ホームランの職人

南海ホークスなどで活躍した
プロ野球選手の門田博光さんが亡くなった。
門田さんと言えば何よりも豪快なホームランのイメージで
いかにも職人肌を思わせる一徹な人柄と
高々と放物線を描く華麗なフルスイングが魅力だった。
もちろん大のホークスファンでもあった。

南海ホークスの本拠地は難波の大阪素球場だった。
当時の私も大坂のミナミの盛り場を本拠地としていたため
酔った勢いでよく試合を見に出かけたものだった。
確か夜の９時を過ぎると入場料が無料になったのではなかったか。
試合はむしろ終盤戦の手に汗を握るシーンが多く
そんなとき決まって飛び出すのが門田の逆転ホームランだった。
阪急の山田久志、近鉄の鈴木啓示、ロッテの村田兆治、西部の東尾修・・・
セリーグに比べてパリーグは閑古鳥の鳴く日が多かったが
各チームの投手陣はキラ星のこどとき名投手ばかりで
門田選手との対決が何よりの楽しみだった。
先日、不幸にも亡くなられた村田投手との対決も見ものだった。
マサカリ投法で力いっぱい投げる村田のフォークを
見事に打ち返して豪快にスタンドに運ぶ門田のホームラン。
ワクワクするような瞬間で酔いも吹き飛んだ。
そんな一時代を築いたプロ野球の名選手たちがこのところ
次々と亡くなってしまうのは何とも淋しい。
享年７４歳、もう一度あの渾身の放物線を見たかったと思う。