福猫

ジョギングもどきの帰り道。
生垣横のベンチで居眠りしている猫に遭遇した。
近づくと気配を感じるのか首をもたげて起き上がるのだが
またいぎたなく眠りこけてしまう。

こう見ると陽だまりのようだが
風が冷たくとても日向ぼっこの環境ではないのに
よほどの睡魔なのだろうか。
最近は野良猫ではなく「地域猫」と呼ぶらしく
近所の人がエサをやったりして面倒を見ている光景をよく見かける。
それにしてもずいぶん無防備な猫ちゃんである。
私は猫になつかれたり親しくされた経験がほとんどなくて
いつも警戒心をあらわにして逃げられる。
それだけに嬉しくてついつい猫なで声で話しかけたりした。
まったく無視して眠っていたが
その姿を見ていてふと我が家の猫を思い出した。

玄関に飾ってある猫の置物である。
いつの正月だったか忘れたが何年か前に買い求めた「まねき猫」で
年が改まってもずっと飾ったままである。
その愛らしい表情が気に入っていて大いに癒されている。
生きた猫は飼えないから
我が家ではこの猫の置物が飼い猫ということになっている。
その雰囲気によく似ているなあ・・・

とうとう本格的に寝入ってしまった。
世の中は今日から本格的に仕事始めだというのに
そんな俗世のことなどまったくあずかり知らぬかのように
ひたすら眠りこける猫が羨ましい。
ああ、俺も仕事始めなど気にせずにこのまま眠っていたい！
初夢も見なかった俗人は
そんなボヤキとともに月曜日を迎えたのであった。