ちょっぴりイタリア様式を取り入れたデザインで統一された整然と並ぶソルティアの連続住宅群。
背中合わせの住宅同士の間のスペースを広く開けた住宅改良案についてはきのう書きました。
うちの夫は、私が出先で写真を撮りまわるのにあまりいい顔をしません。
今回、背中合わせの住宅同士の間の裏通路(バックアリイ back alley )を目にするたびに、「日本人は裏通路を見たことがないはずだ。写真に撮ってブログにのせろ」となぜか熱心でした。
高めの塀は、小さな裏庭をかこっています。
ソルテアで実行された住宅改良案の、前庭なしで、建物の裏側に小さな庭つき、が以後労働者階級の住居の標準になりました。
背中合わせの連続住宅(テラストハウスterrased houses )2組と、その間の裏通路はイギリス各地でおなじみです。
だけど、裏通路は他の町では、通りのいちばん始まりか終わりで脇に入って裏にまわらないとみえないんです。
普通、住人しか通りませんね。
ソルティアでは碁盤の目のように縦横に道が走っているので通りの右左に、交差する道の住宅の裏通路が見えるんです。
それも、けっこう広い。
車輪のついたイギリス全土でおなじみの、みぐるし~いゴミ箱が置いてあったり、裏庭なので洗濯物が出ていたり、昔の屋外便所の名残(水洗になっても1950年代まで使われてたそうです)があったり。
生活感あふれる世界遺産です!!
時々見かける3階建ては男女別の独身寮。
ほとんどは玄関を出るとすぐ舗道〈前庭なし)、の一般工員向け住宅。
労働者階級の住宅の典型です。
職工、職長むけには、小さい前庭つき住宅が用意されています。
これはかなり立派。門から戸口までちゃんとした前庭付き。管理職向け?
連続住宅の両端にも、少し大きめの、大家族向け? それでも前庭なしの一般工員むけの住宅が規則的に続きます。
覗き込んでるのは、線路。
線路沿いの石畳の通り、アルバートテラス Albert Terrace 。
町の創設者のサー タイタス ソルト Sir Titus Salt は、妻、11人の子供、メイド、町の建築に携わった2人の建築家の名を通りにつけました。
工場のある谷底に向かう大通りは当時の女王の名前から、ヴィクトリア ロード Vicroeia Road と名づけられています。
カロリンはソルト夫人の名前。
いっしょに行った、息子のお友達のお母さんの名がカロリンなので、見せてあげるために撮りました。
これだけの規模の町に、パブと警察署がないのは特筆ものです。
町の創設者、サー ソルトは熱心なプロテスタント信者で、キリスト教精神に基づいた、自分を家父長とした家族的な大共同体をつくりたかったらしいんです。
飲酒は諸悪の根源、犯罪や無秩序行為も規律ある共同体には起こらないのでパブも警察も不要という考え方をつらぬきました。
(今でもありません)
住人にスポーツや音楽、読書、園芸など健全な娯楽を薦め、公園や体育館、図書室を付設した公会堂、公共菜園も設けました。
彼の町建設の精神は、都市計画や住宅改良案のみならず、従業員に対する厚生福利制度などの面でも世界中のお手本になったんですが・・・
現在の視点で見れば従業員の私生活にかなり立ち入った余計なお世話な慈善行為でもありますね。
彼の死後、経営は3人の息子に任され、その後は経営委員会による複数の委託経営に移行し、1981年に工場は倒産、閉鎖。
現在、住宅はすべて個人所有。公共施設は市の管理下にあります。
同じく企業経営者のユートピア理論に基づき建設されたモデルヴィレッジ、ポートサンライト Port Sunlight にくらべて景観を守る規制は緩いようで、窓やドアが新建材に変わっていたり、前庭の手入れが悪い家もかなりありました。
ソルティア自治会のブログによると、ブラッドフォード大学が街はずれにモダンな分校を建てるのを阻止する動きがあるそうです。
デザインは普通の現代建築、奇抜なわけではありません。それに歴史的建造物をとりこわすわけでもなし、いいじゃないかと思うのですが・・・
今さら、にせイタリアネート様式で建てるのもわざとらしいですよね。
***** ついでですが、今ストックポートのタウンセンターに出ている、ヨークシャーティーYorkshire Tea の宣伝看板。
ヨークシャーデイルを車で通ったのですが、さすがに高速道路で車から写真を撮るわけに行かなかったので、かわりに・・・・・
BREWTOPIA のコピーがいいですね。( brew はお茶を淹れるといういみです。)
うちではずうっとヨークシャーティーです。北部の水によく合います。日本の水道水にもよく合います。****
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