鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

「りかさん」

2016-04-10 12:52:01 | 本(小説)
「りかさん」

梨木香歩 新潮社文庫

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梨木さんの本は好きです。
特に好きなのは「家守綺譚」と「村田エフェンディ滞土録」なのだけど、
今回は「りかさん」をチョイス。

前記事「物念世界(フリーDLゲー)」で出てきたような、
お人形が出てくるので、ちょっと思いだしたのさ~
もっとも、こちらの「りかさん」は、物念世界のような「裏」はないのだけど。

内容はざっとこんな感じ。

主人公のようこちゃんが、お婆ちゃんからもらった市松人形の「りかさん」は、
持ち主とお話できる不思議な人形。
「りかさん」の導きで、ようこはいろんな人形達の声を聴き、
その想い出を追体験する…

これだけ見ると、童話のようなファンタジーですけどね~
内容は…というか、根底に流れるものの考え方や、思考は割と大人向けよ?

文章はそれほど難しくなく、短編作りで読みやすい作り。
主人公は幼い女の子ということもあって、中学生~高校生の子なら読めそうかなぁ。
ただ、世代的に…ちょっと昭和っぽい雰囲気の時代色があるのと、
残酷ともとれる描写があることから、本当の子供向けではないかな。
どちらかというと、かつて少女だった、大人の女性向けの物語、かと。


人形…子供のころ大事にしてたぬいぐるみとか着せ替え人形、
多分もう捨てたなあ…くたくたのへろへろだったし。
お気に入りだったウサギのぬいぐるみは、固いプラ繊維のヒゲがついてたけれど、
一緒に寝てたら目に入って痛くて大泣きしたので、
危ないって、親にハサミで切られてしまったっけな。
ま、おかげで安心してぎゅうぎゅう抱っこできるようにはなったんだけど。

とっといたらよかったかなあ。
いや、やっぱり手放して正解なのかな?



他に、大人になった「ようこ」の話として「からくりからくさ」があります。
「りかさん」より難解な話になっていますが、私はこちらも好き。




物念世界

2016-04-10 11:39:34 | フリーゲーム(ホラー)
「物念世界」 ホラー風ADV
制作者:リリティー様(りりはうす

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3年前にアップされたゲームですー。
もっと古いゲームな気がしてたけど、案外新しかったのね…
私がDLゲームを知ったばかりの頃は、
ホラーっぽい作品ばかり選んでプレイしていたのですが。
その頃遊んだたくさんのゲームの中でも、これは印象に残るゲームでした。

不思議な夜市で手に入れた古道具たちが、女の子を不思議な世界に引き込む…
っていうシナリオに、和風の世界観と、少し暗めの音楽が、すごくぴったり。
凛ちゃんと家族の使う…京都弁?(関西の方言の聞き分けはつかない…)
も柔らかい響きで、ゲーム内の雰囲気に合っていて良いですね~

グラフィックや背景の、独特っていうか…
絵の具で描いたようなタッチも、良い味出してます。
3番目のステージは、花札の季節に合わせて12の世界があるんですが、
それぞれが綺麗。

新作の「愚者アリア」では、題材をタロットに移して、
さらに進化した美しい世界が見られますので、まだの方はそちらもぜひ!

それにしても、主人公・凛ちゃんの、素直で、少しのんびりした性格は可愛い。
ゲームの魅力の半分は、凛ちゃんにあり!と言ってもいいくらい。
こんな良い子じゃあ、古道具たちも無事に返すしかないよねぇ…^^;

あとの半分は、雪慈くんかな。
3つめのステージで出てきたと思ったら、最後にすべてを浚っていきました。

昔、最初にプレイしたときは、どうしても花札が見つけきれなくて、
なんとか雪慈くんを連れ帰りたい!と頑張ったものですが…
…どちらも、どこか切ないことには変わりなかったな…




ここからちょっとネタバレっぽく。


実際にプレイしてみるとわかると思いますが、このゲーム、
「味方だと思ったらそうじゃない」というパターンが多いです。

これを言うと京都の人に怒られそうですが、
一般的に言われる「京都の人は言うことと考えることが違う」っていうのを
彷彿とさせる感じがあるような気もしますー(夜市の仮面の人々とかも、ね)

それに方言っぽい言葉や、凛ちゃんのゆったりめの性格、和風の設定があいまって、
なんともいえない、ほの暗い世界観を作り出しているのですよね~

かといって、その「雰囲気」だけに頼るのではなく、
しっかりゲームとしての、探索や謎解きも作りこまれていて、
飽きずにプレイさせてくれるのも素晴らしい。
ボリュームとしては短めにも感じますが、
ゲームも食事も、もっと食べたい遊びたいってところが適量…?w