ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

仲良し3人組、「オオコウモリ」に会う

2016-09-26 08:10:34 | 日記


仲良し3人組が広場で遊んでいると、長老がやってきて「初めてのお客さんを紹介するよ」と、
声をかけてきました。3人組は顔を見合わせながら、長老の後について行きます。

ミミ : お客さんって誰かしら?初めてフクロウ博士を紹介された時は驚いたわ。鳥と話が出
     来るなんて思わなかったものね。今日は、どんなお客さんなのかしら?
ポン吉: 全く想像がつかないな。
コン太: まさか、水の精や花の精たちとは違うよな。長老には見えないはずだから。

長老の家に着くと、木の枝に頭を下にしてぶら下がっている、黒っぽいモノが目に飛び込んで来
ました。3人組は一瞬ひるみましたが、勇気を出してそっと近づいたその時です。そのモノは枝
にぶら下がったまま、体を大きく揺らし、折りたたんでいた羽根を広げて軽く羽ばたいたのです。
羽根の大きさは体よりずっと大きく、その精悍な顔つきには不気味さが漂っていました。3人組は
その異様な姿にビックリ。その場に座り込んでしまいました。

ミミ : あ、あなたは誰?羽根があるから鳥よね。でも体に比べて、こんなにも大きな羽根を持
     つ鳥は初めて見たわ。それに真っ黒だし・・・
ポン吉: 本当に鳥か?羽根の形が他の鳥と違うね。
コン太: このお客さん、見た目がかなり気持ち悪いよ。
長老 : 驚いたかな?紹介しよう。オオコウモリさんだ。羽根があるから鳥のようだけど鳥じゃ
     なくて、ワシたちの仲間なんだよ。普段は裏山の奥深い洞窟の中で暮らしている。
     最近になって、フクロウ博士から仲良し3人組の話を聞いたので、今日はわざわざ、
     君たちに会いにやって来たそうだ。
オオコウモリ: やあ~、君たちが仲良し3人組なんだね。初めまして、よろしく!君たちの様子
     から察すると、僕の見た目は相当、気味が悪いようだな。でも、僕にとってはとても
     都合のいい体なんだ。だから、怖がらないで欲しいな。時間をかけて話をすれば、少
     しずつ慣れてもらえると思うよ。
ミミ : あら、私たちと話ができるのね。私はミミです、よろしく。でも、正直に言って、少し
     怖いわ。どうしてそんな姿をしているの?
ポン吉: ポン吉だよ。空を飛べる仲間がいるなんて知らなかった。でも、どうして逆さまにぶら
     下がっているの?頭が痛くならないの?
コン太: コン太です。僕たちに会って、何か聞きたいことでもあるの?
オオコウモリ: いろいろな質問が出たね。「ぶら下がっている」のはこの形が一番楽だからだよ。
     だから頭は痛くはならない。では「どうしてこんな姿か?」、「どうやって飛べるよ
     うになったのか?」それを答えるのは難しいね。おそらく、私の遠い先祖が飛ぶ努力
     をしていたら、身体が少しずつ変化してきて、こんな体になったのかもしれないけど、
     本当の理由は分からないんだ。ちゃんと説明できなくて、ごめんな。
ミミ : 私たちも努力して練習すれば飛べるようになるの?
長老 : それは無理じゃよ。簡単に羽根を持つ体に変わることはできないからね。
ポン吉: ねえ、フクロウ博士は僕たちのことを何と言っていたの?
オオコウモリ: 好奇心いっぱいの元気な3人組だと言っていたよ。それともう一つ、長老にもフ
     クロウ博士にも見えないものが、君たちには見えているらしいと言っていたんだ。
     どういうことなのか、その話が聞きたくて今日はここに来たのさ。
長老 : 以前、カッパの川太郎が川の中で立っているのにどうして見えないの?と言っていただ
     ろう?ワシには木の枝が立っているとしか見えなかったし、他にも似たような話がい
     っぱいある。3人組には見えて、ワシらには見えないものがあるようだなと、常々、
     フクロウ博士と話しておったんじゃよ。
オオコウモリ: 私の家族は普段、太陽が沈む頃に洞窟から出て、食べ物を探しに行くんだが、
     先日のことだった。この村のことを知って様子を見に来たんだ。その時、突風に巻き
     込まれて私の子どもが川に落ちて流されてしまった。ところが、不思議なことに直ぐ
     に川の中から手のようなものが出てきて、子どもを持ち上げて川岸に運んでくれたん
     だ。私はその様子を見ていたから、川の中に子供を助けてくれたナニモノかがいたの
     は間違いと思っている。魚には手がないから、魚ではないことは確かなんだ。その話
     をフクロウ博士にしたら、君たちのことを教えてくれた。君たちはこの話を聞いてど
     う思う?
ミミ : それはカッパの川太郎さんに違いないわ。水の精よ。道を間違えて脱水症状になって
     いるところを私たちが助けてあげたことがあるの。それで、お友だちになったのよ。
     でも、私たちにだけしか姿を見たり、お話をしたりできないらしいの。初めて会った
     時、長老や猿のエン坊にも川太郎さんが川の中にいると教えたんだけど、見えなかっ
     たみたいなの。
ポン吉: だから、彼のこのことは僕たち3人だけの秘密にしていたんだ。
コン太: オオコウモリさんの話が本当なら、川太郎があの川に戻って来ているってことじゃな
     い?早速、会いに行こうぜ。
長老 : 聞いたろう?この3人組には私には見えないナニモノかが見えたり、それと話をする能
     力があるようなんだ。納得したかい?
オオコウモリ: 今の話を聞いて、私の子どもはカッパの川太郎さんに助けられたんだと確信し
     た。今度、川に行ったら、会ってお礼を言いたいけれど、私と彼とが話をすることは
     できないのだろうな~。君たちからお礼を言ってくれないかな?今日は子どもが助か
     った理由がわかったので、ここに来て本当に良かった。感謝するよ。
ポン吉: お礼を言う相手を探しに来るなんて、オオコウモリさんは優しいんだね。川太郎に会っ
     たら、オオコウモリさんが感謝していたことを伝えておくね。
ミミ : 私たち、最初にあなたの姿を見て、気味悪がったり驚いたりしてごめんなさいね。今は
     少し慣れて可愛らしく見えるわ。これからはお友達になってください。
コン太: 次に会うときは、動物村の外の話を聞かせて欲しいな。
オオコウモリ: ありがとう。また遊びに来るよ。今度来るときは君たちに怖がられないよう、お
     化粧でもしてこようかな。でも、この姿じゃ余計怖がれそうだからやめておいた方が
     よさそうだな。
全員 : そりゃ、そうだ。そのままのほうがいいと思うよ。

3人組に新しいお友達ができました。長老も3人組の不思議な能力を認めているようです。
オオコウモリが帰った後、3人組は川に向かって全力で走りました。
もちろん、カッパの川太郎に会うためですよね。


コメント
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