仕事の帰りにヤボ用で池袋へ。
用を終えて久しぶりににデパートをブラブラしていると
偶然、思いもかけぬ人に出会った。
女優の樹木希林さんだ。
もちろんすでに亡くなった人だから逢えるはずもないのだが
一度は会ってみたい人だった。
希林さんが亡くなってもう一年だと言う。
西武ギャラリーでそれを記念した展覧会をやっていた。
ありし日の写真や遺作となった映画やドキュメンタリーの映像を
新たに発掘した資料も含めて集めた展覧会である。
タイトルは「遊びをせんとや生まれけん」。
ご存じ平安時代の梁塵秘抄(りょうじんひしょう)の一説だが
遊ぶようにヒラヒラと舞い踊るように
融通無碍に飄々と生きた希林さんの人生そのもののようだ。
私も大枚600円也を払って
その「希」なる「林」に分け入ってみることにした。
樹木希林とはつくづく不思議な人だなあと思う。
時には意地悪な婆さんのようであり
時には慈愛の眼差しをそそぐ聖母のような存在でもあり
つねにミステリアスなベールに包まれている。
気まぐれで何気なく呟いた一言が
後々までも人の心をとらえて離さなかったりする。
フワフワと無軌道に生きているようで
その実すべてが計算づくだったりして驚くほどの洞察力を発揮する。
やっかいで難儀な婆さんなのである。
彼女がこよなく愛した「自宅」も再現されていて
愛用品もふくめて「好きなものだけに」に囲まれて暮らした空間は
我が家のとっ散らかった自宅とはまさに雲泥の差だった。
見事なほどの希林スタイルで統一された館内では
彼女のこだわりのグッズも販売されていて
デパートのたくましい商魂を感じながらも胸ふくるる思いだった。
胸もふくれたが無性に腹が減って来た。
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