「レンコンの産地はどこ?」と問われて、茨城県と答えられる人は少ないでしょうね。
でも、茨城県はレンコンの生産量が断トツで日本一なのです。令和元年の農林水産省調べで、
全国のレンコン収穫量は、52,700t。うち、茨城で生産されたレンコンは26,400tで、全国のレ
ンコンの約半分は茨城県産です。更に、東京都中央卸売市場でのシェアは9割超えです。
茨城県の中でもレンコンの生産地といえば霞ヶ浦周辺です。土壌が肥え、水温が高いという
自然条件が、おいしいレンコンを育てるといわれています。霞ヶ浦のレンコンは、肉厚で繊
維質が細かいのが特徴です。近年では、レンコンを粉末にして練り込んだうどんや、漬物、
お茶などの商品が人気です。
<レンコンとは>
レンコン(蓮根)は、蓮(はす)の根ではなく、地下茎(ちかけい)という茎がふくらんだ
ものですので、ジャガイモやサトイモと同じということになります。ただそれらの野菜と比
べて大きく違うのが、畑ではなく、水をたっぷり張った泥の中で育つことです。その為、空
気を運ぶ通気組織である気孔が発達し、茎に九つほどの穴が空いています。このことから、
「先が見える、見通しがきく」縁起物として、お正月や慶事には欠かすことができない食材
となっています。ちなみに"蓮"には観賞用と食用があり、観賞用のものは食用に向きません。
<なぜ霞ヶ浦湖畔が日本一のレンコン産地となったのか>
常陸風土記(713年)に鹿島地方での栽培の記録があるほどの歴史を有しますが、本格的な販
売目的のレンコン栽培は昭和20年代が始まりです。飛躍的に栽培量が伸びたのは、昭和45年か
ら始まった国の指導による米の減反政策です。この地は田んぼが深く水害が多かったことから、
水稲栽培は不向きの地域でした。稲作にはあまり向かない環境の中で苦労していた稲作農家が、
これを契機に一斉にレンコン栽培に切り替えたのです。
レンコンは、ほかの作物と違って場所を選びます。元が田んぼだからといって栽培が可能なわ
けではないため、全国でもレンコンの産地は限られています。幸いにも豊富な水と、肥沃な土
壌に恵まれている霞ヶ浦の湖畔は稲作には不向きでしたが、良質なレンコンが育つ環境として
はドンピシャの適地だったのです。日本一のレンコン産地として、40年以上も栽培を続けています。
<霞ヶ浦レンコンの特徴>
霞ヶ浦のレンコンは、ほかの県産のものと、特徴も異なります。金澄や福ダルマといった品種
が主で、節と節の間が短く、ぷっくりと丸みがあります。このぷっくりとした団子状で柔らか
な肉質、ほんのりとした甘味、そして肌がきめ細かく、美しく白いのも特長ですが、最大の魅
力はサクサクとした食感です。この歯ごたえのよさこそ、霞ヶ浦育ちのレンコンなのです。
<レンコン栽培>
成長期の若いレンコンを食する早生栽培は3月に植え付けて、8月末には収穫します。柔らかく
あっさりした美味さですが、傷みが早いので店頭販売は少ないです。普通のレンコン栽培は
4月~5月に植え付けて、10月~翌年3月頃と長い期間が収穫期です。農家さんは収穫時期にな
ると、水面に出ている蓮の茎や葉を全部切り倒し、レンコンの生育を止める作業を行います。
こうすることで地下茎であるレンコンは、泥の中で大きさや形が変わらない休眠状態に入り、
夏から冬にかけてゆっくりとデンプン質をため込んでいくことから、同じ産地のレンコンで
も収穫時期によって味わいが違うのです。秋に収穫されたレンコンはみずみずしく、サクサ
クとした歯ごたえが楽しめ、冬に収穫されたレンコンはモッチリ、ホクホクとした食感が楽
しめます。
トマトならば、赤く色づいたら収穫しなければなりませんが、レンコンは休眠状態のものを
収穫しますから、いつ収穫しても品質に変わりはなく、注文のある分だけ収穫できるのです。
ですから、農家さんは常に新鮮なレンコンを出荷しています。
レンコンは実が一度に落下することもなく、台風の影響も受けず、農家さんにとってはあり
がたい作物ですが、収穫の方法は、レンコンを傷つけないよう水圧でまわりの土を落とし、
レンコンを浮かび上がらせる「水掘り」という手法です。これが、水の中での作業なので大
変です。近年は大型ハウスの普及や品種の改良が進み、1年を通して品質の高いレンコンを
栽培できる体制が整いました。早生レンコンはハウス栽培が主流です。
<レンコンの美味しい食べ方>・・・・好きなレシピを紹介します。
(1)レンコンのお好み焼き
まずレンコンは皮をむかずにすりおろし、小麦粉、卵を加えて混ぜ合わせます。その後みじ
ん切りにしたキャベツを加えたらタネの完成。ホットプレートに豚肉を並べて焼き、その上
にタネを広げます。周囲が固まってきたら裏返し、中まで火が通ったらとんかつソースを塗
ります。お好みで削りガツオをのせたら出来上がり。
(2)レンコンともやしのさっぱりあえ
レンコンを薄い半月切りにして酢水にさらし、水を切ります。その後は、ボウルにレモン汁
とマスタード、塩、こしょうを合わせ、油を少しずつ加えながら攪拌。熱湯でゆでたレンコン、
もやしと和えて冷ましたら完成です。
(3)酢ばす
レンコンは皮をむき、3mm程度の輪切りにします。お湯を煮立てた鍋の中に入れて、透明にな
るまで茹でたらザルに上げて冷まします。別にボウルに酢大さじ3、レモン汁大さじ1、砂糖大
さじ2をよく混ぜ、そこに加えて和え、お好みで輪切りとうがらしも加えて、ラップをして密封
します。2時間ほど漬けたらできあがりです。
是非是非、霞ヶ浦のレンコンをご賞味ください!