イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

人々に愛されたマンチェスターの文化施設の移転後、取り壊しの危機に瀕したモダニズム建築の小さな映画館

2015年08月23日 09時00分00秒 | マンチェスター
マンチェスター、オックスフォード・ロード Oxford Road のアートセンター、コーナー・ハウス Corner House


角にあるからコーナー・ハウス(本館)、というわかりやすい命名ですね。
  



20世紀初頭に建てられたこのビルは1980年代までは家具のショールームだったそうです。

小道をはさんだ1935年に建てられた小さな映画館は、コーナー・ハウスの別館です。


小道を上がった先にはマンチェスター・オックスフォード・ストリート駅 Oxford street Stationがあります。


コーナー・ハウスのある地点から、道路の名前が「オックスフォード・ストリート」から「オックスフォード・ロード」にかわります。

ひさしぶりに通りかかったら、本館、別館(映画館)とも空き家になってました。


1980年代のオープン以来30年間、マンチェスターの重要な文化施設でした。

5階建ての本館には複数の現代美術ギャラリーと、バー、書店のほか、地下には映画上映施設もありました。

たくさんの映画をここで観ました。

日本で封切り映画料金が一律1500円だった1990年ごろ、コーナー・ハウスでは日本円で600円足らずだったので驚きました。
(円高バブルの頃でしたが・・・・)

一般商業公開が難しそうな芸術(アート・ハウス系)映画や、字幕つき外国映画が数多く上映されました。

当時「その男、凶暴につき(Violent Cop というわかりやすい英語題)」という現代日本映画を見たこともあります。
主演、監督をつとめた北野武の等身大切り抜き看板が入り口に立っていたのに度肝をぬかれて思わずはいって観てしまいました。

ギャラリーでは、好悪の評価が分かれるインスタレーション系の展示が多かった記憶があります。
ふつうの新進現代美術作家の紹介にも力を入れていました。

今年の4月に閉鎖後、マンチェスター中央図書館 Manchester Central Library の地下劇場から拠点を移したライブラリー・ シアター Library Theatre と合併して、ハウス HOUSEという新築ビルに移転したそうです。
ハウスはすぐ裏にあるそうですが、まだ行ってみたことがありません。

二つの建物はマンチェスター・メトロポリタン・ユニバーシティ MMU(私の母校)に買い取られ、厚生施設として使われる予定だそうですが、戦前のモダニズム建築の映画館は使い道がみつからず、取り壊しの可能性も検討されています。

ゴテゴテした装飾で知られる、アール・デコ様式が建築の主流だった時代にたてられた、シンプルで美しいモダニズム建築です。

取壊し阻止運動が展開中です。


都市の貴重な文化遺産です。
なんとか残してほしい!!





コメント (4)
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