるね。
永 :節分草から話を変えちゃうけど、節分に関わる豆まきの由来を話すね。節分の豆まき
は、鬼を払うという邪鬼が目的だね。節分の時期は旧暦で数えた元旦の前の日、つま
り立春の前の日であり、鬼門が発生すると言われているんだ。そこで、新年を迎える
にあたって鬼を払うことで、鬼がもたらす災厄などを封じ込めようという風習ができ
たと言われている。節分の豆を食べる習慣は、撒いた豆を食べると、その一年風邪を
ひかないといわれているからなんだ。だから撒いた後の豆を集めて食べるのが本来な
んだよ。撒いた豆は年豆と言うそうだ。食べる数は年齢の数だけとか、年齢+1個を食
べると良いなど地方で違うようだね。最近は 豆のかわりに、殻つきのピーナッツを
投げて、投げ終わったらカラをむいて食べるという家庭もある。豆が汚れないからだ
ろうね。
志位:最近は「鬼は外、福は内」の声が聞かれなくなったね。今では豆まきはすたれちゃっ
て、恵方巻を食べるだけでお終いという家庭が主流じゃないかな。節分の日の夜に恵
方(その年のめでたい方向のこと)に向いて恵方巻寿司を食べると、福を呼べるらし
い。スーパーのチラシに出ているよね。どうやら、海苔で福を巻くことが由来のよう
だよ。
美井:西日本の立春は柊(ひいらぎ)の枝にイワシの頭を刺した「柊鰯」を魔除けとして玄関
に飾るよ。地方によりいろいろな風習があるようだ。
志位:「柊鰯」は関東のスーパーならどこでも売っているよ。
節分草は人気のある花です。是非皆さん自生地へ足を運んでください。きっと節分草に魅了
されますよ。
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