鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

銀の欠片と柘榴の実

2016-04-06 16:30:53 | フリーゲーム(乙女)
「銀の欠片と柘榴の実」 乙女ゲーム・ホラー風味・15禁
制作者:しのゆ様(Planetarium


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最初の一回は、ごく普通の優しいラブストーリー。
あれっ?終わっちゃった?と思うかもしれませんが、
落ち着いて再度、始めからゲームを開始しましょう。

初回と同じようでいて、どこかが違う日々が始まります。


ああ、語りたいけど、ネタバレになってしまう!!
ただ一つ言えることがあるとするならば、
どのエンディングも、普通の乙女ゲの展開ではない!とだけ。

登場人物は少ないですが、それぞれの想いや葛藤が強くて、
すごく「濃い」話ですよ。

同作者様の「退紅」もそうなのですが、
ただ純粋な「好き」だけでは終わらない、嫉妬や憎しみ、自嘲と絶望、
それでも消せない情や、思いや、欲望…
それらを全部混ぜ合わせて、キャンバスに塗りたくるような…
そういう恋愛を描かれる方です。

何がいいとか悪いとか、そういう次元の話じゃない感じ。
綺麗なまま人を好きでいるには、ひとの心は脆すぎますやね。

個人的には「終わりなき茨~」エンドが好きかな。
あのエンド群の中では、先に望みがある感じなので。
結局は、どんな形であれ繋いだ手を離さずにいられるなら、
それが一つの答えって気もします。

そして最後にオープンされる「もしもの結末」はハッピーで嬉しかったのだけど…
何か、本来そうはなれなかった二人が見る、
うたかたの夢のようにも見えて、どこか物悲しくもなりました。



しかし、一人悲劇に浸っているユリウスは、
なんだかんだとエマ自身を得ていますが(愛であれ憎しみであれ)
どのエンドでも、一番報われてないのは、どう考えてもヴィック…

夢見鳥

2016-04-06 14:03:15 | フリーゲーム(BL)
「夢見鳥」 BL・総ヤンデレ
制作者:明野貴志様(夢見鳥公式サイト



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ホラー→BLにカテゴリ修正いたしました。
なにやらあちこちでご迷惑をかけた様子で申し訳ないです^^;


前半は、物凄く爽やかで健全に始まるこのゲーム、
数々のイケメン達と出会って、主人公とも仲良くなって、
このままいけば幸せになれそうな…なんて思ったところからが
さあ、本番です

それぞれの攻略対象は「ヤンデレ」という共通項はあるものの、
一人として同じタイプがいません。
一口にヤンデレといっても、ここまでバリエーションがあるなんて…
いえ、基本、独占欲や嫉妬深さは共通しているのですが、
現れ方が違うというか…いや、凄いな作者様;
ヤンデレ好きな人なら、絶対にハマると思います。

爽やかでマトモな路線の時との落差もあいまって、
プレイしながら、幾度「…こわっ!」と呟いたことか。
肉体的などうこうはともかく、精神的に「逆らえない」方向に
持って行かれるのがキツいですね~…
マコトくん、最初は普通にイケメン枠の男の子なのですが、
読み進むにつれ、全てに受け身で女性っぽい印象に…
てか、優しいのはわかったから、何でも受け入れて赦しちゃダメだって!

どのキャラルートでも、マコトくん本人はすっかり絆されて、
なんとなく幸せそうなのですが……が…
どのハッピーエンドでも、もう一段、最後にオチがついていて…orz


全てプレイし終わった後は、マコトくんの運の悪さに合掌するしか。
廻りにみんなヤンデレしかいない上、身内もアレで逃げ道ゼロですよ。
彼が蝶だとしたら、全方位に蜘蛛が巣を張って待ち構えてるみたいなもんで;
何をするにしても、最初から運命は決まってたって感じ。




正直、この中で誰が一番マシかといったら、先輩とか先生なんですかねえ…
少なくとも、好きな相手を肉体的に傷つけようって方向にはいかないみたいだし。
特に先生は、きちんと仕事さえしてくれれば、平和で幸せな未来が望めそうです。

黒嶺は頭悪くて行動直結だから、一番危険そう…
黒嶺ルートの青木さん絡みのバッドエンドときたらもう…orz



デンシャ

2016-04-06 12:57:09 | フリーゲーム(ホラー)
「デンシャ」 電車探索ADV・一世紀近い時を一気に駆け抜ける超特急
制作者:逢海様、羅伊紀様(小麦畑

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そして電車繋がりでもう一作。
電車の出てくるフリーゲームなら、これは忘れてはいけない。

「マヨヒガ」「オシチヤ」で和モノ独特の昏がりを表現し、
「冠を持つ神の手」や「ダンス・マカブル」では独特の世界観を魅せてくれた
サークル(なのかな?)小麦畑様の、ちょっと昔の作品です。

もともと深い作品を作る方々で、どのゲームもプレイしたあと、
心に残る「味」…「余韻」?があるものが多いのですが…
中でもこれが、本当に好きで好きで。

まず、最初に心を掴んでくるのが、演出。
ところどころさしはさまれる、狂言回しのモノノケ達がすごく良く、
一見とりとめのないセリフも、二周目をプレイすると、
意味がわかって唸らされることうけあい。

そして、ただ探索するのではなく、
謎解きやパズルチックな要素があるのも良い。
パネルをひっくりかえして裏返して、新しい車両を見つけるの楽しいっす。

そして圧巻なのは、シナリオ…というか舞台設定と言うか、
主人公の男の子が探索する「デンシャ」そのものの「意味付け」

ゲームを始めたら、多分最初に電車の「号数」についてアレ?って思うはず。
その理由は、物語を進めていくにつれ明らかになりますが…
「電車の車内」という、一つ一つはごく狭い、限定されたマップなのに、
物理的にも、概念的にも、これだけの広がりを持たせられるのは凄いと思う。

短いゲームながら、いつまでも心に残るゲームです。






あなたのデンシャは、今何号車?

モノクロ電車

2016-04-06 11:12:52 | フリーゲーム(ホラー)
「モノクロ電車」短編・探索ゲー
制作者:KUROZ様(KUROZ BLOG


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うーん、ペイントだと、画像縮小かけると潰れるねえ…

制作者様、「フラスコのゆめ」や「隠が果て」「灯籠トンネル」「フリーズメア」
など、数々の良作を出してる方です~
最近は初作の「鏡花水月」の続編が出てるかな。

どれも雰囲気の良い面白いゲームではあるんですが、
この作者様、難易度もそこそこあるのが特徴で…
トロいわたしは、フラスコと灯籠とフリーズメアしかクリアできてません。
(しかも攻略見つつね)
「隠」はシナリオ面白そうだったんだけど、岩とムシが避けられなくて…orz

そんな中、一番難易度が低くてサックリ系と思われるのがこの「モノクロ電車」
プレイ時間も、一時間くらいかな。
避け要素はありますが、難易度激甘。
基本は「お使いゲー」なので、トロくても安心!
サックリ遊べてサックリ終われて、エンドの後味も良い~

ま…良いエンディングを迎えるには、一工夫必要かもしれませんが、
つまりは「すべての場所を探索」すれば大丈夫。
バッドエンドになっちゃう人は、
エンディング直前で、全車両洗いなおしてみると良いかも。



モノクロなのに、どこか雰囲気があたたかいのは、
出てくるサブキャラ達の魅力ですかねえ。
「いいオトコ」は実際、だんだんイケメンに見えてくる気が…気が…

…気のせいかな、やっぱり。


Twelve Doors

2016-04-06 00:35:08 | フリーゲーム(ホラー)
Twelve Doors」ブラウザフラッシュゲーム・がっつりホラー
制作者:sanetomo様(SANETOMO WORKS


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ものすごく古いゲームで恐縮ですが、
私にとって、一番最初に強烈な印象を受けたゲームです。
これこそが私にとってホラゲーの基礎であり、ある意味、聖域。

内容は、記憶を失った主人公が、閉鎖された見知らぬ施設の中で目を覚まし、
自分の記憶と、脱出経路とを求めて探索する話。
施設の中には、陰惨な実験に関する書類や情報がちらばっており、
やがて、それらの実験の結果を、主人公は実際に目にすることに…

男っぽいヘビーなシナリオと、しっかり作りこまれた設定や背後関係は、
プレイヤーを否応なしに、ゲーム内の世界観へと引き込んでくれます。
しかも、画像がやたらリアルなので、クリーチャーが怖いのなんの。
まるで、海外のホラー映画見てる気分になりますわー。
黒焦げの眠り姫や、ピノキオ…ビッグマウス(だったかな?名前うろ覚え)
個人的に、ステファニーが近づいてくるシーンの、あの恐怖は忘れられない。
その前段階で、あの機械にぶら下がってるの見た後のアレは効く。

また、選択次第では「自分自身」の正体すら変わってしまう、という
分岐シナリオも良かった。
「主人公の顔が防護服で見えない」と言う設定を、
最大限に生かしていて、見事だと思います。

今まで多くのフリゲーをプレイしてきましたが、
何回プレイしても楽しい、と思わせるゲームは、そう多くありません。
特に、受け身で楽しめる映画や書籍と違って、ゲームはひと手間多いですから…

私の場合、あれすごく面白かったなーと思っても、謎解きやアクションが面倒で、
再プレイを忌避してしまうケースも多いです。
(なまじ、ストーリーはある程度覚えているから、
 新鮮味がなくて、余計に作業感が増すのだな…)
でも、これは今まで、何回も何回も繰り返しプレイしてますね。
アクション要素もあって、けっこう面倒なゲームのはずなんだけど。


今のホラーゲームには、あまり無い雰囲気の作品ゆえに、
たまーに思いだしたとき、ふと、やりたくなるのかもしれません。




文句なしに、名作だと思う。