この一滑は絶対無二の一滑なり

シーズン終了。それにしても雪不足で大変なシーズンでしたね!

丸山貴雄さんの講演を聴きに行きました

2012-10-15 21:10:44 | スキーの話題一般


友人のお誘いで、あるスキー連盟主催で開催された丸山貴雄デモの講演会に一般参加することができました。 技術選を3連覇した基礎スキー界を代表する選手であり現役のナショナルデモンストレータでもある選手が、どのような技術論を展開するかめちゃめちゃ期待して聴講してきました。

以下、セミナーの内容を簡単にまとめます。

1. 技術について
(1) スキーを操作するという技術 = スキーに特有の動き(=技法) ←従来こればかりが重視されてきた
(2) 身体運動という技術 = 他のスポーツと共通の動き。体幹部(コア)を軸とした運動 ←「技法」ではなく「運動」がより大事

・ HYBRID SKIINGはたしかに自然で楽、健康で快適で効率の良いスキーだが、体軸が谷に傾くだけの脱力したダラダラ滑りになりがち。内股関節を先に緩めてしまうと上体と下肢がバラバラな運動になってしまいがち。
・ スキーはスポーツなのだから、もっとアクティブでスポーティな運動でありべきだ。
・ 従ってスキーは、むしろスピードスケートのような速く動くスポーツから多くを学べる。

2. スキー技術の解説
・ 軸を意識し、スキー面に垂直に荷重する(外向外傾や内倒ではない)
・ クロスオーバーするのではない。ただ内側に傾くのではない。顔や身体の向きは進行方向に一致させる。
・ ターン外側へ荷重する。外側への重いズレを利用する。

3. 指導方法について
・ 「外脚を踏む」のではなく「ターン外側へ荷重する」という観点から指導する
・ 低速でも高速の練習ができるはず。(例えば傾きが出たときにターン外側へ荷重する練習)

4. 3連覇へのメンタル力に必要だったこと
(1) 自己分析 ー 技術選最高3位だった現状や原因を直視しない自分を認識。人の良さやコーチの意見を否定する自分を改善。
(2) 目標設定 ー 成績目標(5連覇という高い目標を掲げる)と熟達目標(戦いながら継続的に向上する)
(3) イメージトレーニング ー 失敗でなく常に成功で終わるようにイメージを普段から作り上げる。
(4) メンタルトレーニング ー 身心一元論=心が身体を動かす。

簡単ですがまとめました。要約ですので分かりづらい点はどうぞご容赦下さい。

丸山選手の技術論・運動論を僕なりに一言でまとめると「両脚による外側への荷重」だと理解しました。ターン外側へ働き掛け、ターン外側へ荷重し、外側へのズレを利用すること。これはまさしく僕の主張してきた「板を外側へ踏んでずらし、そのたわみを活用する滑り」と同じ技術要素・運動要素だと思います。彼の講演でも「外側」という言葉が繰り返し100回くらい出てきました。

ただし丸山選手は「外脚主導」「外脚を踏む」というのは外脚一本のイメージがあるために、彼を注意深くその用語を避けていました。両足を使ってターン外側へ働き掛けることを強調されておりました。

ただ、丸山選手としか思えないめっちゃ上手いスキーヤー(^^;;;)のビデオを仔細に分析すると、どう見ても「外脚で踏みずらす(=突っ張りずらす)」動きに見えます。おそらくご本人としては「外へずらす」と「踏む」はの運動感覚的に違うのでしょう。この点は今後さらに研究が必要だとは思いますが、少なくとも丸山選手の言う「外側への荷重」と、僕の主張してきた「板のたわみを利用する滑り」はほぼ同じ技術要素であると今は考えています。これが確認できたことが今回の講演に参加した最大の収穫だったと思います。

実は正直申し上げると今回の丸山選手の講演を聴く前は、技術選を3連覇した現役ナショナルデモンストレータとなれば、SAJ教程に対して遠慮した内容になるのではないかと予想していました。しかし実際には丸山選手はSAJ現教程の欠点をはっきり指摘し、ご自身の考える正統派の技術論を明確に述べました。これは大変勇気のあることであり、高く評価したいと思います。

願わくは丸山選手に要望したいことは、次の技術選は教程に迎合することなくご自分の掲げる理想の滑りを全面に押し出して戦って頂きたいと言うことです。丸山選手が3連覇した時のインタビューで「自分の滑りが本当は好きじゃない」と言いました。であれば僕は丸山選手にはとことん自分の好きな滑りを追求し表現して欲しいと思います。僕らが見たいのは教程に則った優等生的な滑りじゃなく、丸山選手が自分を最大限に表現したときの他人が真似できない驚異的で圧倒的な滑りなのです。

さらに願うならば、全日本スキー技術選というイベントが、どれだけ型にはまっているかを競う大会ではなく、どれだけ型破りな個性を競う大会となることを心から願うのであります。


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2 コメント

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乗る刑事さん (HT)
2012-11-06 21:43:11
コメントありがとうございました。

確かに定義が曖昧で、一般の方の理解を妨げる用語が多いですね。

自転車の乗り方について記事を書きましたが、自転車に乗れる方法が言葉で伝えられないのと同じで、スキーの滑り方も言葉ではなく、カラダの使い方を実践で身に付けて頂けるように工夫しなければならないと思います。

実際の指導では用語に頼らず、スキー上達のコツを伝授できればいいなと思っています。
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Unknown (乗る刑事)
2012-11-06 17:12:40
「ターン外側へ荷重する」ですか・・・、管理人さん独自の分析と解釈にはナルホドと思うところが多々あり大変参考になります。スキー指導用語には定義の曖昧な言葉がヒジョーにたくさんあり、一般人にとって上達の妨げになっていると思います。SAJやデモ・指導員は、きちんと運動を理解・分析し誤解されない言葉を用いて、下々の指導してほしいと思いますね。
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