鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

「精神科に行こう!」

2007-06-14 13:59:30 | 本(その他)
「精神科に行こう!」
大原広軌=著  藤臣柊子=マンガ
文春文庫PLUS 

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この本を買ったとき、大型店舗のテナントである行きつけの本屋のオバチャンは、
「カバー、おかけしますか?」と改めて聞いて来た。
私がカバー要らずなことはもう知っているので、普段は、普通の(?)本だと
まず訊かない。
ただ、ホラー文庫などで、表紙が周囲にチョイと憚りそうなモノだと
訊いてくれるのですね。

『なるほど…このテの本はやはり、憚り扱いか』
と妙に納得しつつ、カバーは遠慮。

そうね…大抵こういう本を買う人は、その辺何かイロイロあって、
手に取るのでしょうからね。
私もやはりいろいろ最近考えることもあって、参考に買ったわけですが。
内容は…、本を普段読まないひと向け? って感じの密度でした。
精神科は全然怖くない!我々はこうだった!悩んでる人は早く行って楽になろう!
と、それだけで一冊使ってる感じかなぁ。

あー、うん、でも、この本を書いた動機は多分、まさしくそこを伝えるため
なんだろうから、主目的は達している。間違いない。

んで、私のほうの主目的には、この本は思ったほどの効果はなかったのだけど、
代わりに、長年の謎がひとつ解けました。

うちの母親、私が幼いときからずっと「心臓発作」で悩んでいました。
突然の激しい動悸…胸が苦しくなって、手足が冷たくなって、
もう死ぬかって感じの発作が、時々起こっていたわけです。
母が心臓発作を起こすたびに、幼心に、このまま母ちゃん死んだらどうしよう?
と不安にもなり、いつか突然ポックリいくかもしれないから、自分も常に
心の準備をしておかなくちゃ! という焦りを感じてみたりしたもんですが。

この本読んでわかった。
うちの母親、パニック・ディスオーダーと呼ばれるものだったんだ、と。

そんなん、心臓の検査でわかんないの? って思った人。疑問はごもっとも。
心臓が悪いという割に、古い人間である母は、大きな病院で検査を受けるのを嫌がって、
古くからの爺ちゃん先生のいる個人病院にかかっていました。
普段から血圧も相当高かったしね。
で、発作どめと、普段飲む心臓の薬も貰って、それをずーっと飲んでいたんだよね。
そのうち、母がトシをとるにつれ、何故かその心臓発作も影をひそめ、
いつのまにやら全く発作止めは必要なくなり。

でも、昨年その医者が、ついに老齢のため診療をやめ、
血圧の薬を貰うのに困った母が、別な病院にかかって発覚したのです。
心臓には特に異常なし。
貰った薬は、なんと全て、精神安定剤。

新しい病院では、高血圧のほかに、甲状腺のほうの異常も指摘され、
多分、こっちのせいもあったのかなぁ? と新しい医者は言っているようですが。
(なにしろ、もうずっと発作は起きないので、調べようがない)

当時の母は、確かにストレスの塊だったし、もともとが心配性でもあって、
家族の誰かが旅行にでも行こうものなら、毎日神棚に拝まずにはいられない性格だったし。
爺さん先生は、これが心臓ではなく精神的なものだと知っていたかもしれないなー。
昔は「精神科」と言ったらその…いまほど捌けた時代じゃないからね、
周囲の理解も無かったし、本人に「これは精神化」と言うことさえアレだったかも。

でも結局、私が大人になるまで、その症状は続いていたわけで…
軽く20年を、その「発作」に悩まされて生きたというのは、やはり、
母は人生的に大きな損をしたような気がしてならない。

今回は、いろんなことが腑に落ちました。なるほどなーって。
…もう「発作」の起こらない今、それを知ったところで、
あまり意味が無いかもしれないけど…


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