鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

オトシモノ

2007-06-14 15:00:25 | 映画(ホラー)

「オトシモノ」 2006年
監督:古澤健
出演:沢尻エリカ、若槻千夏、小栗旬、杉本彩、ほか

*****

結構見ごたえありました!
久し振りの正統派~。貞子迦椰子系の怖いオネェさん有り、
俊雄くんばりの妖怪少年有り、来る来る来る来たーーー!なドキドキ感あり。
いや堪能しました。
こういうのほんと久し振り。素敵だ。

キャストがマァいかにも人寄せ!って感じだったので、内容はどうかな?と
思ったんだけど…意外と、引き込まれるように見ちゃった。

幾重かに重なった呪いのベースになる部分が、最後のほうでチラ見できますが、
正体について伏線で出てこないゆえに、「何これ宇宙人?」ていうか…
他レビュで見たら鬼子母神…なんですってよ。
デッサン用牛骨にツノ生えたみたいなアレが? ぴんと来ないなー。
画面で見た時も、恐怖の存在というよりは、コミカルに見えてしまったし。

最後にもしかしたら、もう一つヒネリがあるかと思いましたが…
妹が最後はアレかと思ったんですけど、ふつーに助かりましたねぇ。
でも、感じは悪くないっす。
ハッピーエンドは、ホラーとしてはかえってパターン破りでいいかもしらん。

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「僕、死んじゃうんだって。これを拾ったから」
そんな言葉を残し、小学生の男の子…ヒロシは、行方不明になった。
落し物の定期券を駅で拾ったとき、謎の女に言われた言葉だという。

そのヒロシのクラスメイト、範子とその姉である奈々は、病気で入院した母親の
見舞のため、毎日のように、電車を使って病院へ通っていた。
ある日、奈々は、範子のランドセルの中に、見覚えのある定期券を見つける。
「駅で拾ったの。届けてくるの忘れちゃった」
そうして、翌日、範子は「いなくなったヒロシ君を見た」という伝言を最後に
姿を消してしまう。

運転手の久我は、トンネルの中で女の死体の幻覚を見たことをきっかけに、
内勤に移されてしまっていた。
そこは拾得物管理室…オトシモノの集まる場所だった。
先輩の川村の意味深な発言や行動に反感を抱き、運転席に戻りたい一心で、
久我は、自分にひたすら言い聞かせる。「何も見ていない、気のせいだ」と。

そのころ、奈々と同じクラスの香苗は、彼氏の茂が電車で拾ったブレスレットを
身に付けてしまい、それが外れなくなって苦しんでいた。
茂を駅で見つけ、ブレスレットを外すように問い詰めるも、
彼は以前の彼ではなく…

「オトシモノ」の意味するものは何か。
それとともに現れる黒衣の女…八重子、とは何者か。
3人の主人公たちは協力しあい、トンネルの中に隠された謎を暴いていく。

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ラスト近くの、行方不明の人が山積みになってるシーンが良かったなー。
心に浮かんだのは「堆肥」という言葉。
行方不明になったひとたちは、ここで人間としての命や心をじっくり発酵させて、
人外のものになっていくのかなぁと。

その後の、化け物ワラワラ・電車で轢き潰してGOGO!なシーンも、
ちょっとゾンビテイスト入ってて、ジャパホラーとしては珍しい展開。
それでいてバッタもん臭い感じもなく、うまく物語に取り入れてる感じが良いね♪
ただ、アメリカンホラーならひき潰される瞬間を見せるだろうケド、
この映画ではそこまでしない。
そこをいいと思うか物足りないと思うかは、好みで分かれるところかな。
駅と電車が主体だけあって、けっこう死に方は無残なことになってるんだけど、
絶対そのものズバリを写さない、親切で綺麗な演出になってます。

そのせいもあってか、ホラーのくせに、なんか爽やかなのね(笑)
主人公の女子校生も、後から主人公と友情を結ぶ遊び人風の女の子も、
やけに一途だし。運転手さんも、本質はすごい生真面目だし。
なんていうかな。
この映画の登場人物って、ホラーにあるまじきことに
『可能性を諦めない』んだわ。
大抵、ホラーの登場人物って、常に恐怖と無力感に苛まれてるモノだけど、
女の子たちも、運転手さんも、「自分にも何か出来る!」って考えを絶対捨てない。
人はわらわら死ぬし行方不明になるし、八重子も外見相当怖い話なのに、
不思議と明るいイメージで見られちゃうのは、そのへんに理由がある気がする。

このあいだ見た『隙間』も嫌いではなかったし『稀人』も癖は強いが悪くない。
でも、この映画見ちゃうとね、やっぱり、あれらはレベルとしては一段下かなって。

沢尻エリカファンも、そうでない人も、機会あったら見てみてー。


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