鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

クチダケ

2017-12-06 09:17:25 | フリーゲーム(SF)
「クチダケ」
ステルス・逃げゲー・SFホラー
制作者:りろりんと様(夢中になる何か

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キャーロンはかつての人類の母星「地球」について研究する、海王星の大学生。
調査のために地球に向かう途中で、いきなり攻撃されて月に墜落してしまう。
運よく生き延びたものの、宇宙船は大破。そしてそこは、人間を喰らうバケモノ…「クチダケ」が蔓延る場所だった。


ver1.00・地球の欠片10個で無事クリア。

「地球の形見」の作者様ですね〜
地球の〜は往年の海外SF小説のようで、私的にはとても好きなシナリオだったんですが…
操作キーの複雑さについていけず〜、アクションヘタクソな私はどうにも先に進めなくて断念しました。
今でもすごく先が気になります。誰か実況…実況を頼む…orz

今作は、地球〜にも出てきたキャラ、キャーロンが主人公。
アクションゲー…と言いつつも、逃げ避け主体&使うキーが少なく簡単操作(←ここ重要!)の、プレイしやすいゲームに仕上がっています。
クチダケは、周囲の青い光に入らない限り襲ってこない&大体同じ場所をウロウロしているので、安全な場所でゆっくり様子を見ながら進むことができるんですよね。
また、万が一見つかっても、床に設置する罠を使うことで、一時的に動きを止めることも可能です。

セーブはセーブポイントでないとできませんが…一応、イベントの区切りごとに、要所要所に置いてあるので、不便はないかと。
ただ、後半は、長いアクションパートをセーブなしで頑張る部分が何カ所か出てきますんで、そこは根性で!


シナリオはちょいシビアめ。
一応、他にも同じように墜落してきた人間と出会うことは出会えるんですが…
素直に「ああよかった!」とは言えない状況なのですよね。
生き残った人間は5人。脱出ポッドは2つ。
とりあえず協力関係を築きながらも、決して互いを信頼してはいけない…
そんな微妙な状況がなんともいい味を出していました。


攻略上、詰まりそうな場所は特に…あ、一か所だけ。

後半、ラスボスと出会ってそのまま追われるシーン。
どうしても外に向かって逃げたくなりますが、建物から出ても話が進みません。
…ラスボスに殺されたあの人は、いくつかアイテムを持っています。
逃げながらまずそれを取り戻し、その部屋の奥の扉を開けてその先へ進みます。
私はここで周りなんか見ずに外に逃げ出してしまい、しばらく「話進まない…」と悩みました。

地球の欠片は、割とわかりやすい場所に落ちています。見逃すことはないと思いますよん。
ただ、一見攻略に関係ない建物もきちんと調査しときましょう。
話が進むと、最初に入れなかった建物も、何カ所か入れるようになります。



無人の星に閉じ止められた人間たちと、襲い来るバケモノ。
昔のSFホラー映画…エイリアンシリーズとかが好きだった人なら、きっと気に入るんじゃないでしょーか。

おすすめですよ~

外交大使サザンテ

2017-09-30 01:35:05 | フリーゲーム(SF)
「外交大使サザンテ」
1~23話 未完結・先が気になる…
製作者:萩本創八様(旧Mole Waltz・現シニカルとレトリック

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エポボニオ星にただ一人しか存在しない、外交大使・サザンテ。
私生活はだらしなく、誘惑に弱いダメ人間の彼女だったが、外交手腕はかなりのもの。
普通の人には想像もできない切り口と手管で、一癖も二癖もある他星の種族たちと同盟を結んでいく。


…って感じの、SFビジュアルノベルですー。
DLサイトの初出が…えーと2014年ですか? あれ?これそんな新しかったかな?
サイトに登録したのがその頃ってだけかな?
かなり昔の作品にも関わらず、時々読み返して、やっぱり面白い…と再確認しております。
好きなんですよね、こういうの!!

メインテーマは、星同士の「政治外交」。
こう書くと、かなり難しい話っぽく感じると思いますが、サザンテのキャラや、個性的な種族たちの軽く楽しいかけあいなどのおかげで、かなり「面白とっつきやすい」話になっております。
最初に言っておきますが、この話には地球も地球人も出てきません。
いちおうヒューマノイド型とはいえ、異星人しか出てこないこともあって、グラフィックは大変個性的。

古い歴史を持ち、独特の外交システムとその実績において他の星から一目置かれるエポボニオ。
優れた軍人を輩出する星ホヘニオ。
ホヘニオから逃げ出した犯罪者が作り出したならずものの国カノーバー。
若年期は知能も高く賢者のような話し方をするのに、老成するにつれて幼児言葉になっていくオボンコ。
万時において適当、礼儀作法など二の次・むしろ要らないという、種族全員B型としか思えない星エルモ。
ライオンの姿形をしているのに、穏やかで聡明・菜食主義者のパナ。
コンピュータ関連の技術に優れていながら、口から出るのは悪口雑言ばかりのプルチョッポ。
女が支配し、肉弾戦に特化したアマゾネスの星ザケドス。
女を魔女とする宗教を持ち、20歳になる前に種族の女を虐殺する習慣があることから、周囲の星に忌まれているロックアーリ。
長い寿命を持つがゆえに人口爆発に悩み、他星の領土を狙うペシドリア。

などなどなど… よくもまあ、こんな面白い設定作ったなあ、と思うしかない個性的な種族の数々。
これだけの種族と登場人物が出てくるシナリオにも関わらず、その全員がきちんとプレイヤーに印象付けられて、プレイしていて「これ誰だっけ?」みたいな感覚が全くないのが、まずすごい。
そして、そんな彼らの星ごとの環境・事情・種族の性質などなど、それらをうまく絡み合わせ、双方が納得できるよう調停していく様が、とても見ていて面白いのです。

設定も深く、ちょっとした言葉が、世の真理をついていてニヤリとしてしまうことが多々。
綺麗ごとでは済まない、済ませない部分をしっかり見せながらも、決して醜悪ではない…むしろ…潔い、という言葉が似合う世界観のように思います。

おそらくそれは「正しいかどうか」で物事を計っていないせいかもしれません。
それぞれの星に癖があって、変わったところも良いところもあって。それはこちらにとって時には不都合なことであっても、相手にとっては決して譲れない「正義」。
それは、どちらがどう、という事ではなくて、立場と感覚の「違い」があるってだけのこと…。

一般的には、言い合いや喧嘩を「悪いもの」と受け止めることが多いけれど。
そういう形で幾度も軋轢を繰り返さなければ理解できない関係もある…かもしれない?

未完結であることが惜しいですが…途中まででも、十分読み応えのある作品なのです。
SF好きな方におすすめよー♪

ちなみに私の推しキャラはヘンデルス。かっこいいぞう!ハゲだけど!!
あとシアラーはマジ聖女!






っていうか、現実にサザンテみたいなスーパー外交官がいたらいいのに…
このごろウワサの近所のあの国を、ぜひともなんとかして欲しい…!

架空共生層アウターハッシュ・ワン 泡沫世界破裂

2017-09-10 23:59:19 | フリーゲーム(SF)
「架空共生層アウターハッシュ・ワン 泡沫世界破裂」
ノンフィールドダンジョン探索ADV・水底の閉鎖世界
制作者:北街かな様(syspom

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水中に浮かぶ「泡」の中に作られた世界「ミナゾコ」
そこでは半分魚の姿をした人々が平和に暮らしていた。
しかし、技術が進歩していくごとに、泡の中の環境は汚染されてゆく。
泡の下層部に汚染物質を集めて押し込めながら、人々はなんとか日々を過ごしていた。

学校を卒業した学生たちの最初の仕事は、この汚染物質から生まれる怪物たちを除去する「地下清掃人」と決められている。
晴れて成人したばかりの少年・サトリもまた、友人のトーマとともに作業服を身に付けて、地下にある街へと向かう…

印象的なオープニング。
作中で、幾度も繰り返し差し込まれる「少女」のムービー。
どちらが現実で、どちらが夢か。あるいは両方現実?それとも両方とも夢?
ごく普通でリアルな地上の記憶と、水の底の都市の生活とが交互に立ち現れるシナリオに、プレイヤーはついつい「これはどういうことだろう??」と悩み考え、引き込まれてしまいます。

いやー、こういう雰囲気、すごく好み!!

正直、最後までプレイしても、わからない部分が多く、謎は残りっぱなしなのですが。
それでもなお、とても印象的で魅力的なシナリオでした。
ちょっと学生時代を思い出すような、ゆるりと「管理されてる」感じ。
少し息苦しいような雰囲気の閉鎖世界に、水中の設定がうまくマッチングしているのもイイ。

そんな中、まったく「身分」の違うサトリとトーマの、互いを思いあう友情には泣けました…
できることなら、もっと違うエンドにたどり着かせてあげたかった。
けれど、おそらくこの世界は文字通りの「泡沫」なのでしょう。

サトリとトーマは、また新しい「泡」でいつか再び出会い…少女はそれを壊し続けていくのでしょうか。
ていうか、サトリと少女の間には、一体何かあったんでしょうね…;

どうやら、このゲームは、『架空共生層zero』という前作の設定を踏襲しているらしいので、こちらをプレイすれば、もう少しいろいろ腑に落ちるのかもしれません。
また、 アウターハッシュ・ワンそのものも、大幅なリメイクが予定されているようです。
そちらでは、現verよりもっと最終章のボリュームが増えるようで、今から楽しみ!
できることなら、サトリとトーマに…そして少女にも、幸福な結末が…あるといいなぁ。


そんなシナリオを最大限に生かし、魅せてくれるのが、全篇通して手書きされたグラフィック。
水底の世界ということで、ブルーを基本色として、他の色彩をぐっと抑えた画面は癒し感抜群。
キャラグラフィックも、とてもお上手でした。
冒頭から何度も繰り返す少女のシーンの、一瞬の動きを切り取ったかのような連続画は、躍動感があって目が離せません。絵から絵へ…画面の繋ぎもよい!


えーと、あとは…そう、システムについて。

サトリたちが潜っていく「下層」「深層」はノンフィールド・ダンジョンです。
一歩進むごとにざくざくお腹が減り、食料がなくなると、今度はHPMPがみるみる減っていく。
とにかくことあるごとに喰いまくらねば、あっという間に死んでしまいます。
しかぁし!素直に食料を買ったり加工したりしているとですね、最初は全くお金が貯まりません!

そこで、私がとった方法はこうでした。

一番最初のダンジョンは、少し行くと無料で回復してくれるお姉さんがいるので、そこの近辺を空腹のままウロウロしてお金と材料を溜め、装備を整えます。
装備が整うころには、そこそこ食材も集まっていると思うので、今度は、そこから「一番満腹度の高いもの」を中心に作って備蓄していきます。
ある程度食料が溜まったところで、次の休憩所まで、一気に踏破!

あ、そうそう。大事なことなのですが、「直接攻撃」と「間接攻撃」は、どちらかに偏らず、両方使うようにしましょう。
実はこのゲーム…直接攻撃ばかり使っていると最大HPが上がる代わりにMPの上限が減り、間接攻撃ばかり使っていると、MPの上限があがる代わりに、最大HPが減っていきます。
直接・間接をなんとなく交互に使う…くらいの心掛けで調整しつつ戦うとよいかもね。

食料品は買うより作ったほうが安上がり。
また、不用品は売ることができないっす。
武器や身体防具は、サトリ専用やトーマ専用のものがあるので、間違えて余分に作らないように注意しませう。


とにかく雰囲気が良いゲームでした。
SFっぽい設定が好きな方におすすめ^^

マツリ対あかつき

2017-08-06 23:11:32 | フリーゲーム(SF)
マツリ対あかつき
ゆるめガンアクション・何気に深い設定
制作者:94様(「94」ゲーム攻略

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「土茜町異空間回想録」の作者さんの、ひとつ前にアップされたゲームですー

マツリがある日、いきなりの爆発音に何事かと自室を出ると、何者かの侵入アラートと、非常事態と職員全員の避難とを告げる放送が鳴り響いた。
さっそく自分も避難しようとしたものの、建物のあちこちで崩落や火災が起きている上に、侵入者を排除するためのセキュリティマシンが徘徊して、丸腰では進めそうにない。
部屋に戻り、隠してあったハンドガンを手にしたマツリ。果たして、無事に脱出できるのか…


今作はガンアクション、ということで、絶対無理!とプレイを避けていたんですが…
この方のゲームって、何気に全て、裏で繋がってる設定らしいんですよね。
なので、同じく未プレイだった他ゲとともにプレイしてみましたら、案外ハマってしまいました。

プレイしてみるとわかりますが、アクション難易度、そんなに高くないんですよ。
私、手覚えが悪くて、アクションのキー操作をすぐにインプットできないので、咄嗟の判断や、反射的な操作を要求されるアクゲーは苦手なんですが…(敵が来た時、慌てて攻撃キーじゃなくメニューキーを連打して殺されたりする…)このゲームは若干「猶予」がある作りでプレイしやすかったです。
剣を振り回すのと違って「方向」を意識しないといけないのと、「構え」がワンアクション多いのが、何気に手間取るものの…敵の動きは定型なものが多く、動きも遅めなので、なんとかなりますぞ!

ま、私で楽しいと感じるレベルだと、アクションマスター☆なプレイヤーさんには超ヌルイと感じるかもしれませんが…
しかし、そこはそれ!クリアに応じて貰えるいくつかのパスワードの中には、強化ボスと戦えるEXステージが解放できるものがありますんで、腕に覚えのある方はこちらをどうぞ!

ちなみに、ステージセレクトからシフトキーで行ける「休憩室」では便利なアイテムを買えたり、HPを底上げできたりします。
一度クリアしたステージは、一部のボス敵を除いて何度でもプレイできるので、自分が得意なステージを繰り返しプレイしてお金を溜めることも可能。アクション下手に超優しい!

一つ一つのステージは短めで簡単、それほどボリュームもないあっさりめのシナリオながら、さりげないやりこみ要素が癖になるゲームです。
アクションちょっと苦手~な方も、これを機にチャレンジしてみては?



そういえば、シナリオの「他作品と繋がる部分」は主にアカガミさんの存在でした。
「ユキと迷宮学校」から全部、同じ世界観の物語だったらしい?
プレイしたタイミングがぜんぜん違ってたせいもあるけど、気付かなかったな…
「スズネ☆エクステンド」とか、粗筋見てると『なんだこのゲーム?』って思うようなシナリオなのに、実はなかなかSFな話だったんですね……;

ツカサくんは…たぶん、あの子なんだろうなぁ…

漆黒ニ猫ノ声

2017-07-19 22:46:18 | フリーゲーム(SF)
漆黒ニ猫ノ声
SFクトゥルフADV・猫?憑き
製作者:(そるてぃむ~ん)様

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「はこにわエデン」の続編?姉妹作?のようなゲームです。
そちらをプレイしていると、ニヤっとできるポイントが多々ありますよ~
可愛らしいドットの画面と、ファンタジーっぽい見た目の可愛いキャラたち。
けれど、その裏にある設定はやたら不穏で…童話のような明るい世界と、異形が蔓延るダークな世界とが裏表で存在するような…そんな独特の世界観を創られる方です。

この作者さまのゲーム、私は凄く好きなんですが…
実は今までレビュー書いたことがありませんでした。

何故なら……話の全貌が掴めない、から。

「はこにわエデン」は、全エンドを回収しても、どう紹介すればいいのかわからなかった…
普通に語ればファンタジーなのですが、どう見ても、それだけではない物語でしたし。
しかし「シロの主観」のみで進む物語は、それ以上でもそれ以下でもない情報量しかなくて。
私の理解力レベルでは考察できなかったんですな…;

しかし今回の「漆黒猫」!
ある意味、「はこにわエデン」を補完する物語でもありました。
主人公は、ほぼ正常な視覚を持つ黒ピューマ憑きの「ネコ」ちゃんと、呪いのウサギのせいで視覚が異常&中身は邪神な「ノワ子」ちゃん。
この二人の主人公を交互に動かしながら、とある「研究所」からの脱出を図ります。


とりあえず、一番無難で簡単と思われるエンド1は行きついたんですが…分岐はどこだろう…
ネコではなく、ノワ子で地下の鍵を手に入れればいいのかな?

いつものことですが、可愛い見た目のキャラやマップとは裏腹に、ADVとしての難易度は高めな印象。
謎解きのヒントは大体離れた場所にあるので、スクショで撮っておくと楽。
ネコメダルは10個くらいしか見つけられませんでしたな!残りはどこだろう?
(その後粘って探索して全部見つけられました、が……ん~? エンドに変化がない??
 これ分岐条件じゃないんだ? それとも、他にもフラグあんのかな…) 


ドットの可愛らしいマップは、用途不明なものがこちゃこちゃ一杯あって、探索がけっこう難しい。
そして、シナリオ進行に必要な行動がわかりにくく、次はどこに行くとかどうするとか、あそこを探すとか、次の行動の目途が…つけづらいのですよね。
なので、大体、キャラ交代するたびに研究所内を全捜索することになるのが、なかなかツラいっす。
(でも、とても細かくフラグ設定されているため、ちょっとしたイベントの後に、別な場所にいるキャラの位置や話が変わったりするのを見つけるのは楽しくもある…?)

星座のイベントが来れば、エンド1までは終了間近です。
けれど、エンド1は「ネコだけのとりあえずなエンド」なので、おそらくネコメダルを全部集めたら、また別なエンドへの道が拓ける気がします
(追記:拓けませんでした…;嘘ついてすまぬ)

いや、コレ、一筋縄でいかないわー。
そもそもの事故の理由や研究所の役割など、物語の背景となる部分の種明かしも、切れ切れの日記や記録から推測するしかなく、たぶんこうなのかな…?って程度にしか予測できまへん。
でも、それがなんともいえない、現実味のない、ほんにゃりした雰囲気を醸し出していたりして。

ネコちゃんと、シロの研究所の面々のお話とは別軸で展開される「邪神ノワ子」の存在が、また複雑さを増す要因なんですよね…
これ…エンドを全て回収すればもう少しいろいろスッキリ…するのかなぁ??

難しいですよね。
特にADVは、プレイヤーが自分で気が付く・たどり着く、ことが一つの仕掛けだったりするし。
なんでも綺麗に解説しちゃうと余韻が台無しだし…

時間があったら「はこにわ」と合わせて、しっかり情報をメモりながらプレイしなおしたいゲームです。
あんまり役に立たない感想でしたが、気になった方はプレイどうぞ!!

誰かエロい人、おバカでもわかる攻略と解説をどうかよろしくお願いプリーズ!






この方のゲームすると、ナポリタンが食べたくなるわ………

鉄塔の上で天使は月の夢を見るか?

2017-07-12 13:18:15 | フリーゲーム(SF)
鉄塔の上で天使は月の夢を見るか?
アツマール・短編・探索ADV
製作者:まかぼと様(ニコニコユーザーページ

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あっさり終わる短編ながら、SF世界と宗教要素が微妙に融合した世界観が魅力的。
「月」から「天使」が下りてきて、地上にメッセージをもたらす…という、ファンタジックな設定を、
「廃棄場の街」や、危ないクスリ、『ヴェルヌ値』と呼ばれる謎のエネルギー物質、など、いかにもアングラな背景で包んでコラボした、不思議な味わい。
短いながらも印象に残るゲームでした。

「authoring mare」のシリーズもそうですが、世界観創るのが上手ですよね~
特に、異世界や近未来など現実離れした舞台を使う場合、世界観をきちんと作りこんであるかどうかは、話の深みと説得力に繋がるように思います。

さて今回の主人公、『鉄塔の天使』の名前はヨハネ。
彼は「月」へ帰る宇宙船を作るため、街に転がるジャンクパーツを拾い、ヴェルヌ値を集めなければなりません。
なぜそんなことになっているのかは、エノク値を上げて、ヨハネ自身の記憶を見ることで明らかになっていきます。

正体不明のマスターがいい味出してて気になります。
他にも、お姫様や近衛騎士、癖のある医者など、先々の展開をいろいろ考えられそうなキャラも多く、そのぶんラストのあっけなさが心に刺さりますねぇ…

思ったよりもヴェルヌ値の増え方が早いので、すぐに終わってしまうのも残念。
もっと街広げて、ジャンク集めしたかった…
あ、でも、ヴェルヌ値があまりない状態と、いっぱいある状態とでは、エンディングの展開がちょっと変わるので、両方見ようと思うと少し時間がかかる…かな?

鉄塔から街を見下ろし、頭上に月を見上げ。
二つの世界の中間に立つ「天使」の短い物語。
興味を持たれた方はプレイどぞ~^^




他に、同様の?世界観と「天使」を使ったゲームとして、同じアツマールに「天使を狩る物」があります。
こちらも毛色が変わっていて面白そうですよ~

しょっぱなからいきなり、人を殺して肉を捧げものにしちゃう主人公ニコラに衝撃。
「もと」天使のあの子も、今後どうかかわっていくんでしょうか…

星人少女食す

2017-06-13 12:35:39 | フリーゲーム(SF)
星人少女食す
SFホラーADV・人喰い宇宙人のUFOから脱出せよ
制作者:ムキムキチワワ様

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ハチャメチャすぎて面白い!
異星人・マイケルが顔から性癖まで、いろんな意味でヤヴァいゲームでした。
よくまあ、こんな生理的にゾゾっとくるキャラを作ったものですねぇ…;


いつもどおり、自室のベッドで目覚めた「千野理キュウ」。
なんとなく違和感を感じながら部屋を出ようとすると、いきなりタコ型のモンスターに襲われてしまう。
なんとか隠れてその場をしのいだものの、部屋の外は全く知らない場所に変わっていた。
そこに、フレンドリーな様子で現れた「マイケル」と名乗る宇宙人は、自分がキュウの両親を殺して食べてしまったことと、キュウを気に入ったのでペットとして連れてゆくこととを告げる。

いまは気に入られていても、相手は両親の敵であり、人喰いの宇宙人。いつどうなるかもわからない。
キュウは脱出して地球に帰るために、様々な宇宙人の助けを借りて、罠だらけのUFO内を探索していく。


両親を食べてしまった宇宙人に、恋愛?偏愛?に近い気持ちを寄せられて攫われて飼われる、という、キモい基本設定もさることながら、シナリオ展開が…なんちゅーか、非情?
絵が絵だし、出てくるキャラはほぼギャグだし?キュウちゃんはほぼ無言主人公だし、シナリオ上もあまり掘り下げないので、特に残酷には感じないんだけどね~

少々アクション要素がありますが、私がクリアできる程度なので大抵の人は大丈夫。
どこでもセーブできるようになってますんで、こまめにセーブで頑張りましょう。





あの子の墓を作ったのなら、他のやつと、両親の墓も作ってやれよとちょっと思った…

DELETE-Reboot-

2017-04-19 15:40:21 | フリーゲーム(SF)
「DELETE-Reboot-」
一本道ノベルADV・SFサスペンス・やや乙女
制作者:一(はじめ) 様(Fantasielos

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かれこれ9年ほど前に配布されたゲームのリメイク版。
リメイク自体も、2011年にアップされてますんで、けっこう古い話になりますね~
とはいえ、グラもシナリオも、プレイしていて全然古く感じない、良ゲームなのであります。


内容は、やや乙女なSFサスペンス。
ある日、ごく普通に自宅のベッドで目覚めたレイは、いきなり部屋を訪ねてきた3人組に、殺人容疑で警察まで同行しろと迫られてしまいます。
殺されたのは、レイの父親、とのこと。とはいえ、その出来事になんの自覚も心当たりもなく…
それでも、一応は同行したほうが良いだろうと部屋を出ると、携帯に一通のメールが。
警察は偽物で、レイの記憶は嘘で、自分は味方だ…という内容のそれは、謎の青年、「六(リク)」からのものでした。

果たして、レイは誰を信じればいいのか。ことの真相は一体どこにあるのか。
六と行動をともにするレイの視点で、プレイヤーは真実を探します。



私がこれをプレイしたときは、既にリメイク後だったので、前作がどんなものかは知らないんですが…
現バージョンではキャラグラも美しく、シナリオもせつないながら希望の残るお話でした。
ネタバレるわけにはいかない話なので、これ以上は語れませんが、とりあえずSF的なシナリオが好きな方には、強く!強く!おすすめします。

一周目が終わったあと、もう一度最初からプレイすると、随所に他の人視点の描写が入ってきます。
これを見ると、1周目では悪役にしか見えないあの人やこの人の素顔がほのみえて面白いですよ~

それにしても、プレイしたあと、なんとなく他のキャラの話も見てみたくなりますね。
同設定で、もっと多くのシナリオが作れそうな、世界観に力のあるゲームでした。
個人的には、短気なイツキくんが気になります。真面目で苦労性っぽい!

Persona - The Rapture

2016-12-06 00:24:01 | フリーゲーム(SF)
「Persona - The Rapture」 学園RPG・ペルソナリスペクト
制作者:奥山 キイチ様(製作メモ

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ペルソナ5も出たことだし!…というわけで、
ペルソナリスペクトなゲームでいきましょうかー。

初出が2007年? もう9年も前なんだ…
しかし今でも十分遊ばせてくれる、クオリティ高い良ゲーです。 
ていうか、夜明けの口笛吹きの作者さんだったって今気づいたよ…
あれも確か、かなり昔のゲームだったはず…
何年も「このゲームはいい」と、人に伝えられ続けるゲームは、やはり良い。
口笛吹きも、個人的におすすめです。

さて、The Rapture。
これは、アトラスの「ペルソナ」をリスペクトしておりまして、
魔法やらアイテムやら武器やら、ペルソナの名前やら、
いろいろ公式の設定から流用している部分が一部ございます。

ただ…いま現在のペルソナ(本家)は、3以降かなり進化しちゃってますんで、
感覚的にはそれ以前の…「初期のペルソナ」に近い雰囲気ですかねぇ。
うん、でも、ペルソナをペルソナたらしめる、独特の「何か」は、
きちんと受け継がれ、再現されているように思います。
二次創作もリスペクトも、本家への愛あってこそ。
作り手が本家を愛し、大事にしていると感じられる二次作品は、
見ていてうれしくなりますね。

主人公は、ごく普通の、影の薄い男子高校生。
イゴールと名乗る存在に「IDEA」と呼ばれる空間に呼び込まれ、
「ペルソナ」の力に目覚めたことで、
抗いがたい、巨大な運命に巻き込まれていきます。
同じ「ペルソナ」の力を持つ仲間たちとの絆を深めながら、
己の未来を切り開いていきませう。

影が薄いと言いながら~、主人公はクールなイケメン!
しかも「従者」を名乗る美人上級生が、
「あなたの言うことに従うわ」と絶対服従を誓うと、いう。
なんとも…男性プレイヤーにはたまらない設定となっております。

さらに、ペルソナと言えば主人公ハーレム。
他の女性キャラも、友好度上げのイベントを進めると、
みんな主人公が総取りな状態になりまする。
…まあ、そっちがメインのゲームじゃないんで、
総取りしたからって、特別な恋愛イベントはないのだけど。
そこらへんは、個々人が妄想で補ってくださいまし。

女性キャラがハーレムなら、じゃあ男性キャラに魅力がないのかっていうと、
これがそうでもないんですよね。
先輩二人は普通にかっこいい。友好度上げイベントは必見です。
春日くんは…すごく話してて、面倒でウザいんですが、
後半はそれがクセになるっていうか。うん、面白いキャラでした。

シナリオは、後半、少々難しい話になりますが、
それが気にならない方&未プレイの方はぜひどうぞー



Psychological Diving

2016-11-21 16:39:24 | フリーゲーム(SF)
Psychological Diving」 
制作者:村人A様(RPG作る人のブログ

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自分の体を小さくして、病気の人の体の中に入り込み、
物理的に病気と戦って治す…なんて設定は昔よく見かけましたが、
こちらはそれのココロ版。
精神を病んでしまった人の心に侵入し、
本人も気づいていない過去や手がかりを見つけ出して、
希望と、勇気とを取り戻してもらうお話です。

一応、ファンタジーの体裁で進む話ではあるんですが…
投薬治療とカウンセリング治療の間の壁であるとか、
鬱状態に陥る過程であるとか、
内容は私たちの「今」に通じる部分も多く、
半ばリアルな印象も受けました。

…ついこの間も、いきすぎた労働時間と、上司の叱責で
自殺しちゃった女の子がいたことですし…
いろんな意味で考えさせられるシナリオですね~


主人公は「心癒師」のルクス先生。投薬もするけれど、
主にカウンセリングを用いた治療を行う、心のお医者様です。
ルクス先生は、日々、力を尽くして治療にあたっていましたが、
病も傷も、すべては見えぬ心の中のこと。
患者さんの中には、救えないまま、命を絶ってしまうケースもあり、
心を痛めておりました。
そして、今もまた、その危機にある患者がひとり…

自分の無力に悩むルクス先生の前に、突然現れた深緋色の瞳の女性。
彼女…ユエルは、自分が人の心の中に侵入できる力を持つことを明かし、
この能力を、ルクス先生の治療に役立ててほしいと願います。

追い詰められ、一刻も猶予もない患者…
セリオの心の中に降り立った、ルクス先生とユエル。
果たして、闇に囚われた彼女の心を救うことはできるのでしょうか…



なんとなく、全体に解像度がボケて感じるのは…わざとなのかな?
「心の中」の世界では、それがいい感じの効果になってます。
壁面を覆う本棚と、ばらばらに散らばり乱れる本は、
脳や思考や記憶のイメージとぴったり。
そこにぼんやり灯る光や、隅にわだかまる闇、
一つ謎解きしたあと、部屋が整頓されたり、窓から光がさしたり、
映像や演出面もとてもキレイで、見ていて楽しかった~

そしてシナリオ…
セリオちゃんに起こる物事は、そのまま、現実でもよくある?感じで、
それでどんどん、気持ちが追い込まれていく様子が見ていてつらい…

いやー…こういう上司、実際いるよね! 
表面淡々と聞きながら、心の中で、この糞死ねや!って思うよね!

陰で「死ね!」って言えるタイプなら、
セリオちゃんも心を壊すまではいかなかったのかもしれませんが…
マジメな人と優しい人ほど、自分を責めてしまうお約束です。
でもまあ、セリオちゃんは最終的にはいい感じで報われますので、
安心してプレイしてくださいね!

それにしても…勇者が魔王を倒した、とか、
魔王は倒されたのに、魔物はいなくならない、とか。
何かこう…意味ありげ~に語られる、世界情勢はなんなんですかね。
ユエルも何か、秘密のありそうなニオイのするキャラですし。
心の中に巣食う「絶望」という名の魔物についても、まだ解き明かされません。

…続編来るのかな? いやどうだろう?
いずれにしても、次も楽しみな作者様です~





命より大事なものはない、なんて言いますが…
こういうのって、逃げるタイミングがすごく難しい、と思う。

というか、きっと、頑張ってるうちに、
本人には引き際が見えなくなっちゃうんじゃないかなぁ。

若い人の自殺は衝撃的だから、クローズアップされやすいけど。
妻子のいるお父さんとかが鬱になった場合、
収入がなくなったら、子供の進路将来、全てが不利になるから…
家族のために、限界まで頑張って、
ブツッと切れて自殺する中年男性も、多いっていうよ~