内容以前に文章が酷い、酷すぎる。同じ論旨をくどくどと繰り返し、結論がなかなか出ない、わざわざ難しい言葉を使う、突然専門用語が出てくるなど、皮肉にも本書そのものが、「失敗の本質」を具現化している。
本書で述べる日本軍の問題点は、
・意思決定の曖昧さ(目標の曖昧さ、責任の曖昧さ、言葉の曖昧さを含む)
・極度の精神主義・楽観主義による、敵戦力の過小評価と兵站の欠如
・過去の成功体験に固執しイノベーションの否定(大艦巨砲主義と航空戦力の過小評価、戦車などの火器兵器を軽視した白兵銃剣主義など)
である。
そして、なぜこのような問題が起きたかを、
・兵学校の教育プロセス
・軍の人事評価
・陸海軍が持っている組織文化
に原因を求めている。
たったこれだけのことを、なぜ論旨を明確に述べることができないのか。
本書は、まるで理解できないのは読者が悪いとでも言うべく、理解されようとする意思が皆無であり、コミュニケーションの本質に欠けている。それが、日本軍の失敗の本質だけでなく、日本のエリート層が持つ独善的エリート思考(わかる奴だけわかればいい)の特徴であり、旧日本軍及び現在の日本の官僚組織や、企業の本社部門が抱える問題点であろう。
欧米のCEOのプレゼン(伝説的なジョブスのプレゼン)に代表されるコミュニケーション能力との雲泥の差には、絶望しか感じない。
軍隊を含めた組織の優劣を決める最大のポイントは「コミュニケーション」であり、均質文化で育つ日本人にとって最も苦手とする課題なのであろう。
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