秋は結婚式シーズンです。
私は仕事で出席できませんでしたが
先日も妻と息子は親戚の結婚式に大阪まで行ってきました。
その報告を聞きながらついつい自分の結婚式を
懐かしく思い出したりは、しませんでした。〈笑〉
この間、図書館で借りた吉野弘詩集を
仕事の合間にパラパラとめくったりしています。
どれもいい詩ばかりですが
その中に「祝婚歌」という有名な詩が載っています。
実際に吉野さんが親戚のお嬢さんの結婚式に出席する折に
記念に贈られた詩だと聞いています。
これがなかなか味わい深い詩で
結婚式に出席する中高年のバイブルのようになっているそうです。
二人が睦まじくいるためには
○○○○ 愚かでいるほうがいい
○○○○ 立派過ぎないほうがいい
○○○ 立派過ぎることは
○○○○ 長持ちしないことだと
○○○○ 気づいているほうがいい
○○○ 完璧をめざさないほうがいい
○○○ 完璧なんて不自然なことだと
○○○ うそぶいているほうがいい
○○ 二人のうち どちらかが
○○○ ふざけているほうがいい
○○○ ずっこけているほうがいい
○○ 互いに非難することがあっても
避難できる資格が自分にあったかどうか
○○○ あとで疑わしくなるほうがいい
○○ 正しいことを言うときは
○○○ 少しひかえめにするほうがいい
○○ 正しいことを言うときは
○○○ 相手を傷つけやすいものだと
○○○ 気づいているほうがいい
○○ 立派でありたいとか
○○○ 正しくありたいとかいう
○○○ 無理な緊張には色目を使わず
○○○ ゆったりゆたかに
○○○ 光を浴びているほうがいい
○○ 健康で風に吹かれながら
○○○ 生きていることのなつかしさに
○○○ ふと胸が熱くなる
○○○ そんな日があってもいい
○○ そしてなぜ 胸が熱くなるのか
○○○ 黙っていてもふたりには
○○○ わかるのであってほしい
やっぱり詩人らしい奥深くやさしい言葉ですねえ。
結婚式のオヤジたちの決まり文句「互いに空気のような存在であれ!」
などという教条的な言葉とは一味違っています。
私はこの詩の「生きていることのなつかしさ」という分部が好きで
何かの作品に勝手に引用したことがあります。
吉野さん、ごめんなさい。
結婚のあり様も結婚式という形式も
この時代とはずいぶん違って来たような気がしますが
夫婦が一緒に暮らすことの「たしなみ」は
その原点少しも変わっていないような気がしますねえ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます